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米空母で新型コロナ感染拡大、艦長が悲鳴

米CBSニュースのインタビューに答えるマーク・エスパー国防長官(写真左)

米CBSニュースのインタビューに答えるマーク・エスパー国防長官(写真左)

 日本では2月、大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウィルスの感染拡大が発生し、その対策などが不十分だとして国内外のメディアやSNSで物議を醸したが、現在、米国でも似たような深刻な状況が起きており、その船の特殊性もあって米メディアで話題となっている。

艦長の書簡を独占報道した米サンフランシスコ・クロニクル紙=(同紙Webサイトから)

艦長の書簡を独占報道した米サンフランシスコ・クロニクル紙=(同紙Webサイトから)

 その一つが米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」である。同空母は太平洋での対中国戦略や中東戦略など、米国の軍事戦略で極めて重要な役割を担っているだけに、感染拡大による作戦能力への影響を懸念する声が上がっている。

 米紙サンフランシスコ・クロニクル(電子版、3月31日付)によれば、グアムに停泊中の同空母では既に100人以上の感染者が出ており、同紙はブレット・クロージャー艦長が海軍上層部宛てに支援を要請した4ぺージの書簡を掲載した。

 書簡の中でブレット艦長は、「ただの1人もこのパンデミックによって、無駄死にさせることはできない」と述べ、「断固とした行動が、今必要とされている」と強調。必要最低限の乗員を残しつつ、それ以外の大半の乗組員を下船させ、2週間の隔離を行うよう要請した。

 また興味深いのは、同紙はダイヤモンド・プリンセスについても言及していることだ。「Lessons Learned from the Dianmond Princess(ダイヤモンド・プリンセスから学んだ教訓)」と題した文が登場する。

 2月に学術雑誌「Journal of Travel Medichine」で発表された同船の感染拡大に関する論文記事を引用している。カッコ付きではあるが、「今までのところ唯一比較可能な事態」と捉えており、同じような状況が生じていることを物語っている。

 書簡では、対策がなかったダイヤモンド・プリンセスでは、「発生の早い段階で全て乗客と乗組員を避難させていれば、より多くの乗客と乗組員の感染を防ぐことができただろう」として、2000件以上の症例を阻止することができたと述べている。

 その上で、空母とダイヤモンド・プリンセスを比較し、「現在の状況を考慮すれば、最良の結果ですら(ダイヤモンド・プリンセスよりも)はるかに悪い可能性がある」と警告している。ブレット艦長は最後に「今は戦争中ではない。海兵たちが死ぬ必要はない」と改めて強調している。

 同じようにFOXニュースが先月27日、横須賀基地に配備されている原子力空母「ロナルド・レーガン」で感染者が出ていたとして、基地も封鎖したと報じていた。これらの事態に対して、マーク・エスパー国防長官は先月31日、CBSニュースのインタビューで、「我々はこの2隻以外にも空母を持っている」として米軍の即応態勢への影響を否定している。

 米軍は先月、医療体制が深刻化していたニューヨークとロサンゼルスにそれぞれ病院船を派遣している。それ以前に、米海軍は自分たちも“見えない敵”との戦いに苦戦を強いられている。

(デジタルメディア編集部 桑原孝仁)

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