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中国 生物兵器開発で流出濃厚、前米国務省調査責任者が明言 本紙単独インタビュー

 トランプ前米政権の国務省で新型コロナウイルスの発生源を調査するタスクフォースを率いたデービッド・アッシャー氏はこのほど、世界日報の単独インタビューに応じ、新型コロナは中国・武漢ウイルス研究所(WIV)から流出したことを「95%確信している」と語った。その上で、「WIVでは中国人民解放軍の秘密計画が行われていた」と述べ、中国軍が生物兵器開発を進める中で、ウイルスが安全対策上の不備により事故的に流出した可能性が濃厚との見解を示した。
(聞き手=編集委員・早川俊行)

新型コロナウイルス起源

 国務省はバイデン政権が発足する直前の今年1月に公表した報告書で、2019年秋にWIVで数人の研究者が新型コロナに似た症状を示していたことなどを明らかにした。この報告書を中心的に取りまとめたのがアッシャー氏で、現在は有力シンクタンク、ハドソン研究所の上級研究員を務める。

デービッド・アッシャー氏

 David Asher ブッシュ(子)米政権で国務省北朝鮮作業班調整官として対北金融制裁を主導。オバマ政権では過激派組織「イスラム国」の資金源を断つ戦略を立案。トランプ政権では新型コロナウイルスの起源を調査するタスクフォースを指揮した。現在、ハドソン研究所上級研究員。英オックスフォード大で博士号取得。

 アッシャー氏は、WIVではコロナウイルスの感染性や病原性を人為的に高める危険な「機能獲得研究」が行われていたと指摘。機能獲得研究は、将来のパンデミック(世界的大流行)予測やワクチン開発に役立つとされる一方で、生物兵器開発への悪用や流出のリスクが伴うため、賛否が分かれている。

 アッシャー氏は機能獲得研究について、「防御にも攻撃にもつながるデュアルユース研究だ。どちらに用いるかを決めるのは意図と目的だ」と指摘。中国軍の計画は、核、ミサイル、サイバー、宇宙などあらゆる分野で攻撃が主体であることを踏まえ、WIVの機能獲得研究も「防御目的だったとは考えられない」と断言、生物兵器開発の一環だったとの見方を示した。

 ただ、「ウイルスは非常に危険であり、われわれを攻撃するために意図的に使ったとは考えられない」と述べ、中国はウイルスを意図的に流出させたという一部の見方を否定。「不十分なバイオセーフティー体制による深刻なミスが重なった」ことが、流出事故を招いたと指摘した。

 アッシャー氏によると、WIVで中国軍の秘密計画が始まったのは「少なくとも17年から」で、「もっと早く始まった可能性がある」という。

 アッシャー氏は「中国が犯した罪は事実を隠したことだ」と述べ、ウイルス流出よりも流出の事実を隠蔽(いんぺい)したことの方が重大だと語った。「中国はヒトからヒトに感染することを100%知っていた。中国がこれを昨年1月に伝えていれば、米国や日本も台湾のような対応を取ることができた」と指摘。中国軍の生物兵器計画が公になるのを避けるために、中国は隠蔽を図ったとの見方を示した。

 アッシャー氏は、中国に新型コロナの発生源を明らかにさせるために、WIVや母体の中国科学院、関連のバイオテクノロジー企業などを対象とした制裁を検討すべきだと提案。アッシャー氏はブッシュ(子)元政権時代に北朝鮮に大きな打撃を与えた金融制裁を立案するなど、効果的な制裁措置を熟知する人物だ。

 米国では研究所流出説の信憑(しんぴょう)性の高まりとともに、中国に説明責任を求める議論も活発化。議会では既に、制裁法案の提出を検討する動きもある。

 アッシャー氏は「中国軍が生物学を将来の戦闘領域の一部と位置付けていることは恐ろしい。これは世界全体の脅威だ。日本も中国に真実を語らせるために圧力をかける行動を取るべきだ」と述べ、日本も米国と共に制裁などを検討すべきだと主張した。

 ポンペオ前国務長官は、8日付ワシントン・ポスト紙への寄稿で、コロナ起源を解明し、中国に危険なウイルス研究をやめさせるために「主要民主主義国は行動を共にしなければならない」と呼び掛けた。日本も米国と歩調を合わせ、積極的な役割を果たしていくことが求められる。

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