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ホワイトハウスから排除されるトランプ一族の影響力

 ジャレド・クシュナー大統領上級顧問が最高機密情報の取り扱い資格を喪失することになりました。ワシントンポストによると、中国などの最低4カ国がクシュナー上級顧問を通じて影響力を行使しようとしたことを米情報機関が問題視したことが原因となり、情報の取扱いにおける新方針によって、最高機密を取り扱う正式な資格を得ていないクシュナー上級顧問は情報に目を通すことができなくなりました。

 トランプ政権は政権発足当時からホワイトハウス内での内紛が絶えず、当初はトランプ氏が連れてきたクシュナー上級顧問らのリベラルな勢力と、スティーブ・バノン首席戦略官(当時)がお互いに牽制し合い、その力関係が目まぐるしく変わる状況となっていました。ラインス・プリーバス前首席補佐官は、それらの勢力争いを必ずしも統率できている状況にはなく、そのマネジメント能力が問題視されたことで、現任のケリー首席補佐官が国土安全保障省長官から横滑りする形でホワイトハウスに規律をもたらす役割を果たすことになりました。当初、ホワイトハウス内では権力闘争と縁故主義によって十分な機能が発揮されていないと見られていましたが、ケリー首席補佐官、マクマスターNSC議長、マティス国防長官ら軍人が重しとなることで秩序を取り戻すことになりました。

 また、クシュナー上級顧問がホワイトハウスに関わることについては、共和党員からも必ずしも支持があるわけではありません。共和党は伝統的に縁故主義を嫌う傾向があるとともに、ニューヨークからトランプ大統領が連れてきた親族はリベラルな傾向があると看做されているため、共和党員からの評判は芳しくありません。実際に、世論調査などでもクシュナー上級顧問がホワイトハウスに関与することを良しとする声は多いとは言えず、以前から共和党議員の中にはクシュナー上級顧問からホワイトハウスのセキュリティークリアランスを取り上げるように声を上げる議員も存在していました。

 一方、ミュラー特別捜査官によるロシアゲート疑惑は、既にロシア人13人が起訴されたことで、大統領選挙への介入方法が詳細に開示されることになりました。また、トランプ大統領の選対本部長を務めたマナフォート氏は別件でウクライナの親ロ勢力から受けた取った資金のロンダリングおよび銀行詐欺で起訴されている状態となっています。クシュナー上級顧問らトランプ一族とロシアとの関係はいまだ立証されていませんが、クシュナー上級顧問も大統領選挙期間中にロシア関係者と接触していたことも明らかとなっています。トランプ大統領はファミリービジネス出身者であるため、自らの親族を重用する傾向がありますが、今後更に捜査が進展していく過程で、トランプ大統領は規律を求めるケリー首席補佐官と、自らの腹心であるクシュナー上級顧問のいずれを選択するのか、という難しい判断を問われることになる可能性があります。

 トランプ政権は発足から1年1カ月が経過し、政権運営体制について新たな変化が生じつつあると言えるでしょう。万が一、11月に予定されている中間選挙で共和党側が敗北した場合、トランプ大統領の影響力は更に低下し、ホワイトハウスの中から同氏の一族が退去させられる可能性も少なくありません。その場合、トランプ大統領のスタンドプレーやリーダーシップは減退されることが予想され、政権全体が伝統的な保守派の方向に修正されていくことになります。クシュナー上級顧問、そしてイヴァンカ女史の扱いについては更に注目していくべきでしょう。


『切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!』より転載
http://yuyawatase.blog.jp/

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