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ボルトン氏解任と今後の影響

■ボルトン氏解任

 強硬派で知られるボルトン氏が9月11日に解任された。トランプ大統領の外交で重要な立場だったので、ボルトン氏の解任は複数の国から反響があった。特にイランの反応は素早く、ボルトン氏が要だったことを世界に示した。

■国際社会の基本から見る

 国際社会の現実から見れば、軍事を背景にした外交を行うのが基本。何故なら戦争は政治の延長であり、戦争も政治の一つ。特にアメリカの様な覇権国は、軍事を背景に外交を行う。覇権とは言葉による指導力だから、軍事力で脅して言葉で指導する。

国家戦略=外交×軍事

 覇権国から軍事で脅された国は、戦争か平和を選択する。アメリカとの戦争は簡単だが勝利は難しい。戦争に勝てないと判断するからアメリカの支持に従う。見た目は交渉で対等な関係が演出され、アメリカの友好国として扱われる。

■穏健路線の場合

 国家戦略を実現するだめに、強硬派と呼ばれる人物が外交に関わる。ボルトン氏は軍事を背景にした外交を行う基本的な人物。国際社会の基本は外交と軍事だから、人類史の経験則として以下の2点が挙げられる。

1:寛容と忍耐を用いても人間の敵意は決して消えない。
2:報酬と経済援助を与えても敵対関係は好転しない。

 強硬路線から穏健路線に変更しても、一度生まれた敵意を消せた例がない。イラクはアメリカがフセイン政権を打倒して新たにイラクが始まった。新生イラクはアメリカの支援で活動したが、アメリカへの敵意は水面下で継続している。

 イラクがアメリカの援助を受けていることを国民は知っているが、一度生まれた敵意は援助では消えない典型となった。それどころかイランの覇権がイラクまで拡大すると、イラクはイラン寄りの動きを見せた。

■誤解させる可能性

 新生イラクがイラン寄りになったのは、ボルトン氏が採用される前から。アメリカの外交が穏健路線だったので、アメリカと対立するイランに接近した。では強硬派ボルトン氏が解任されたらどうなるのか?

 アメリカと対立するイラン・シリア・中国への攻撃は無いと断定される。イラクがイラン陣営に参加しても攻撃はないと断定される。中国は香港デモの長期化が悩みのタネ。これは可能性だが、強硬派ボルトン氏が解任されたのは事実。ならば中国は香港デモを武力鎮圧しても、「トランプ大統領は黙認する」と誤解するかもしれない。

 イランが誤解して核弾頭開発を公言すれば、トランプ大統領はペルシャ湾に空母艦隊を派遣するかもしれない。その時にイランは誤解したと気付く。この程度であれば良いが、中国が香港デモを武力鎮圧してからでは遅い。

■ヒットラーも誤解した

 ドイツのヒットラーは第二次世界大戦前から瀬戸際外交を採用。瀬戸際外交は戦争を相手国に売付け、戦争回避目的で譲歩させる策。当時のヨーロッパは第一次世界大戦の経験から戦争を回避した。これでヒットラーの瀬戸際外交は成功し、既成事実を積み重ねて領土を拡大する。

 当時のヨーロッパはヒットラーに対して穏健路線を続け、交渉でヒットラーを止められると思い込んだ。だがヒットラーは、ヨーロッパの弱腰が勝利の結果だと誤解した。その結果、ヨーロッパには平和ではなく第二次世界大戦が始まった。

 穏健路線で平和的な交渉は理想。だが円満解決など国際社会ではあり得ない。実際は不満を残した状態で交渉が終わる。我々はヒットラーが誤解した現実を忘れてはならない。歴史を見れば「まさか」と思うことが発生する。これは相手国が話し合いで解決すると思い込むからだ。

■トランプ大統領は交渉を望む

 トランプ大統領はイランへの制裁緩和で交渉を望んでいる。それに対してイランは、制裁解除をアメリカに求めている。見た目は話し合いによる解決を目指すから美しい。だが現実は国の運命を左右するから譲歩できない世界。

 イランは石油を輸出して利益を得たい。イランが求める制裁解除は石油の輸出。これが本質だから、トランプ大統領が使う制裁緩和は余計な副産物。この段階でトランプ大統領の思惑とイランの思惑は噛み合わない。

 イランは強硬派ボルトン氏を解任したので、トランプ大統領はイランを攻撃しないと断定するかもしれない。実際にトランプ大統領は、イラン空爆を土壇場で中止している。この事実が有るから、イランはトランプ大統領に対して強気で挑むと思われる。

■穏健路線の行き着く先

 穏健路線で第二次世界大戦は始まった。トランプ大統領は強硬派ボルトン氏を解任し穏健路線を確定した。アメリカと対立する国が、「アメリカは自分の国を攻撃しない」と誤解させた可能性が有る。そうなればトランプ大統領に対して強気になることは間違いない。最悪の場合は穏健路線が戦争を産み出すことになる。

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