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  • 乾 一宇
    乾 一宇
    元防衛研究所研究室長
    茅原 郁生
    茅原 郁生
    中国安全保障
    濱口 和久
    濱口 和久
    防衛レーダー
    高永喆
    高永喆
    拓殖大学客員研究員
    新田 容子
    新田 容子
    サイバー安全保障
    岡田 真理
    岡田 真理
    フリーライター
    杉山 蕃
    杉山 蕃
    元統幕議長
    竹田 五郎
    竹田 五郎
    元統幕議長
    田村 重信
    田村 重信
    元自民党政務調査会審議役
    吉川 圭一
    吉川 圭一
    グローバル・イッシューズ総合研究所代表

    アメリカの間接的な戦争

    ■アメリカの不可解な行動

     北朝鮮は短距離弾道ミサイルを発射した。1回目は200km飛び、2回目は420km飛んだ。最高高度は50kmだから短距離弾道ミサイルに該当する。だがアメリカは国連決議違反で北朝鮮を攻撃しない。それどころか空母打撃群すら派遣しない。

     それに対してイランには攻撃的。イランが短距離弾道ミサイルを移動し、アメリカ軍と同盟国への攻撃が予測される。北朝鮮とは異なり曖昧な情報でイランに空母打撃群と爆撃機を派遣した。

    ■大義名分

     北朝鮮は短距離弾道ミサイルを発射したから、北朝鮮に懲罰目的の空爆を実行する大義名分が得られる。アメリカに最適な大義名分が得られても北朝鮮を放置。今のアメリカは北朝鮮を放置しても追求する価値が有ることになる。

     イランはアメリカ軍と同盟国への攻撃を計画しているらしい。さらに短距離弾道ミサイルが移動していると発表されている。だがこれらの映像は確認されていない。北朝鮮とは異なり曖昧なことばかり。

     イランを攻撃するには大義名分がないに等しい。イランは何度もホルムズ海峡封鎖を示唆しているが、ホルムズ海峡保護だけでは大義名分にはならない。だがアメリカは強引にイランを攻撃する理由がある。

    ■中国と対立

     中国は急速に覇権を拡大し、世界各地に人民解放軍と基地を展開している。これは中国が進める経済圏である一帯一路と連動している。経済圏は継続的に使うことで価値を持ち、一度遮断されると経済圏全体に影響する。

     だからアメリカは“世界の警察”を自称して世界各地に軍隊を駐留させている。建前は世界の平和だが、本音はアメリカの国益第一。海上交通路付近の紛争やテロに対応して軍隊を派遣する。これで海上交通路を保護した。

     同時に軍隊派遣は言葉で指導する覇権の拡大と維持が目的になる。外国に基地を置けば、その基地から軍隊が周囲地域に派遣される。すると軍隊が派遣される範囲は覇権が及ぶ範囲になる。

     中国の一帯一路は経済圏だが中身は中国の国益第一。一帯一路の経済圏の中に人民解放軍は配置され、世界各地に中国の覇権を拡大することを意味する。そうなれば中国の覇権とアメリカの覇権が対立する。

    ■イランは中継地点

     戦略の中身は目的・手段・方法。海戦で言えば、制海権の獲得が目的になり、敵艦隊撃破と敵基地ネットワーク破壊は手段になる。そして自艦隊造成と基地ネットワーク造成は方法になる。

    海軍戦略=艦隊+基地ネットワーク
    海洋戦略=目的(制海権の獲得)・手段(敵艦隊+敵基地ネットワークの破壊)・方法(艦隊と基地ネットワークの造成)

    制海権=艦隊+基地ネットワークの継続利用。

     陸戦も概念は同じ。手段である敵陸軍と敵基地ネットワークを破壊すると敵戦略を破砕する。一帯一路の戦略の手段は基地ネットワーク。これが一帯一路の要であり物流の要。一帯一路の要としてイランは中継地点に位置する。

     つまりイランを攻撃すれば、中国の一帯一路は遮断され戦略の手段を破砕される。そうなれば一帯一路は経済圏全体で機能停止。アメリカはこれを狙ってイランを攻撃すると思われる。

    ■間接的な戦争

     今の平和は強国に都合が良いルール。今の平和は強国のため。だから軍隊を用いて開戦することは今の平和を否定する行為。仮に軍隊を用いて開戦すれば今の平和を否定する悪の国にされる。これが国際社会。

     これは強国でも容易には開戦できない。そこで国際社会では抜け穴が有り、間接的な戦争で国防を行うことになっている。間接的な戦争は、戦前のアメリカが行った蒋介石への物資供給と義勇兵フライング・タイガース。

     中国も朝鮮戦争で人民解放軍を義勇兵と称して派遣している。フライング・タイガースも人民解放軍も中身は正規軍。だが国際社会では、義勇兵と称すれば黙認される世界。だからロシアは、ウクライナ東部に義勇兵を派遣しウクライナと間接的な戦争をしている。

    ■革命防衛隊は義勇兵扱い

     イランのイスラム革命防衛隊は国外のシリアに展開している。革命防衛隊は宗教組織の私兵なので国際社会では義勇兵扱い。だからイランは革命防衛隊を用いて間接的な戦争をしている。

     アメリカが攻撃するのは革命防衛隊。国際社会では義勇兵扱いだが、アメリカはテロ組織に認定した。これはアメリカがイランを攻撃するための準備だと思われる。アメリカはイランを攻撃するが、テロ組織を攻撃するなら間接的な戦争であり対テロ戦争。

     対テロ作戦・対ゲリラ戦では正規軍を相手国に侵攻させても間接的な戦争に該当する。そうしなければ国防が出来ないので、国際社会では黙認される。実際にトルコは対テロ作戦を名目にシリアに陸軍を侵攻させた。

     アメリカはトルコに不快感を示したが、国際社会はトルコのシリア侵攻を黙認。これが国際社会だから、アメリカは革命防衛隊をテロ組織に認定。攻撃対象がテロ組織ならば、アメリカがイランを攻撃しても間接的な戦争になる。

    ■真の敵は中国

     アメリカの真の敵は中国。アメリカはイランを攻撃することで中国と間接的な戦争をする。直接中国と戦争できないなら、間接的な戦争で中国の覇権を潰す道を選んだ。だからアメリカはイランを空爆する。

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