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トランプ VS Twitterが暗示する米国の政治対立の未来

 トランプ米大統領とTwitter社の鍔迫り合いが本格化してきた。両者の本格的な対立激化のきっかけはTwitter社がトランプ大統領の「つぶやき」に対し、閲覧に注意喚起を呼びかける表示を行ったことだ。具体的にはトランプ大統領が郵便投票の不正発生に関する可能性と暴動に対する武器使用を示唆する内容を呟いたことに対し、Twitter社がその妥当性に疑義を呈した形となっている。

 怒り心頭のトランプ大統領は1996年に制定された通信品位法230条に認められたSNSなどのプラットフォーマーに認められた免責事項に対し、政府がプラットフォーマーが誠実な運用を行っているか否かの調査等を行う大統領令に署名した。この大統領令はプラットフォーマーに重い責任を生じさせる結果を生み出す可能性があり、米国の強みでもある世界を席巻するSNS事業者らの影響力を削ぐことになるかもしれない。(もちろん業者からの違憲訴訟も想定されるため、物事は簡単に進まないとする見方も強いが)

 共和党も民主党もプラットフォーマーが提供するSNS上の表現の自由の在り方に関しては強い憤りを有してきた。共和党側は保守的なコメントなどの削除等を通じて表現規制を受けていると感じており、民主党側は人種差別等の暴力的コンテンツが野放しとなっていると感じている。つまり、ワシントンの政治家たちは総じてプラットフォーマーの在り方、そしてその言論形成に対する巨大な影響力に対して好意的ではない。

 このようなワシントンの政治家達とプラットフォーマーの戦いはやがて来るアメリカ社会の新たな対立、それ以上に世界の在り方を先取りする未来像として捉えるほうが妥当だ。

 米国の東海岸に君臨する「ワシントンの政治家」「NYなどのオールドエコノミー」に対し、世界を変革する西海岸のシリコンバレーのリバタリアン達との対立は今後も激しくエスカレーションを繰り返していくことになるだろう。東海岸は変化を好まず古いままの社会の姿を好むのに対し、西海岸は社会の変革を常に促進する。シリコンバレーの企業らは表面上は民主党的なリベラルな色彩をまとっているが、一皮むいたその姿は果てしない進化と自由を求める獰猛な野獣である。

 現在までは西海岸の人々は東海岸の人々を過度に刺激せず、その力を蓄えてきた。しかし、そのような時代は終わりつつある。Twitter社をはじめとしたSNS企業が米国大統領に正面から宣戦布告した事態はそれを象徴するものだ。

 Facebook社はその中でも一際異彩を放つ存在であり、前述のような自らのプラットフォーム上の政治的な演説等のファクトチェックを行わない旨を宣言した。Facebookは独自の暗号通貨であるリブラの発行を模索しており、それを手にするまでは東海岸に恭順の意を示すだろうが、一度リブラを手にしてしまえば同社の強大な力を東海岸の人々がコントロールすることは極めて困難になる。

 共和党・民主党という2大政党が対立する米国の政治像は東海岸を中心としたものであり、その枠組み自体を遠からず西海岸の人々は破壊するか無意味なものにしていくだろう。トランプ大統領とTwitterの対立はその果てしない対決の未来を暗示する氷山の一角に過ぎない。

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