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トランプ氏裁判闘争の真の意義―世界新秩序の形成

 やはり不正はあった!ペンシルベニア州の裁判官が、民主党の州務長官の命令で11月9日以降に身分証明書を受け取った特定の有権者の投票を数えることはしないように州選挙当局に命じたとき、トランプ大統領の法的努力は象徴的な勝利を収めた。

 しかし、この判決は欠席者と郵送の一部―数千票程度に影響するだけで結果の逆転には5万票は不足。だが、このような判決を、もう幾つかでも引き出せば、これからの米国の選挙を少しでも健全化できる。特に郵送投票とドミニオン社製の投票機械に関するトランプ氏に有利な判決を引き出せれば、かなり大きな影響があるものと思われる。

 しかし前記の判決を見ても分かるように、それでも結果を覆し、トランプ氏が逆転再選するのは非常に難しいのではないか?―というのが米国の法律専門家の大方の見方のようである。

 私としては最後まで奇跡を信じて祈りたい。だが仮にトランプ氏が再選できなかったとしても、いま述べたような判決を、もう幾つか引き出せば、アメリカの今後の選挙を少しでも健全化できる。

 そのようなレガシー作りのために、トランプ氏は裁判闘争に拘っているのではないか?それは選挙制度だけとは限らない。

 トランプ氏は彼の悲願である薬価切り下げのため製薬会社が仲介業者にリベートを払うことを禁止する規則を1月19日までに確立する方針である。トランプ大統領は9月20日、他の国で製薬会社が請求するものと価格をより厳密に一致させることにより、米国の高齢者のための処方薬のコストを削減するための行政命令に署名。これは細かい規則を選挙後に作ることになるので、トランプ氏が再選されなければ高すぎる米国の薬価の切り下げは難しくなる。だが10月29日には、民間保険会社は消費者に自己負担額に関する情報提供による医療費削減を目的とした規則を制定。これで保険会社は製薬会社等のプロバイダーと交渉した価格を公表しなければならなくなった。2023年に500のサービスの交渉価格を提示する必要があり、その義務は2024年までに全サービスに拡大される。先に述べた今、急いでいる規則の制定は、この薬価切下げ政策をレガシーとするためだろう。

  製薬会社からのリベートが回り回ってヒラリーを中心とする民主党の政治家の莫大な資金源になっている。それが彼らが医療保険政策に拘っている理由なのである。トランプ氏のレガシーが完成すれば、これを少しでも、あるいは大幅に減らすことが可能。

 このような国内問題だけではなく、トランプ政権は11月12日に「中国人民解放軍」が事実上経営するか、密接な関連のある中国企業31社を名指しして、米国人ないしは米国企業の投資を禁止した。さらにFBIが内偵を進めていた中国人スパイの起訴も急いでおり、中国に帰国した人物も米国法廷に訴追した。孔子学院の閉鎖命令も既に発令。また昨春以来すすんでいる中国企業の会計検査を急がせ、上場資格が不的確な中国企業の上場廃止を促進する。だが、これらも国際投資の促進による経済活性化や学問の自由等を主張する人々―特にワシントンの専門官僚の反対で、1月半ばまでに、どこまでできるかは不透明な状態。

 トランプ大統領は10月24日、今までは大統領が変わっても身分の異動がなかった専門的政策立案者にも業務の内容と成果を明らかにさせる大統領令に署名。これで彼らを必要なら解任できる可能性を高めた。しかし効果が出るには時間が掛かるのかも知れない。

 それに先立つ10月初旬、国防総省はアフリカの米大使館から最高の軍将校を撤退させ、世界中の他のそのようなポスト(英国やサウジを含む8各国)を格下げし始めた。当局は地政学的な段階で中国に対抗するためアジア太平洋諸国に人的資源をシフトし定員上限を満たすために必要であると主張したが、エスパー国防長官(当時)は余り賛成ではなかったのかも知れない。軍人の階級が減らされるからである。やはり彼も専門官僚の1人なのである。

 そのエスパー国防長官は選挙後の11月9日に解任。後任には国家テロ対策センター長だったミラー氏が就任。それに抗議してアンダーソン副長官が辞任。後任にはイスラム系差別主義者として今年の夏に副長官就任辞退に追い込まれた超タカ派タタ氏が就任。その後トランプ大統領は国防省の官房長に自らの腹心でテロ対策専門家のパデル氏を任命。

これら一連の人事を1月19日までに台湾との関係を強化するためではないかと期待する人もいる。私も同様で、それも実行して頂ければベストだが、これらの人々の経歴を見ると、むしろ中東方面ではないかと思う。

 実際その後にトランプ氏は12月のアフガンからの撤退の約束は、いかにタリバン等による約束違反の暴力行為の頻発があっても完成させる覚悟と言われている。

そして私は正規軍の撤退後にタリバン等による暴力行為と闘うため、民間軍事会社が派遣されるのではないかと考えている。アフガンに民間軍事会社を派遣することは、トランプ政権の歴史的使命とも言うべきもので、大統領になる以前からの計画だった。それに関しては私の過去の記事を読んで頂ければ幸いである(例えばhttps://ameblo.jp/gii-report/entry-12570365408.html )。

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 このような計画は既存の専門官僚が彼らの既得権や体面を失うものとして非常に忌み嫌うものである。それで今まで実現しなかったのだが、この状況になれば部分的にでも実現できるかも知れない。“官房長”というのは役所の全ての人事権を握っているのである!

そうなれば世界の指導国家が公に民間軍事会社を正規軍の代わりに使ったことになり、世界秩序の小さくない改変になるのではないか?

トランプ氏の外交姿勢に関しては、その孤立主義的政策を、アメリカ本来のものとして一定の評価をする保守派知識人の中でも、

1、 同盟国の軽視

2、 国際機関の軽視

は、アメリカの世界への影響力を弱めるものであると批判する人が多い。だが、そのような考え方は、今までの古い世界秩序の考え方に、囚われ過ぎているように私には思えてならない。

 世界は大きく変わった。少なからぬ国際機関は中国に多くの専門的官僚を送り込まれ、アメリカと同盟国の国益にならなくなっている。同盟関係も特に冷戦終結後は、アメリカの好意に一方的に甘える不健全なものになってしまった部分が大きい。それは当該国の真の自立の妨げにもなっているように思われる。特に我が日本が、そうであるのは残念至極である。

国際機関や同盟国との今までの関係を継続できないと、アメリカの衰退を認めることになるーという考え方もある。だがアメリカには、単なるハイテク技術だけではなく、常に次々と新しいアイデアを生み出して行くことが出来る社会的風土というかマインドがある。そのマインドの代表者だったのが、トランプ氏であるように思えてならない。

 「民間軍事会社」等というのも、そこから出て来たものかも知れない。このマインドがある限り、アメリカは今後も世界を指導して行けるだろう。

 そのマインドを殺して来たのが、ワシントンないし国際機関の専門官僚であった。トランプ政治とは、それとの闘いだったのである。いわば「トランプ革命」であった。

 2008年以降の米国は、多様性を重視するトレンドにあり、それにトランプ氏は逆行していたという人もいる。だが2008年以降の米国は、このような知恵を出すがカネや軍隊は出さないというトレンドにあったと考える方が正確なように思う。

 そのトレンドに逆行しているのは、バイデンと民主党の方である。しかも党内に極左派と中道派の対立を抱え、議会でも少数派的な立場になる可能性が高い。既存のワシントン官僚に頼る政治になるのだろうが、それはアフガンからの撤退に失敗し、グローバル経済で普通の働く人々を苦しめて来た行き方である。これから4年間の米国は、大混乱状態になる可能性が高い。

 そう考えても「トランプ革命」を完成させるにも、もう4年くらいは必要なように思われる。何とか裁判闘争で奇跡を起こして見せて欲しい。しかし、それが無理でも、来年1月までに、今まで述べて来たような政策を積み重ねておくことは可能なのである。いわば「トランプ革命」のレガシーである。それを、どれくらい不可逆に出来るかで、これから4年間の米国と世界の運命が決まると思う。

 そのため私は裁判闘争の結果の如何に関わらず、トランプ氏の活躍を陰ながら応援し続けたいと考えている。


「GII REPORT」より転載
https://ameblo.jp/gii-report

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