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草の根団体の活躍如何が帰趨決める2018米中間選挙

連邦議会

 2017年も年末モードに突入しつつあり、来年の展望について考える丁度良い時期になりつつある。米国政治における来年の最も重要なイベントは、言うまでもなく2018年連邦議会中間選挙である。

 2018年中間選挙は全下院議員と上院の3分の1が入れ替えとなり、トランプ政権・共和党にとっては政権運営の中間評価を迫られるものだ。仮に共和党保有議席数が上下両院の過半数を割る結果となった場合、従来以上にトランプ政権の議会運営が厳しくなることは間違いない。

 そして、大統領選挙後に米国で行われた連邦議会下院議員補欠選挙と州知事選挙の結果は共和党にとって極めて苦しいものとなっている。補欠選挙に関しては11月30日現在で全5州の下院補欠選挙が行われてきたが、いずれも共和党の“金城湯池”における選挙戦であったにも関わらず、ユタ州を除く4州では共和党候補者が苦戦を強いられる失態を演じている。特にジョージア州下院議員補欠選挙はギングリッジ下院議長の地盤であり、トム・プライス厚生長官(当時、後に更迭)の地元であったにも関わらず、共和党側が選挙戦途中まで世論調査で劣勢に立たされている状況ですらあった。

 また、11月に実施されたバージニア州、ニュージャージー州の両州知事選挙でも、大接戦の末民主党候補が共和党候補を下している。筆者の米国拠点はバージニア州にあるのだが、連日のように郵便ポストに共和・民主両陣営(共和党系は草の根団体、民主党は党組織)からのお互いの陣営に対するネガティブキャンペーンのビラが投函されていた。特にラストの追い込みでは米国で発生した銃乱射事件にかぶせる形で民主党側の銃規制キャンペーンが強烈な勢いで展開されていた。

 以上のように、本年の選挙戦は共和党側は補欠選挙では辛勝、州知事選挙では敗北という極めて地合いが悪い状況であった。さらに、直近の12月中旬に予定されているアラバマ州上院補欠選挙でも、通常は共和党有利な選挙区にもかかわらず、世論調査上はやはり接戦の状況となっており、仮に共和党系候補者が敗北することがあれば、上院の議会運営はますます困難になるだろう。

 Real Clear Politics という世論調査の結果を集約したウェブサイトを参照すると、来年の中間選挙に関して共和党・民主党の平均支持率差は約10%(民主党が共和党を上回っている)となっている。これは昨年の大統領選挙に合わせて実施された連邦議会議員選挙のMAXの平均支持率差が6%程度であったことを考えると非常に厳しい数字であることが分かる。

 では、既に共和党側の中間選挙での敗北が決定しているか、というと答えは「ノー」だ。そこに選挙の面白みは存在している。

 筆者は共和党と民主党の現在の支持率差は最終的に大幅に縮小するものと予測している。共和党は保守系の強力な草の根団体組織によって支援されており、それらのネットワークがフル回転し始めると一気に支持率を回復させる傾向がある。昨年の選挙時もトランプ大統領に対して保守系草の根団体(キリスト教系やティーパーティー系)が支持を表明した9月から両党の支持率差は縮小し、最終的にはほぼ拮抗するところまで差が詰められた。

 また、共和党は民主党と議席数が拮抗する上院での勝利を目指す必要があるが、来年の改選選挙区は民主党が大勝した時の改選州であり、共和党の現職は鉄板の選挙区で勝ち抜いた候補者が現職であるため、現状以上の議席減少を予測することは基本的に難しい。そのため、全体の世論調査の状況とは裏腹に、実際には昨年トランプ大統領が勝利した諸州のうち幾つで共和党が勝利できるのか、が注目ポイントと言えるだろう。トランプ大統領と共和党は余程の大敗を喫さない限り、共和党が上院で惨敗することを想定できず、下院でも過半数はギリギリ保てるのではないかと思う。ちなみに、トランプ大統領が製造業、貿易問題、エネルギー規制緩和にこだわる一因は2018年選挙改選州で民主党が上院で議席を保有している改選州がそれらの問題に敏感な諸州だからだろう。

 トランプ大統領と共和党側にとって本年の選挙戦の数字は良くないものの、来年の選挙までに幾つかの政策的成果を挙げつつ、共和党系の草の根組織が本腰を入れて展開することで十分に持ち直すことができる状況だと言える。既に共和党・民主党ともに来年の中間選挙を見据えた動きが活発化しつつあるが、今後も日本国内では情報入手が困難である米国共和党保守派の選挙運動の動向について追っていきたい。

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