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米で中国系物理学者が不慮の死、秘密技術移転計画に関与か

ビル・ガーツ

 米国で1日に不慮の死を遂げた中国系米国人物理学者でスタンフォード大学教授の張首晟氏(55)は、世界のハイテク市場を支配する中国政府の秘密計画に関わっていたとされ、自殺との見方に疑念が持たれている。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は11月20日の報告で、張氏が設立したシリコンバレーのベンチャーキャピタル「ダンファ・キャピタル」が中国の産業政策「中国製造2025」と関連があることを指摘。トランプ政権は、2015年に開始された中国製造2025を、米国の技術を盗み出すためのものとみている。

 スタンフォード大学によると、張氏は量子物理学の研究を行っており、量子スピンホール効果で画期的な成果を挙げ、新素材、量子重力、AI(人工知能)の研究に携わっていた。

 USTRの報告によると、中国は米国の先端技術、知的財産を盗み出す新たな手段としてダンファなどのベンチャーキャピタルを使っている。1月から5月までの間、中国系ベンチャーキャピタルによる投資は、過去最高の24億㌦に達し、投資先はAI、ロボット、仮想現実(VR)、金融に集中している。

 中国政府は、シリコンバレーに数多くのベンチャーキャピタルを設立、何百社ものスタートアップ企業に資金を提供した上で、それらの企業から技術を手に入れており、報告は「経営に影響を及ぼし、経営そのものを支配することもあり得る」としている。

 ダンファは、デジタル・ホライズン・キャピタルの社名で活動し、中国国営企業、中関村発展集団(ZDG)の出資を受けている。

 報告によると「ダンファの投資先米企業は全体で113社。その大部分は、中国政府が戦略的優先部門としているバイオテクノロジーやAIなどの新興部門、技術関連企業だ」。

 張氏の家族の代表は、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに「警察は捜査を行っておらず、当局も教授の死に疑いを持っていない。家族によると張氏は時々、うつ病の発作を起こしていた」と、自殺との見方を強調した。

 しかし、USTRの報告が張氏の死と関連があるのではないかとの見方もある。

 張氏と長年交流があったという米国在住の中国人実業家、郭文貴氏は自殺説に否定的だ。郭氏は「張氏のことはよく知っている。(中国共産党に)協力していた」と記者(ビル・ガーツ)に語った。

 郭氏は自身のサイトに掲載した動画で、張氏は1995年に始まった中国共産党の科学者、技術者のリクルート秘密計画に参加していたと指摘した。この計画は、技術開発を支援するためのもので、2万人の専門家が関与しているという。

 これまで多くの中国政府関係者が「異常な死」を遂げている。マカオ連絡弁公室主任の鄭暁松氏が10月にアパートから転落死、7月には、中国複合企業、海航集団(HNAグループ)の創業者で会長の王健氏が、観光でフランス南部の教会を訪れ、転落死した。

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