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“超新星”ピート・ブティジェッジ、民主党大統領予備選に旋風起こすか

 2020年米大統領選挙にバイデン元副大統領が民主党予備選に出馬表明し、同党側の予備選挙候補者がほぼ出揃った。バイデン氏は Me Too 運動の煽りを受けて、そのブランドイメージを早くも傷つけながらの立候補ということになった。

 米大統領選挙は、予備選挙の実質的な期間も含めると約1年半に及ぶ長丁場だ。そのため、現時点で最有力候補だからと言っても、早期に目立ちすぎることは対立候補者やメディアからの集中砲火を浴びるリスクに身を晒すことになる。

 現在の最有力候補者は前述のバイデン氏とサンダース上院議員である。バイデン氏は民主党支持者から評価が高いオバマ政権の実績を強調するとともに、国際消防士協会などの有力な中道系労組を押さえつつ、大口・小口の献金者を集める手堅い形の選挙戦略をとっている。ネックは長い政治キャリアによる過去の言動に伴うスキャンダルの蒸し返しということになるだろう。

 一方、サンダース氏は幅広い進歩派民主党員と多くの若者に支えられた選挙キャンペーンを展開している。出馬初日の献金総額はバイデン氏に肉薄しており、現在までの献金者総数では圧倒的首位となっている。ただし、こちらも本人の高額所得問題や夫人のスキャンダルなどで攻勢一方というわけにはいられなくなりそうだ。

 首位グループに続く第2グループには、カマラ・ハリス上院議員、ベト・オルーク前下院議員、ピート・ブティジェッジ・サウスベント市長(インディアナ州)などが並んでいる状況だ。ハリス氏は女性最有力候補として注目されており、オルーク氏は保守地盤であるテキサス州で接戦を演じた点が評価されている。しかし、この2人は候補者として台頭するには最終的な決め手に欠いており、イマイチ伸びしろが不足した状況となっている。

 そこで、本論稿では民主党に現れた超新星であるピート・ブティジェッジ市長に注目したい。現在の民主党指導部の悩みの種は党内で台頭している左派(進歩派)の影響力を限定的に抑制し、接戦州での勝敗を分ける中道有権者層からの受け皿となる候補者を探すことだ。最も危惧される事態はサンダース氏ですら最左翼ではない状況となっている左傾化した党内の異常な状況に対し、本命・バイデン氏に万が一の事態があった場合のことだろう。したがって、民主党内では完全に左派とは言い切れない新スターが求められており、その白羽の矢が立った人物がブティジェッジ氏である。

 ピート・ブティジェッジ市長は複数の特長を持った異色の候補者である。37歳という若さ、マッキンゼー出身、多数の言語を操り、軍歴を持ち、LGBTをカミングアウトし、ラストベルト(中西部と大西洋岸中部)地域での行政経験を持つ。これらは見事にトランプ大統領と対照的な人物像であり、選挙の争点を描きやすいという利点を有している。複数の特長を持つ同氏のスタイルは、時と場合、更に相手に合わせて演説を使い分けるオバマ流の選挙PR戦略を彷彿とさせるものだ。

 現在、同氏の支持率は世論調査を重ねるたびに急速に上昇しつつあり、なおかつ極端な左派系政策に同意しているわけではないことも重要だ。先日、筆者が面談したトランプ政権の再選戦略を担うメンバーからのヒアリングでも、いまだ情報が不足する同氏の台頭についてダークホースとして注目しているとのことだった。

 今回の民主党予備選挙ではカリスマ的な候補者が不足しており、トランプ大統領の強烈なキャラクターに打ち勝つ候補者を見出すことは難しい。そのような中で異彩を放つピート・ブティジェッジ氏が旋風を巻き起こすことが出来るのか。今後の展開に注目していきたい。

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