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ヒューストン領事館閉鎖と米中戦争

 7月23日、米国は中国に対し、ヒューストンの領事館の閉鎖を命じた。それに関しては米国のリベラル派メディアは、やはりトランプ氏の選挙対策といったような、悪意ある印象操作的な記事が、多かったように思われる。だがトランプ政権の真意は、アメリカの技術に対する中国のスパイ活動の拠点に、ヒューストン領事館がなっていたので、それを防止するということが、本来の目的だった。

 この領事館閉鎖の前後にFBI等が中国の技術スパイの摘発に乗り出している。また米国のテロやスパイの対策の中心である国土安全保障省も、これまで貿易、サイバーセキュリティ、移民、知的財産分野に分断されていた、対中国問題を一括して扱うタスク・フォースを、省内に設置した。

 それ以前から米国は中国がコロナウイルスのワクチンに関する技術情報を盗もうとしているという疑念に駆られていた。それだけではない。いわゆる5G通信の問題で米国は、中国に先を越されないために、非常な力を入れて来た。

 中国の特にファーウエイ社が世界中から半導体を輸入できなくしたのは今年の5月からであった。その結果として台湾の半導体メーカーの存在価値が非常に高まった。

 半導体は現代では「産業の米」と言われる。石油と似ている。日本も1941年8月、米国に石油の禁輸をされてから4ヶ月後に真珠湾攻撃を行った。

 それを考えると9月くらいに中国が、台湾侵攻作戦に打って出てもおかしくは無い。それを見越してか米国は台湾防衛法を整備し、また台湾も米国の事実上の大使館を誘致し、また米国に事実上の領事館を設置している。

 もちろん正式の国交もないのだから、中国が台湾を攻撃しても、アメリカが台湾を守れるか?ーという問題はある。それに備えて台湾防衛法の強化や何らかの形での台湾との国交回復の方法を、アメリカ議会は急いで模索中である。

 例えば共和党のヨーホー議員が議会に提出した台湾侵略防止法案に関係して米国が中国に武力行使を行うには3つの条件が重要と考えられる。その三条件とは、

(1)中国軍が台湾軍に対して直接武装攻撃を行ったとき
(2)中国軍が台湾の有効な管轄範囲内において領土を占領したとき
(3)台湾の有効な管轄範囲内において台湾軍や一般市民が殺害されたとき、または死亡する危険が押し迫っているとき

 この法案が通れば中国軍が台湾本島周辺の台湾に帰属する島を手始めに制圧しようとした時に米軍は台湾防衛に駆けつけられることになる。

 他にも重要な問題がある。

 もし中国が台湾を占領しようとするとしたら、それは南シナ海からの北上戦略だろう。沖縄や尖閣を占領して足掛かりしたりする南下作戦は、アメリカが最近ポンペオ国務長官の発言等で、尖閣も守ると明言しているので、リスクが高い。台湾沿岸からの東進作戦には、既に台湾も備えて軍事訓練等を行っている。やはり今まで国際海洋裁判所等の判断にも関わらず、無法に行政区画まで作って来た南シナ海が使われる可能性が高い。

 中国の艦隊が台湾制覇のために南シナ海から北上し始めた段階で、国際海洋裁判所の判断に基づいて、少なくとも南シナ海に中国が作った人工島等を米海軍が攻撃し、台湾に向かう中国海軍の後方を脅かし牽制するという方法もあると思う。

 米国の太平洋空軍は7月5日、B−52H戦略核爆撃機1機が「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」の空母2隻と合同訓練をしたと明らかにした。B−52Hは4日、米本土ルイジアナ州バークスデール空軍基地を離陸した後、28時間飛行し、5日にグアムのアンダーセン空軍基地に着陸した。日本では報道されなかったが、この合同訓練にはオーストラリア海軍や日本の海上自衛隊の艦船も参加していた。

 このB-52は今年の春にグアムから米国本土に撤収し、その代わりにB-1B超音速戦略爆撃機が、グアムに来ていた。だが、それは核軍縮条約等により、核爆撃装備を外しているタテマエになっていた。(実際には外していないのかも知れない。何れにしても同じ性能で核爆撃装置を備えたB-2と交代するのは難しくないのではないか?)そこで核爆撃機能を持ったB-52の再登場となったのだろう。

 このように本土から来る核爆撃機と空母艦隊を2つ同時に使う訓練は、アメリカ太平洋艦隊でも異例である。少し規模は小さいが同様の訓練を米軍は17日にも行っている。米国がこのように南シナ海で軍事力を誇示するのは中国を牽制するためだ。中国は南シナ海で領有権を主張するパラセル諸島で7月の1日から5日に海上訓練を実施した。

米軍

 

引用元: https://s.japanese.joins.com/Jarticle/267794?fbclid=IwAR3gEd1tWX4vjoj3nkJz2iyxi_cbiWQ5cQCQJRu4z9BxSC-T0vauxF0Zvbo

 しかし中国は、アメリカの空母と遜色のない電磁離陸システムを搭載した空母を建造中であり、またF35ステルス戦闘機と同じ性能の戦闘機の量産体制に入っており、さらにB-1ないしB-2と同様の性能を持つ超音速核爆撃機も、今年の秋には就航させる予定である。

 また中国は、広範囲のあらゆる電子機器を破壊可能な電磁パルス兵器(EMP)の開発を進めており、新型の極超音速ミサイルに搭載される可能性がある。そして中国陸軍は、台湾海峡対岸で多数の無人機の配備を進めており、台湾に対し何らかの武力攻撃が行われるのではないかと懸念が高まっている。

 このように今年9月くらいの台湾を巡る米中戦争の危機は高まる一方なのだが、他に香港の危機も考えられると思われる。

 米国は香港の国家安全保障法に対抗して、それに関係する中国の高官や彼らと取引する銀行等に対し制裁も発動した。そんなことが出来るのであれば、香港で運用している800億ドル以上の米国の金融資産を、引き揚げてしまうことも、不可能ではないのではないか?

 やはり今年9月には香港で議会選挙が行われる。それへの北京の介入等があるようであれば、それへの米国の金融制裁も有り得るのかも知れない。

 香港ドルは、アメリカのドルとのペッグ制である。人民元は米ドルだけではなく、その他の通貨によるバスケットとのペッグ制である。そのため香港ドルの方が相対的に安定しており、香港は中国大陸への外貨のゲートウエイになっている。

 その香港ドルが米ドルの引き上げのために崩壊すれば、人民元崩壊の端緒にもなり得る。だが、そんなことをすれば、アメリカとドルの信用で香港で金融資産を運用していた色々な国のマネーに悪影響が出る。アメリカやドルの国際的信用にも大きな悪影響が出る可能性もある。そこで米国も躊躇しているのではないか?

 因みに800億ドルというのは、リーマン危機で米国の金融機関が失った金融資産と、ほぼ同額である。リーマン危機の時、北京は当時の同国のGDPの約13%に相当する5,860億ドルの景気刺激策を発表し,その後に貸し出しのブームが起きた。そして中国経済は、2008年に9.7%、2009年に9.4%成長した。だが今年はコロナ禍で、せいぜい1%成長である。それも本当かどうかわからないと思う。

 中国は今年の第2四半期のGDP成長率が3.2%と昨年並みに戻ったと豪語しているが、その割には平均市民の実質可処分所得が前年同期に比べて1.3%減少し、20歳から24歳までの大卒者の失業率は、6月に約20%という過去最高を記録した。

  また2000年代の米国の不動産ブームのピーク時には、年間約9,000億ドルが住宅用不動産に投資された。6月までの1年間に、約1.4兆ドルが中国の住宅に投資された。ゴールドマン・サックスによると、2019年の中国の住宅と開発者の在庫の合計額は52兆ドルに達し?、米国の住宅市場の2倍の大きさであり、米国の債券市場全体をも上回った。

 しかし空室率は2割を超え、そのため利回りは2%と中国国債より低下している

 つまり中国経済はバブル状態で、いつ破綻するかわからないのである。それは中国経済—人民元が、ドルに依存していることを考えると、アメリカの金融システムの影響を、大きく受けると考えざるを得ない。

 前にも書いたように今、証券取引委員会委員長(SEC)だった金融専門の法律家が、かなりの無理をしてウオール街担当の連邦検事になろうとしている。SECには被害者が確定していない金融犯罪には強制執行権はない。そのための無理な人事異動ではないか?

 リーマン危機は不動産担保制証券と同じ会計で石油の先物取引も行っていたため、その追加保証金が莫大な不良債権と化したのである。今年の4月に石油価格がマイナスになった時に、どれ程の不良資産をウオール街の金融機関が背負ったかは、分からないと思う。

 実際、チェース銀行で多くの当座預金から、ある筈のマネーがない、あるいは無い筈のマネーがあるーといったトラブルも起こっている。つまり科目の付け替え等で誤魔化している可能性が今の段階ではあるのでは無いか?それを明らかにし、不良資産を消化させることが、連邦検事の無理な人事異動の目的では無いか?

 何れにしても隠している不良資産はリーマン同様、米国の会計年度末の9月末が近づくに従って顕在化し、もしかしたらリーマン同様の爆発を起こすかも知れない。

 他にも日本で言う民事更生法の対象になりかねないような、10億ドル以上の負債のある会社が、アメリカ全土で30社はあるという。それも9月末の会計年度末か遅くとも年末には60社になるのではないかと言われている。

 そしてJPモルガン?、チェース、シティ・バンク、ウェルズファーゴは、第2四半期の利益計上に大きな打撃を与えてまで、280億ドルの日本で言う貸し倒れ引当たり金を積んだ。それほどウオール街は、危ない状況なのであろう。

 アメリカの金融が破綻すれば、中国の金融=経済も破綻する。そうなれば中国は、アメリカとの戦争に打って出るしかなくなるかも知れない。

 そうなれば日本にも核ミサイルが飛んで来るかも知れない!

 だが希望もある。上記のように米国は、リーマン危機に学んで備えを行っている。4-6月期に人民元建ての中国国債に対する外国資金の流入ペースは2018年後半以来の好調さを見せた。流入規模は4兆3000億元と、過去最大を記録。今年上半期には、日本を除くアジアの企業が、30年以上の期間で286億ドル相当の債券を発行。5月、中国のSNS大手Tencentが、初回の40年間で7億5,000万ドルの債券を発行し、3.29%の分配を支払った。

 つまり米中はコロナ問題があっても少なくとも金融面では一体化を切り離すことが今のところは出来ず、相手を破滅させれば自分も破滅する関係が、完全に解消できていないのである。ファーウエイ社も1年分の半導体の備蓄があるという情報もある。

 前述の香港問題と同様に、トランプ氏としても、少なくとも自国を金融的に破滅させることは避けるかも知れない。香港への制裁や、中国の半導体輸入の問題にしても、土壇場で厳しい制裁を緩めるかも知れない。トランプ氏の今までの実は合理的な判断を前提に考えると、その可能性もあるとは思う。

 だが、それは中国の出方次第だと思う。香港、台湾、南シナ海等で中国が、やはり米国の利益に反する行動を取った時あるいはウイグル、チベットの問題で米国の価値観に反する行動を取った時そして5G通信の問題。米中戦争が起きる可能性は、やはりあると思う。その時に備えて日本は、小型空母や巡航ミサイルそしてF35等の配備を急ぐしかないだろう。米中の関係次第では米中戦争は今年の9月ではなく米国大統領選挙後―つまり来年以降になる可能性がある。

 9月に米中戦争を始めることはトランプ再選に非常に有利になる。しかし前記のようにトランプ氏は意外に合理的で、しかも本当に戦争が嫌いな様子。また米国は今まで自分から開戦したことはない。必ず相手から先に攻撃された形にする。そのための挑発を今、行っているとも考えられる。だが中国が半導体や金融の問題で我慢できるなら、9月以降まで我慢してしまうかも知れない。中国としてはバイデンが勝つことに期待しているだろう(そのために米国内での暴動等を煽っていると私は推測している)。それなら日本の軍拡も間に合わなくはないかも知れない。

 そして何れにしてもトランプのアメリカは今までのように日本を甘やかしてくれない可能性が低くない。自分は自分で最低限守ることを要求されるのではないか?それで良いのである。そろそろ日本人も70年以上も続いた平和ボケから目覚める時が来ているのではないか?


「GII REPORT」より転載
https://ameblo.jp/gii-report

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