«
»

中国の世界戦略を丸裸ースティーブン・バノン氏が日本へ警鐘

●「一帯一路」構想は東インド会社の応用編

 トランプ政権発足時から、首席戦略官兼大統領上級顧問を務めたスティーブン・バノン氏の来日講演を3月、都内某所で聞いた。日米の大多数のメディアは、「トランプ大統領と仲違いしたためバノン氏は辞任した」と報じているが、講演内容を聞く限り、バノン氏は「トランプ大統領の元側近」という肩書で、フリーハンドで世界を駆け巡り、トランプ政権の広報マンをしている、そういった印象だ。 

 そのバノン氏は、「一帯一路」構想について、「東インド会社の応用編だ」と断じた。中国(清朝)、インド、東南アジアは19世紀、イギリスに搾取される側だったが、その逆バージョンで中国共産党が胴元になった仕組みに過ぎない、ということだ。欧米社会では、「中国の復讐劇」と言う識者も少なからずいるが、いずれにせよ、悪名高き東インド会社を真似るところは中国共産党らしい。

 バノン氏はまた、「トランプ政権は、国家主権をとり戻すための政権である」とも語った。中国共産党の工作、すなわち赤い毒牙が政治や軍、企業、アカデミーに浸透している状況をリセットしたいからだろう。

 米政府の危機感の表れは、昨年10月4日、マイク・ペンス副大統領がハドソン研究所で行った対中政策に関する演説からも、にじみ出ていた。バノン氏は、「中国は道徳そのものが破壊されている、すべての価値基準がカネである」とも言い切ったが、筆者も長年、「中国共産党は神様ではなくカネ様」と表現し続けてきた。

 身震いするのは、「共産党には、支配者と奴隷しか存在しない。このままでは、日本は5年、10年の内に枝葉の場所になる。すなわち、各国の政治が連絡事務所となり、国民は奴隷労働者に成り下がる」というバノン氏の警告だった。
日本が脳天気なままでは、マルキストの習近平政権が日本を属国化する可能性がある、と警鐘を鳴らしたのだ。

●サイバー空間が武器化する!

 また、バノン氏は人民解放軍がかつて上梓した『超限戦』の内容に触れた。「戦争は3つの方法――サイバー空間含めた情報戦、経済戦、武力戦がある。西側諸国はハードウェア、すなわち武力戦の部分は制している。中国は今後、情報戦と経済戦で勝利し世界の覇者になる、と書かれている」と。

 そして、2020年が実現化の元年と言われる5G(第5世代移動通信システム)時代について熱弁した。IoT(モノとモノをインターネットがつなぐ)が一般化し、3G、4Gまでとは異なるダウンロードの早さなど、利便性が強調される5Gだが、バノン氏は、「サイバー空間が戦争の主舞台となる中、中国共産党と密接な企業が5G覇権を握ろうとしている。国家安全保障の観点から、是が非でも防がなくてらならない」「5Gはニューコンセプト。サイバー空間が武器化する。プルトニウムになる!」と熱弁した。

 世界の移動通信基地は、ファーウェイと中興通訊(ZTE)の2社で現状、40%強を占めている。そのファーウェイについて、バノン氏は「人民解放軍の背景を持った企業ではなく、軍そのもの」と言い切った。さらに「中国は独自でイノベーションしてきたのではない。ハッキング他、様々な方法で最先端技術を盗むか、脅したり騙したりして奪うか、それだけだ」とも述べた。

 筆者の知人である軍事専門家の1人は、「サイバー攻撃は、映画の世界ではない。時代が進むほど、簡略化された方法で暗殺できる。5Gを制すると、軍事的に圧倒的な支配力を持つことになる。少なくとも、自動運転の自動車に政府要人が乗っていれば、AIで攻撃されるかもしれない。さらに、身近に攻撃する方法もある。ガスや電気を消し忘れた際、スマホを使ってガスを停止する機能があるが、その機能をハッキングすれば、ガスを勝手につけて火事や爆発を起こすこともできる。つまり、IoTが強力な暗殺方法になる」と語っている。

 日本人は概して性善説で物事を考えるが、性悪説で動くのが世界だとすれば、利便性よりも、安全保障の観点から5Gをイメージし、早急な対策を練るのは至極当然になりそうだ。中国のBATH(バイドゥ・アリババ・テンセント・ファーウェイ)のみならず、アメリカのGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)が、習主席と少なからず密接な関係にありそうなことも、世界が注視している。 

18

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。