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「交渉の達人」はどこに―トランプ氏

独断専行型が裏目に

 12日の米朝首脳会談では、「交渉の達人」を自任するトランプ米大統領が、歴代米政権が繰り返してきた北朝鮮との交渉失敗の歴史を断ち切ることが期待された。だが、具体的中身の乏しい共同声明からは、トランプ氏も同じ轍を踏んでしまった印象が否めない。周囲の意見に耳を傾けず、独断専行型の交渉スタイルが裏目に出た可能性が高い。

 「実務者協議はうまくいっているが、最終的には関係ない。ディール(取引)が成立するかどうか、間もなく分かるだろう」

 米朝会談を数時間後に控えた12日早朝、ツイッターに書き込んだこの一言が、トランプ氏の今回の交渉姿勢を象徴していたといえる。結局、部下の意見や取り組みは関係なく、トップである自分がすべてを決める、ということだ。

 トランプ氏は1987年に書いた自伝で、取引成功の秘訣について「一番大事なのはカンだ」と断言している。金正恩朝鮮労働党委員長が非核化に本気であるかどうか具体的な形で確かめずに合意に応じたのは、自らの直感に頼ったからだろう。

 トランプ政権には、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を筆頭に対北強硬派が揃う。普通であれば北朝鮮と安易な合意に応じる可能性は低いはずだが、トランプ氏はボルトン氏らの意見に耳を傾けなかったと見られる。ボルトン氏は首脳会談の拡大会合に出席したが、会談前の最終調整からは外されていたとの報道が出ていた。

(シンガポール 早川俊行)

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