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ハリス副大統領の2024年大統領候補は絶対ではない

 2024年米大統領選挙、日本の下馬評では、カマラ・ハリス副大統領が民主党側候補者として事実上内定していると見る向きも多い。ハリス副大統領は国際政治の舞台でも積極的に登場する機会を作っており、次期大統領選挙に向けた下準備を進めているように見える。

 しかし、ハリス副大統領の前途は洋々たるものとはなっていない。むしろ、その輝かしい未来には暗雲が立ち込めてきている。元々ハリス副大統領はカリフォルニア州司法長官を務めたものの、連邦上院議員としては1期目在籍中の抜擢であり、国政レベルで目覚ましい成果を上げてきた人物ではない。むしろ、性別、人種、年齢、イデオロギーなどの要素を考慮した副大統領としての人選であり、大統領選挙が終わった段階でその役割を終えたと言っても過言ではない。

 大統領と副大統領は党内で対立する別々の政治勢力を背景とした入れ子構造になるケースも多い。筆者は民主党内でも彼女をよしとしない勢力が存在しているのではないかと思う。むしろ、大統領予備選挙討論会で、彼女のバイデンに対する人種問題をテーマにした糾弾ぶりに鑑み、本音のところでは大統領・副大統領間の関係は必ずしも良好とは言えないだろう。

 ハリス副大統領は政権発足早々に移民問題を所管する立場に就任させられている。バイデン政権において、移民問題が最も困難な問題の1つであることは議論の余地がない。なぜなら、この問題は政局的に正しい回答がないものだからだ。

 ハリス副大統領がバイデン大統領らの中道的なイデオロギーに合わせて移民問題でやや厳しい対応を取った場合、彼女は党内左派やメディアから袋叩きに遭うことになる。実際、ハリスの移民問題に関する発言がメディアに取り上げられて賛否両論を巻き起こす事態が増えてきている。この問題は「あちらを立てれば、こちらが立たず」であって、常にいずれかの勢力から叩かれることは避けられないからだ。

 一方、共和党側は口先では中道路線を志向するバイデン大統領に対して攻め手を絞り切れていない。共和党側の政権批判のキャンペーンは統一だったものではなく、とりあえず様々なイシューに対して批判広告を展開し、有権者にどれが刺さるのかを吟味している段階だ。共和党内でもトランプ大統領の扱いをめぐる政争などがあり、対バイデンの布陣を展開する体制も整っていない。その中で、共和党側が政治争点として合意し、民主党を責め立てることができる統一的なテーマはやはり移民問題だ。そのため、共和党にとってもハリス副大統領の言動は格好のターゲットとなっている。

 ハリス副大統領が株を落とし続ける一方、自らの政治的な評判を向上させている者もいる。その代表格はピート・ブティジェッジ運輸長官であろう。バイデン政権のインフラ投資規模をめぐるさや当ては継続しているものの、ブティジェッジ長官はこの難しい問題に対して一定の指導力を発揮している。同予算通過後、ブティジェッジ長官が巨額の予算の差配を行うことで権力を得ることは明白であり、その中で彼が苦手としているアフリカ系対策予算が組み込まれれば政治的弱点は無くなることになるだろう。

 また、民主党系州知事の中には新型コロナ対策などを通じて名声を上げた人物もいる。連邦議員時代の過去にスキャンダルはあるものの、グリシャム・ニューメキシコ州知事などは女性・ヒスパニック系でもあるため、ハリス副大統領にとっては手強いライバルとなるだろう。民主党は州レベルでの選挙に強いわけではないので、州知事でパッとした候補者がいなかったが、その状況も変わりつつあると言って良い。

 2022年中間選挙後、現状では共和党が連邦下院を取り戻す公算が高いと噂されており、米国政治は極めて流動的な状態になっていく可能性が高い。その中で、2024年の大統領選でバイデン大統領の後継者がハリス副大統領になる、という見通しはまだ絶対のものとは言えないだろう。

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