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新聞以上に偏向著しい米国のTV

トランプVSリベラル・メディア(4)

 日本のテレビは放送法によって「政治的公平」や「意見が対立している問題は多くの角度から報じる」ことが義務付けられている。これに違反すると、放送免許取り消し処分が検討されることもある。

NBCニュース

昨年の米共和党全国大会を野外特設スタジオから報道するNBCニュース(岩城喜之撮影)

 一方、米国のテレビはかつて「フェアネス・ドクトリン」(公平原則)により、2大政党の候補者を同じに扱う規定があり、連邦通信委員会(FCC)が「不偏不党」を厳しく規制監視していたが、1987年にこの原則が撤廃された。

 「公平な報道」を必ずしも求められなくなったことで、今や米3大ネットワークのABC、CBS、NBCの各テレビ局と大手ケーブルテレビ局CNNテレビは、リベラル色を隠すことなく放送を続けている。

 こうした偏向は、選挙報道で強くなる傾向があると指摘されている。メディア監視団体「メディア・リサーチ・センター」(MRC)の調査では、3大ネットワークが昨年の大統領選期間中だった7月末~10月中旬に放送した夕方のニュース番組のうち、トランプ氏に対する報道の91%が「敵意に満ちた内容」だった。MRCは「トランプ氏の言動の多くが批判的に報じられたが、それに比べてヒラリー・クリントン氏の不正行為を掘り下げる時間は少なかった」と主張。「(テレビは昨年の大統領選で)クリントン氏の応援団と化した」と痛烈に批判した。

 汚い言葉をほぼ使わない新聞に比べて、テレビ番組では司会者やコメンテーターがトランプ氏に罵詈(ばり)雑言を浴びせたり、反トランプを露骨に示すことも多い。ABCテレビが1日に「フリン前大統領補佐官が昨年の大統領選中にトランプ氏からロシア政府と接触するよう指示されたと証言する用意がある」と誤報を伝えた時、このニュースを読み上げた同テレビ番組司会者のジョイ・ベイハー氏は、「やったー。彼(トランプ)は刑務所行きだ!収監しろ!」とはしゃぎ回ったほどだ。

 トランプ氏に対しては新聞よりテレビの方が否定的に報じる傾向が顕著なことは、データでも示されている。

 ハーバード大学ケネディ・スクールの「メディア・政治・公共政策センター」が、トランプ政権発足から100日間のニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙、CNNテレビなどの報道を調べた結果、トランプ氏を扱ったニュースは80%が否定的だった。

 このうちCNNテレビとNBCテレビは93%、CBSテレビは91%が否定的な内容だった。これはリベラルメディアの代表格とみられているニューヨーク・タイムズ紙(87%)の数字さえも上回っており、テレビの「客観性」に大きな疑問が突き付けられた。

 ワシントン・タイムズ紙のコラムニスト、チャールズ・ハート氏は「こうした偏向報道は(トランプ氏が再選すれば)8年も続くだろう」と指摘。MRCのブレント・ボゼル所長は、公平性をかなぐり捨ててトランプ氏や共和党の批判に終始するテレビの状況を「もはやプロパガンダだ」と指弾した。

(ワシントン・岩城喜之)

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