ワシントン・タイムズ・ジャパン

「未知の変化」に賭けた有権者/米大統領選

メール問題再捜査が分岐点に

 米大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めたのは、有権者が民主党ヒラリー・クリントン前国務長官による「現状維持」よりも、トランプ氏がもたらす「未知の変化」を望んだ結果といえる。また、私用メール問題に対する連邦捜査局(FBI)の再捜査が、クリントン氏の「闇」に再びスポットライトを当て、選挙戦の流れを変える分岐点になったことは間違いない。

 出口調査によると、大統領に求める最も重要な資質として最も多かった回答が、「変化をもたらすことができる」の39%だった。そう答えた有権者の83%がトランプ氏に投票している。

 トランプ氏は好感度や信頼度などでクリントン氏を下回った。それでも勝利できたのは、トランプ氏がもたらす変化に賭けたいという空気が強かったことを物語っている。

 事前の世論調査ではクリントン氏がリードを保ち、ほとんどの大手メディアや専門家がクリントン氏の勝利を確実視していた。予想を覆す結果が出た背景として、周囲の目を恐れて支持を公言していなかった「隠れトランプ票」がかなりあったとみられる。

 州別に見ると、製造業が衰退した「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」と呼ばれる中西部州の中でも、民主党の地盤だったペンシルベニア、ウィスコンシン両州などを制したのが大きな勝因だ。グローバル化や移民増加に不満を抱く白人労働者層に訴えかけるトランプ氏の選挙戦略は、結果的に大成功だったといえる。

 トランプ氏のわいせつ発言の発覚後、クリントン氏が圧勝する見通しが強まっていたが、流れを一変させたのが、FBIの私用メール問題再捜査だ。これを境にトランプ氏は支持率でクリントン氏を猛追し、その勢いのまま逆転勝利を収めた。

 再捜査が大きく響いたのは、ファーストレディー時代を含め、数々のスキャンダル・疑惑に絡んできたダーティーな過去が改めてクローズアップされ、有権者の反感を呼び覚ましたからだ。

 FBIの再捜査は、最終盤で選挙戦の行方を決定付けた「オクトーバー・サプライズ」として、米政治史に刻まれることは確実だ。

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