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高いエイズ感染リスク 男性同性愛者は6人に1人

アメリカLGBT事情(7)

昨年12月1日、世界エイズデーに合わせ大きなレッドリボンを掲げた米ホワイトハウス(UPI)

昨年12月1日、世界エイズデーに合わせ大きなレッドリボンを掲げた米ホワイトハウス(UPI)

 米国で同性愛に対する抵抗感が根強く存在するのは、キリスト教の性倫理に反することが最も大きな要因だ。だが、決して宗教的理由が全てではない。同性愛文化が広がることは、公衆衛生の観点からも望ましくないという側面がある。

 米疾病対策センター(CDC)によると、2019年のエイズウイルス(HIV)新規感染者は3万6801人だったが、このうち実に69%に当たる2万5552人が男性と性的関係を持つ男性だった。男性と性的関係を持つ男性の割合は米人口の2%程度であることを踏まえると、異常な割合である。

 さらに驚くべきは、男性と性的関係を持つ男性が生涯のうちにエイズに感染する確率の高さだ。異性愛者の男性は524人に1人、異性愛者の女性は253人に1人であるのに対し、男性と性的関係を持つ男性は6人に1人がエイズに感染するというのである。男性と性的関係を持つ男性でも人種的少数派ほど感染リスクが高く、中南米系は4人に1人、黒人に至っては2人に1人だ。

 男性同性愛者のエイズ感染が圧倒的に多い理由は、大きく二つある。一つは、男性同士の性交渉、特に肛門性交(アナルセックス)が「最もリスクの高い性交渉の種類」(CDC)だからだ。肛門性交でも、挿入される側の方が挿入する側よりも感染リスクが18倍も高いという。

 もう一つは、CDCもはっきり認めている通り、男性同性愛者は「性的関係を持つパートナーが多い」ことだ。オースティン家族文化研究所が14年に実施した調査によると、50人以上と性的関係を持った割合は、男性異性愛者が3%、女性異性愛者が2%だったのに対し、男性同性愛者は30%に上った。また、インディアナ大学のジャスティン・ガルシア教授と調査会社ダイネータが独身のLGBT1000人以上に実施した16年の調査では、一生のうちに持つ性的パートナーの平均数は男性同性愛者が30人、女性同性愛者が12人だった。

 性感染症はエイズだけではない。CDCによると、14年の梅毒感染者の83%が男性と性的関係を持つ男性だった。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は肛門がんや口腔がんを引き起こすことがあるが、男性と性的関係を持つ男性は肛門がんを発症する確率が男性異性愛者より17倍も高い。しかも、エイズに感染している男性ほど肛門がんになりやすい。

 エイズをはじめとする性感染症を減らすには、感染リスクの高い性交渉を避けることが何より求められる。だが、同性愛者に対する差別禁止を理由に同性愛文化を積極的に肯定することは、こうした危険な性交渉を間接的に助長し、性感染症を拡大させる恐れがある。

 バイデン米政権はオバマ元政権が推し進めた性的少数者(LGBT)の国際的な権利擁護、いわゆる「LGBT外交」を復活させ、途上国に同性愛文化を受け入れさせる取り組みを強化している。保守的な倫理観を保つアフリカ諸国などは、こうした圧力に強く反発しているが、既に甚大な被害をもたらしているエイズ禍をこれ以上悪化させるわけにはいかないという切迫した事情がある。

 新型コロナウイルス禍が多くの国民の命を奪い、社会・経済活動に大打撃を与えたことを受け、国民を疾病から守ることが国家の最重要責務の一つであることが浮き彫りになった。LGBT問題を考えるには、人権や多様性だけでなく、公衆衛生の視点も必要なはずだが、日本の議論にはこの側面が完全に抜け落ちている。

(編集委員・早川俊行)


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