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冷戦終結、マルタ会談から30年

中国と新たな対立構造権威主義国家からの挑戦

1989年12月3日、地中海のマルタで行われた首脳会談後、共同記者会見で握手するブッシュ米大統領(左)とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長(AFP時事)

1989年12月3日、地中海のマルタで行われた首脳会談後、共同記者会見で握手するブッシュ米大統領(左)とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長(AFP時事)

 米国と旧ソ連の首脳がマルタ会談で冷戦終結を宣言してから3日で30年。冷戦後、米国は「リベラルな国際秩序」の旧共産圏への拡大を目指したが、現在、ロシア、中国という権威主義国家からの挑戦を受けている。特に中国との対立構図は「新冷戦」とも評され、価値観の違いを背景とした覇権争いの様相を呈している。

 1989年12月のマルタ会談で冷戦終結に導いたブッシュ(父)米大統領(当時)は「新世界秩序の構築」を唱え、旧ソ連崩壊後に唯一の超大国となった米国が主導する国際体制による平和の実現を思い描いた。だが、米国がテロとの戦いを軸に国防戦略を構築し、軍事費の抑制を進める中、米国中心の国際秩序に対抗するため中国、ロシアは軍事大国化を図ってきた。

 米露の対立は、2014年のウクライナ紛争をきっかけに激化。トランプ政権が17年12月に出した国家安全保障戦略では、ロシア、中国について自由で開かれた国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」と明記。ロシアを「破壊的手法で各国の内政に干渉している」と批判した。

 その後もトランプ政権は、軍事費の増強を進めつつ、核・ミサイル戦力強化の足かせとなる中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄するなど、中露に対抗する姿勢を鮮明にしている。

 中国については、ペンス副大統領が昨年10月のハドソン研究所での演説で、「中国政府が、政治、経済、軍事的手段とプロパガンダを用いて、わが国の国内政策や政治活動に干渉している」と主張。厳しいトーンの批判を展開し、「新冷戦への号砲」とも評された。

 米議会でも対中強硬路線が超党派の支持を集め、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法案」は先月、ほぼ全会一致で採択。中国との貿易協議を抱える中、判断が注目されたトランプ氏も署名し、成立した。

 こうした対決姿勢の背景にあるのは、自由と民主主義と基本的人権の尊重などといった米国が掲げる価値観を踏みにじる中国への強い反発がある。米国家情報大学のダン・トービン教授は「米中対立をもたらす原動力は、中国の台頭とそれに対する米国の恐れというよりは、イデオロギーの競争だ」と指摘している。

ワシント 山崎洋介 

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