ワシントン・タイムズ・ジャパン

トランプ旋風にみる課題

地球だより

 米大統領選は終わったが、選挙が問題提起した課題は大きい。米紙ワシントン・ポストの調査によると、共和党候補ドナルド・トランプ氏支持者が多く住む地域は白人の死亡率が高い地域と一致していた。こうした地域では絶望感からくる薬物、アルコール中毒、自殺などが白人の死亡率を押し上げている。トランプ旋風の背景にあったのは、グローバリゼーション、技術革新に取り残され死と隣り合わせの絶望感を抱く白人だ。

 自由貿易や技術革新に支えられたグローバリゼーションは、世界に多くの経済的恩恵をもたらしてきた。半面、高品質、低価格の商品の流入で一部の国内産業で雇用が失われてきたことも事実だ。失業した労働者は自由貿易や移民を敵視することになる。

 労働者再訓練などで国際化への移行期の痛みを最小限にとどめるのが政府の役割だが、米政府はその役割を怠ってきた。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国のうちメキシコ、チリを除けば、米国は労働者再訓練に充てる予算の割合が最も低い。トランプ氏を支持した白人労働者の怒りの爆発は、そのツケが回ってきた結果だ。

 グローバリゼーション、技術革新は今後さらに加速する。技術革新による自動化の波は製造業だけでなく、教育、法律サービスをも激変させようとしている。例えば、米国の運送業界には350万人のトラック運転手など900万人が従事している。1日24時間走れるロボットカーなどドライバレス技術が実用段階に近づいており、多くのトラック運転手が職を失う見込みだが、米政府は有効な対応策を欠いている。

(K)

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