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政治記者の9割民主党支持

トランプVSリベラル・メディア(2)

 「新聞なき政府か、政府なき新聞のどちらかを選べと問われたら、躊躇(ちゅうちょ)なく後者を選ぶ」

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昨年10月に行われた米大統領選討論会を取材するメディア。同選挙では支持表明した新聞社の96%以上が民主党のヒラリー・クリントン元国務長官支持だった(UPI)

 第3代米大統領トーマス・ジェファソンが語ったこの有名な言葉は、言論の自由や民主主義におけるメディアの重要性を最も端的に表している。

 作家のデブラ・ミラー氏も著書『政治とメディア』で、「新聞は国民に必要な様々な情報を提供し、何百年も政治と企業の腐敗を暴露してきた」とし、メディアが米国の民主主義発展に寄与したことを強調した。これは誰もが否定できない事実だろう。

 ただジェファソンは、後に知人に送った手紙で「新聞を読まない者の方が、読む者より正しくものを知っている」と記すなどメディア批判に転じた。ミラー氏も、MSNBCテレビなどが左派的な偏向報道を続け、その意見に同意しない政治家を攻撃することが増えたと懸念を示し、「可能な限り客観的に報道しようと努めてきたものが失われつつある」と現在のメディアに苦言を呈した。

 米メディアが左に偏っているとの見方は以前からあったが、2000年代に入ってから、そうした偏向や党派性がより顕著になったとの批判は多い。

 57対2――。これは昨年の大統領選でヒラリー・クリントン元国務長官とトランプ氏の支持を表明した新聞社を比べた数字だ。もちろん多い方がクリントン氏で、その差は28倍以上になる。選挙期間中にトランプ氏が物議を醸す発言を繰り返し、大統領の資質に疑問が投げ掛けられていたことを考えれば、この差は妥当に思える。

 だが、主要メディアが民主党候補を支持したのは相手がトランプ氏だったからとは必ずしも言い切れない。

 カリフォルニア大サンタバーバラ校の関連研究機関「米大統領プロジェクト」によると、08年の大統領選で主要メディアとされる新聞社は支持表明がなかった社を除き、すべて民主党候補支持だった。12年大統領選も同様だ。

 特に新聞社の中でも影響力の強いニューヨーク・タイムズ紙は1960年以降、一貫して民主党候補を支持している。ワシントン・ポスト紙も1976年の正式な支持表明以来、どちらの候補も支持しなかった88年を除き、40年にわたって民主党候補の支持を打ち出している。

 そうした報道は「明らかに偏っており、党派性がないとは言い切れない」(ワシントン・タイムズ紙)。

 実際、インディアナ大学のラルス・ウィルナット教授らが2014年に発表した調査では、ジャーナリストのうち共和党員はわずか7%だったが、民主党員はその4倍だった。首都ワシントンで政治を取材する記者に限ると約90%が民主党に投票しているとの調査結果もあり、その差は歴然だ。

 選挙分析サイトのネイト・シルバー氏は、こうした偏向が昨年の大統領選で主要メディアが軒並み予測を外した原因だとの見方を示し、次のように警鐘を鳴らす。

 「自分の考えに合うよう事実を曲げると、間違いが起こる危険がある。悪いことに、ほとんどの記者や編集者はそうした偏見を強める傾向にある」

(ワシントン・岩城喜之)

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