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  • 長谷山 崇彦
    長谷山 崇彦
    農学博士
    乾 一宇
    乾 一宇
    元防衛研究所研究室長
    加瀬 みき
    加瀬 みき
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    茅原 郁生
    茅原 郁生
    中国安全保障
    濱口 和久
    濱口 和久
    防衛レーダー
    菊池 英博
    菊池 英博
    日本金融財政研究所所長
    小松 正之
    小松 正之
    東京財団上席研究員
    高永喆
    高永喆
    拓殖大学客員研究員
    新田 容子
    新田 容子
    サイバー安全保障
    岡田 真理
    岡田 真理
    フリーライター
    杉山 蕃
    杉山 蕃
    元統幕議長
    竹田 五郎
    竹田 五郎
    元統幕議長
    田村 重信
    田村 重信
    元自民党政務調査会審議役
    上岡 龍次
    上岡 龍次
    戦争学研究家
    呂 永茂
    呂 永茂
    南北戦略研究所所長

    トランプ大統領は米中会談で関税を上げるか?

     アルゼンチンで開かれたG20と同時に2018年12月1日に行われた米中首脳会談で、いま10%の関税を掛けている米国が中国製品に対し10%の関税を掛けているが、それを25%に上げる予定を2019年2月末まで90日延期することになった。しかし、その90日の間に中国の(軍事転用可能な)ハイテク技術を米国から違法に入手するようなことや米国へのサイバー攻撃を停止する話し合いが付かなければ、やはり関税は25%に上げるという(例えばワシントン・ポスト12月1日配信“U.S. and China agree to new talks as Trump pulls back on tariffs”)。やはりトランプ政権の対中関税政策は軍事的側面が強いのである。

     トランプ大統領は2019年2月24日、関税の引き上げを延期し、3月中にも習近平主席と米中会談を行うと発表した。この約3ヶ月の間に中国は、大豆等の輸入の大幅な増加や、知的財産権保護の国内法整備を約束しており、それらが実現するならば米国内の輸出産業の景気や輸入品消費者物価それらの影響を受ける株価を考えても、トランプ大統領が一定の合意に達する可能性はある。

     しかし以下の問題があるため、完全な合意は難しいのではないか?

    BBCが12月6日に配信した“Huawei finance chief Meng Wanzhou arrested in Canada”という記事によれば、米中首脳会談と同じ12月1日に、中国が誇る世界最大の携帯電話とインターネット・ネットワーク・システムの会社ファーウエイの女性副会長Meng Wanzhou氏が、カナダで米国の対イラン制裁関係の法律に触れた疑いで逮捕された。FOXが12月11日に配信した“Meng Wanzhou, Chinese telecom exec facing possible extradition to US, granted bail by Canadian judge”という記事によれば、Meng氏はバンクーバーから離れないという条件で12月8日に保釈されたが、その保釈金は750万ドルもの高額で誰が払ったかは定かではない。そして12月12日にWSJが配信した“‘No Coincidence': China’s Detention of Canadian Seen as Retaliation for Huawei Arrest”という記事によれば、中国は12月7日に中国国内の人権状況等を調査していた元カナダ外交官のNGO活動家2名を逮捕。カナダがMeng氏を解放しないならば、深刻な結果になると警告した。その2名の一人は12月4日にフェイスブックに“国家安全保障の為にもファーウエイの5Gネットワークを英国等で販売するのを妨げねばならない”と投稿していたという。

    5Gとは従来のインターネット・ネットワークとは格段に速度も容量も優れた次世代のネットワークである。この技術に関してはファーウエイは世界で最も優れているとも言われている。

    そのためかWSJが12月14日に配信した“At Gathering of Spy Chiefs, U.S., Allies Agreed to Contain Huawei”という記事によれば、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関で構成される国際的通信スパイ組織Five Eyesの会議が2018年7月に開かれた時、ファーウエイの封じ込めが重要な議題になったという。特に米国としては、ファーウエイの5Gネットワークが世界に広がることで、重要な情報を盗まれたり、あるいは大規模な情報ネットワーク遮断を意図的に起こされることを懸念しているらしい。

    というのはForbsが12月13日に配信した“A Death In Silicon Valley ‘With Chinese Characteristics’”という記事によればスタンフォード大学教授で中国系アメリカ人のZhang Shoucheng氏が、米中首脳会談やMeng氏逮捕と同じ12月1日に自殺死体で発見されたという。Zhang氏はDHVCというハイテク振興団体のようなものを運営していたが、これは中国国営のZDGという団体からの莫大な資金援助で活動しており、これらの団体を通じてZhang氏は、中国共産党の最高幹部やアリババのマー社長そしてファーウエイ社とも深い繋がりがあったという。そして以上の事実の一部が11月20日にUSTRのレポートによって公になったことが何らかの意味で“死”の原因だったのではないかと思われる。

     このように中国は米国のハイテク産業界の技術奪取や産業界撹乱のために、あらゆる手を尽くしているのである。

     そのためNYTが2019年2月25日に配信した“Trump Touts Progress With China, but Pressure Grows for a Tough Deal”という記事によれば、トランプ氏の米中会談計画に対しては、民主党からまで反対が出て、また共和党内際右派の自由幹部会の造反の可能性もあり、またコットン、ルビオといった有力上院議員も、この情報通信技術での妥協への強い懸念を表明。特に民主党からの反対は、トランプ政権内対中強硬派のライトハイザーUSTR代表やナヴァロ通商製造業政策局長が(株価を重視する)ウオール街と闘う上で非常な力になるという。

     更に同記事では、いま米国が中国に要求している経済構造改革の中の重要ポイントである国営助成金交付の問題こそが中国による(情報)技術窃盗の重大な背景であり、その問題に決着を付けることが非常に難しいだろうと述べている。(それはZhang氏を巡る状況を見ても間違いないと思われる)

     つまり3月に予定される米中会談は、5G通信システムの問題で、最終的な合意には至らない可能性が低くないのである。

    そこで仮にファーウエイ社を莫大な罰金と引換に許すようなことがあったとしても、何らかの方法で5G通信による世界覇権だけは、中国から米国に奪取するようなことをトランプ氏は考えるかも知れない。そのために例えば他の問題では合意に至ったものの、国営助成金の問題で合意できなかったので、関税を25%ではなく15%に上げる。そのようにすることを米中会談までに何度か仄めかせば、市場に織り込み済みになるので株価等への影響も少ない。情報技術問題で譲歩しなければ、国内の反対も少ない。

    上記のような理由から、どうしても米国(とFive Eyes)は、5G通信における覇権を獲りたいと思う。実際、第二回米朝会談は物別れに終わっている。国家安全保障に関する問題で、国内経済を優先して安易な妥協を行うことは、トランプ氏にも難しいのである。

    以上のようにアメリカは、ハイテク開発等に至るまで、中国を警戒し、長期戦略を練りつつあるのである。日本も良い意味で追随するべき時だろう。それは日本の国家安全保障を守るだけではなく、真に健全なハイテク開発等の影響で、より日本人が豊かになって行く道であることは間違いないだろう。


    「GII REPORT」より転載
    https://ameblo.jp/gii-report

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