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企業買収で米に侵入する中国

ビル・ガーツ

 米国防当局者らは、カナダの衛星通信企業ノーサット(本社バンクーバー)の中国ハイテラ・コミュニケーションズへの売却が発表されたことを受けて、国家安全保障上の脅威となる可能性があるとして懸念を表明した。

 売却がこの夏、発表されると、国防総省は、ノーサットとの契約を継続するかどうかの検討を進めていることを明らかにした。

 ノーサットは、サテライト端末機、マイクロ波機器、アンテナなどのハイテク通信機器を製造している。

 同社はこれまで、国防映像画像配布システム(DVIDSダイレクト)と呼ばれる移動式衛星システムを米軍に供給してきた。渉外担当部署が映像や画像を転送するために使用するシステムだ。

 ハイテラ社は、深圳に本社を持つ移動無線通信企業。中国の警察、治安部隊と密接な関係を持つことから、米国の電子機器への侵入が懸念されている。

 中国の光学ネットワーク機器メーカー、オーネット・テクノロジーズ・グループもこのほど、カナダ・モントリオールのITFテクノロジーズ社を買収した。オーネットは、中国の国営電子情報企業、中国電子ホールディングスの子会社である香港の企業が一部を保有していることから、この買収にも安全保障上の懸念が生じた。

 米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」はこの買収について、中国が技術を入手するために米国などの企業を狙っていることを示していると指摘した。

 同委が11月に公表した年次報告によると「中国は、米国への投資を増やしている。特に、中国共産党が戦略的と見なしている部門で著しい。これらの投資によって、自国では入手できない資本、技術を入手することが可能になり、中国企業の世界的な競争力が強まっている」という。

 中国は2016年、米国の電子・情報・通信技術に75億4000万㌦を投資。同委は、中国政府がすべての投資判断に「重大な影響力を持っている」と指摘している。

 米財務省の「対米外国投資委員会(CFIUS)」は、中国企業による米国内での企業買収を監視しているが、調査委の報告によると、CFIUSは国家安全保障をめぐる評価を下すために必要な能力を備えていないという。

 中国は特に、CFIUSの監視の目を迂回(うかい)しようとしており、買収によって、中国による米情報機関職員の個人情報の入手が可能になったケースもあったという。

 共和党のピッティンガー下院議員はCFIUSの審査を強化するための法案を11月に共同で提出、「中国は、米国への投資を武器に、国家安全保障の弱点を突こうとしている。軍事転用可能な技術と関連するノウハウをひそかに盗み出すこともその一環だ。こうして盗み出された技術が、中国軍の近代化と米国防産業の弱体化に役立っている」と訴えた。

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