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中国が農地買収を加速 食糧安保への脅威を警戒

海外農業投資 09年3億ドルから16年33億ドルに

 中国による農地買収に米連邦・州議会議員らが警戒を強めている。買収のペースが上がっている上に、状況は十分に把握されておらず、今後、国家安全保障の脅威となる可能性がある。

米議会 食糧安保への脅威警戒

 下院歳出委員会のニューハウス委員(共和、ワシントン州)は、中国の海外農業への投資は09~16年の間に3億ドルから33億ドルに増加したと指摘、「米国の大量の重要資産を中国が支配するのを阻止することは、非常に重要だ」と警鐘を鳴らした。

 同委は7月下旬、22年度農業支出修正法案を承認した。これは、農地の中国への売却を禁止し、中国が保有する農地への農業補助金を禁止するもの。

 ニューハウス氏は「現状を放置すれば、中国による農業独占につながり、米国家安全保障、食糧安全保障に直接の脅威となる」と訴える。

 ペンス前副大統領も最近のスピーチで、農業を含む重要産業の中国からのデカップリング(切り離し)の必要性に言及、「中国による食糧供給の支配を許してはならない」と訴えた。

 テキサス州の商品ブローカー、タロン・アセット・マネジメントのマーカム・ドセット社長は「数字は大きくないが、急速に増えている。警戒すべきだ」と懸念を表明している。

 しかし、ドセット氏によると、現行法では、投資は複雑な所有構造の大規模法人を通じて行われるため、所有者を正確に把握することは困難。中国が実際にどの程度の農地を保有しているかを正確に把握することはできないという。

 さらに気掛かりなのは、中国共産党との関わりが疑われることだ。ドセット氏は「(海外農地の買収には)中国政府の支持が必要であり、戦略、目標は中国政府の指針に沿っていなければならない」と指摘した。

 州レベルでも警戒は強まっている。

 ミズーリ州のダグ・ベック上院議員(民主)は3月、州内の農地への外国からの投資を制限する法案を提出した。

 すでに、ハワイ、アイオワ、ミネソタなど6州が農地の外国人による所有を禁止している。

 農業団体「ミズーリ農業危機センター」のトム・ギボンズ氏によると、ミズーリ州は13年に外国人による州内の農地買収を禁止する措置を撤回したが、「その直後、(食肉加工大手)スミスフィールドを中国企業が買収した」という。

 スミスフィールドは、国内に約570平方㌔の土地を所有、ミズーリ州内にはそのうちの約180平方㌔があり、「一夜にして」ミズーリ州の農業の重要な部分を中国企業が保有するようになった。

 だがギボンズ氏によると、外国人による土地保有の報告義務はあるものの、「外国企業が米国内に法人を設立し、報告を回避することは可能」。ベック氏は「どれだけの農地が外国投資家によって保有されているかは分からない」と法整備などによる対応の必要性を訴えた。

(ワシントン・タイムズ特約)

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