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静かに始まる共和党大統領予備選、ペンス氏が退任後初演説

 4月29日、マイク・ペンス元副大統領がサウスカロライナ州コロンビアのパルメットファミリーカウンシル(キリスト教福音派の集会)で退任後初の演説を行った。

 これはバイデン政権発足100日を受けて、そのリベラルな諸政策を批判し、彼の保守的な政治的立ち位置を強調するものとなった。また、サウスカロライナ州は4年後の共和党予備選挙での序盤重要州であり、彼の2024年の大統領選挙への意欲を示唆するものと言えるだろう。

 ペンス元副大統領はトランプ政権においては、2016年の大統領選挙時から宗教右派らの保守派を繋ぎとめる役割を果たしてきており、政権発足後も福音派宗教団体らとの会合は原則として同氏が仕切ってきた経緯がある。トランプ政権は、世界中の信仰の自由を守る活動を実践する人々を集めたイベント「Ministerial to Advance Religious Freedom(MARF)」を実施してきたが、130か国以上から1000人を超える世界最大規模のフォーラムのホスト役を務めてきたのも同氏である。

 ペンス元副大統領のキャンペーンは、静かに、しかし強固な基盤を活用して行われつつある。連邦議会や各州の保守的な政治関係者だけでなく、草の根保守派からの支持も非常に厚い。特に連邦最高裁判事や控訴審判事に保守派判事を指名してきた実績は、トランプ元大統領の実績というよりも、ペンス元副大統領の実績と見做す向きも少なくないだろう。

 今年4月には、ケリーアン・コンウェイ元大統領顧問(過去にトランプ及びギングリッチの選対本部長を務めた)、ニュート・ギングリッチ元下院議長、ラリー・クドロー元国家経済会議委員長、ロバート・ライトハイザー元USTR(通商代表部)代表など、トランプ政権の裏方を支えた土台となる人物らが、「Advancing American Freedom」という、事実上ペンス支援のための政治団体を立ち上げている。

 これは、トランプ自身とはある程度の近い関係値にはあるものの、保守派として是々非々の距離を保つ人々によるグループであり、仮にトランプ元大統領が再立候補を目指すならば、彼らがペンス側に就くことは大きな痛手となるだろう。トランプ元大統領の支持者グループには、組織を運営する能力や政策を立案する能力などが欠けており、このグループの人々がいなければ、一部の熱狂的な支持者がいたとしても、まともなキャンペーンを行うことすら難しいだろう。

 一方、ペンス元副大統領自身は最近心臓手術を受けており、4年後の大統領選挙に鑑み、その健康面については些か懸念される向きもある。したがって、今後どの程度精力的に大統領予備選挙のキャンペーンをこなしていけるかは体力面での試金石となってくる。

 差し当たり、2022年中間選挙において、トランプ元大統領やニッキー・ヘイリー元国連大使らの潜在的なライバルに対し、連邦議員らの支援活動を通じてどの程度存在感を示していけるのかが問われることになる。現在、共和党内はトランプ元大統領との距離感によって三つ巴となっており、トランプ支持派、反トランプ(ヘイリー)、是々非々(ペンス)という構図に色分けされつつある。

 2024年の共和党大統領予備選挙は、ペンス元副大統領の冒頭の演説によって静かにスタートが切られることになったと言えるだろう。

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