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AI軍事活用 新段階に

米国防総省、中露への遅れ指摘も

 米中両大国が最先端技術、人工知能(AI)の開発をめぐって火花を散らす中、軍事的優位をめぐる両国の競争が新たな段階に入ろうとしている。米国防総省と情報機関の技術者らは、省庁の枠を超えた機関「統合AIセンター」を創設し、重要性を増すAIの分野で米国の支配的な位置の確立を目指している。

 グリフィン国防次官(研究・技術担当)は、連邦議会、国家安全保障機関に、統合AIセンターの必要性と重要性を訴えている。AI技術は、人間の意思決定やリスク評価をコンピューター上で行うもので、商用・軍事両部門ですでに活用されている。

 軍事では、AIによる自動化が進み、輸送、補給、国防総省、中央情報局(CIA)などが収集した情報の分析を支援してきた。これらの技術が今後、米軍だけでなく、同盟国にとっても欠かせないものになるのは間違いない。

 訪米したばかりのマクロン仏大統領も米国務省での演説で、平和を守るためのAIの開発と活用の重要性を訴えたばかり。

 国防総省は、AIを使って、無人偵察機が撮影した長時間の画像を精査し、標的を発見するための取り組みを進めている。プロジェクト・メイブンと呼ばれ、今後生かされ得るAIの可能性の一例だ。

 グリフィン氏は、中国など競合国に対抗するためのAI利用の促進を訴えるが、難しい課題もある。国防総省の巨大な官僚組織が障害となり、民間企業は情報・軍事機関のための技術開発で政府との協力に慎重だからだ。

 グリフィン氏は4月18日の上院軍事委員会での証言で「技術者が不足しているわけではない。不足しているのは、時間と、民間の先進技術を軍事に生かすノウハウだ」と国防総省での対応の遅れを指摘した。

 国防総省が主導するAIセンターは、戦場での技術的競争に米国が勝つための大きな戦略の一環。AIを米国の国家安全保障戦略全体でいかに効果的に利用するかをめぐるロードマップ(行程表)を6月にも議会に提出する。

 しかし、議会からは、中露はAI開発を精力的に進めており、両国に対抗するための政府の取り組みが遅いとの指摘もある。

 グリフィン氏は4月26日の上院歳出委員会での証言で、「中国は先進技術の開発に重点を置き、その開発と生産のサイクルは非常に早い」と指摘、国防総省の対応が遅いことに懸念を表明した。

 元CIA職員スノーデン容疑者による極秘資料の暴露後、国防総省、CIAとハイテク企業との関係が悪化していることがその一因だが、中国では、技術や情報の軍事利用に政府系ハイテク企業が抵抗することはない。

 グリフィン氏は「中国が今、築こうとしている革新技術全体を取り巻く協力体制に、米国も注目すべきだ」とAIをめぐる米国の現状に警鐘を鳴らした。

(ワシントン・タイムズ特約)

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