«
»

トランプ米政権、国連でフェミニストに抗戦

 国連の女性・家族・社会政策が「家族解体」を目指すフェミニストら左翼勢力に牛耳られ、人工妊娠中絶やジェンダーフリー、同性愛・同性婚などが世界的に促進されてきたことは、保守派が長年指摘してきた通りだ。これに対し、トランプ米政権は国連で中絶反対や伝統的な家庭の価値を積極的に主張し、フェミニスト勢力に徹底抗戦している。(編集委員・早川俊行)

反中絶・家庭の価値を主張

 トランプ政権は国連の文書から「セクシャル・アンド・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)」という文言の削除を強く求めている。この言葉は、中絶や自由な性行動を促す意味でフェミニスト勢力によって盛り込まれてきたものだからだ。トランプ政権のチェリス・ノーマン・シャレー国連運営・改革担当大使は「家族計画の手段として中絶が含まれる文言は認めない」と明言している。

800

3月11日に行われた第63回国連女性の地位委員会の開幕会合(国連提供)

 国連安全保障理事会は4月に紛争下の性暴力防止を求める決議を採択したが、トランプ政権は拒否権をちらつかせて決議からこの文言を削除させた。

 ワシントン・ポスト紙によると、トランプ政権は3月に開催された国連女性の地位委員会でもこの文言の削除を要求するとともに、育児や家事など家庭における専業主婦の貢献を積極的に評価する内容を合意文書に加えることを主張したという。

 フェミニスト勢力は男女の性差を否定するジェンダーフリーを推進し、専業主婦を男女の固定的役割分担の象徴として攻撃してきた。同委員会でのトランプ政権の取り組みは成功していないが、米国が過激なジェンダーフリーに歯止めをかけようとしていることは注目すべき動きだ。

 このほか、トランプ政権はコンドームなど避妊法を教えることを奨励する「包括的性教育」や、生物学的な性別ではなく社会・文化的に形成された性別を指す「ジェンダー」といった言葉も排除を求めている。国連の公式文書から過激なイデオロギーを背景にした表現を取り除くことは極めて重要である。日本でも、国連の条約や文書を根拠にして、男女共同参画政策にジェンダーフリー思想が持ち込まれた経緯があるからだ。

 トランプ政権でこの取り組みを主導しているのが、厚生省国際問題局のバレリー・フーバー上級顧問である。フーバー氏は政権入りする前、結婚まで性交渉を控える「自己抑制教育」の普及に取り組む組織のトップを務め、キリスト教保守派から高い評価を得ている人物だ。当初は厚生省で内政を担当していたが、反中絶や自己抑制教育拡大で成果を挙げ、今年1月から海外担当に移った。この人事は反中絶・家庭重視の政策を国際的にも強化していくトランプ政権の意思の表れとみられる。

 当然のことながら、こうした取り組みはリベラルな欧州諸国や国連官僚から激しい反対に遭っている。だが、トランプ政権はサウジアラビアやバーレーン、マレーシア、ロシアなど社会問題では保守的な価値観を持つ国々と「新たな連合」(米メディア)を形成して対抗しようとしている。

 トランプ政権の動きに、国連でロビー活動を展開するフェミニスト勢力は危機感を強めている。米メディアによると、NGO幹部から「トランプ政権はブッシュ(子)政権よりはるかに過激だ」「これは一種の戦争だ」といった悲鳴に近い声が上がっているという。

 トランプ政権の取り組みが「過激」「戦争」と評されていることは、それだけ激しくフェミニスト勢力に抗戦していることを示している。

7

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。