ワシントン・タイムズ・ジャパン

トランプに海外から辛辣な批評

 今回の大統領候補討論会への外国の評価はアメリカの批評家のそれと同じようなものだった。トランプ氏が大統領選挙への準備さえできていないことが明らかになったとする一方、クリントン氏は経験不足の相手を追いやることに失敗したというのが大方の意見だ。

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 世界の投資家も同じだ。いつもトランプ氏の支持率と反比例して推移するメキシコペソの相場は2%上がった。また投資家はトランプ氏の批判に肩をすくめ、共和党が恣意的に操作されていると主張する中国人民元の相場はほとんど動かなかった。

 一方で最近、朝鮮半島での緊張を高めることになった北朝鮮の核開発問題に関して、中国が北朝鮮に対して十分な圧力をかけていないというトランプ氏の批判に中国政府はすぐさま反応した。

 「中国政府はわれわれのために、あの問題を解決するべきだ」とトランプ氏は言う。「中国も北朝鮮問題に介入するべきだ。中国は北朝鮮との関係も深いし、北朝鮮に対する政治的な力も持っている」

  討論会が終わってわずか数時間後、中国外交部の耿爽報道官は北京の記者に対し、「中国は核問題に対してあらゆる方面から不休の努力を続けている」と語った。

 討論会に注目していたのは中国だけではない。西アフリカでは討論会後、ライブ中継で議論が行われた。リベリアのラジオ「ニュー・ドーン」のホストであるデヴィッド・タルベ氏は、「あのような気質を持つトランプ氏にアメリカが核兵器を預けられるはずはない」として、トランプ氏の「いつも通りの人種差別主義者的態度」を糾弾した。

 ディベートはまたヨーロッパ中のヘッドラインをも飾り、その多くで用意周到に討論会に臨んだクリントン氏に軍配が上げられ、風変わりな外交政策を掲げたトランプ氏が批判された。

 30年もの間、公の注目を集め、そのうち4年間はオバマ大統領の下で外交の長を務めたクリントン氏は共和党のライバルに比べて非常に高い知名度があり、海外での批判はほぼトランプ氏に焦点をあわせたものであった。

 仏紙ル・モンドはクリントン氏が討論会を“支配した”とする一方で、トランプ氏を“浅はかだった”と評した。

 また、スペイン紙エル・パイス(デジタル版)は、「クリントン氏が人種差別と準備不足への批判を武器にトランプ氏をコーナーへと追い込んだ」というヘッドラインを付けた。

 スペイン保守派の日刊紙ABCでさえ、「前国務長官はきちんと宿題を果たし、大統領としてのイメージをより強く国民に伝えたという印象を受けた」との評価であった。

 独誌シュピーゲルはトランプ氏を「突飛で不安定」と評し、ジグマール・ガブリエル独副首相は日刊紙に対し、明らかにクリントン氏が勝者であったと語った。「トランプ氏には計画がない。アメリカのためのものも、大きな外交的挑戦のためのものも。一方でクリントン氏は勝負強さと明瞭さを見せつけた。明らかにクリントン氏の勝利だ」

 またフィナンシャル・タイムズのエドワード・ルース氏はそれに付け足すように、「トランプ氏が第1回目の大統領候補討論会の準備にあまり時間を割いてこなかったと言った時、これは戦略だとみんなが思った。しかし彼はその時、本当のことを言っていただけだったのだ」と批評した。

 「トランプ氏はハードルをできるだけ下げてから討論に臨んだが、それでも超えられなかった。超えようとしたようにさえも見えなかった」と述べ、さらに同候補が自身の確定申告書やオバマ大統領の出自についての執拗な追求ついて、「支離滅裂で自画自賛の」答えをしたと書き加えた。

 しかしトランプ氏を敗者だと見なかった人もいる。イギリス保守派の日刊紙デイリー・テレグラフのコラムニストであるティム・スタンレーは、共和党が討論会の勝者であったが、選挙には負けるかもしれないとした。

 「あれがリアリティ番組ならば、彼はうまくやったと言える」とスタンレー氏は書いた。「彼は恥をかかせ、叫び、いじめ、しゃべりで勝っていた。そしてクリントンはそれを止められなかった」

 ある国の外交官は匿名でワシントン・タイムズに対し、ディベートで「両候補とも説得力が足りず、世界を率いるに足りるビジョンが無い」ことが明らかになったと語った。

 「特にトランプ氏。彼にはイデオロギーがない、もしくはあったとしてもそれは拝金主義だ」と外交官は言う。「しかし、それはクリントン氏も同じ。シリアでの戦争などの問題になると、両者ともこれといった将来へのビジョンを持っていない」

 一方、中国ではトランプ氏がクリントン氏にやりこめられたとコミュニケーション専攻の大学院生、ワン・ペイさんが語った。

 「個人的にトランプ氏のキャラクターは好きですし、彼には闘志が感じられます」とワンさんは言う。「しかし今日の討論会ではクリントン氏が政治家としてより成熟していた一方で、トランプ氏は少し場違いな感じがした」

By Guy Taylor – The Washington Times – Tuesday, September 27, 2016

http://www.washingtontimes.com/news/2016/sep/27/donald-trump-the-debater-gets-tough-reviews-overse/

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