ワシントン・タイムズ・ジャパン

中露艦隊の日本一周はパフォーマンス

■国防に無関心な政治家

 中露艦隊が津軽海峡を抜けて太平洋を南下。その後、鹿児島県付近の大隅海峡を抜けて東シナ海に入ったことが明らかにされた。そんな時に日本の政治家は選挙に忙しい。中露が連合して日本への示威行動をしているのだが、政治家は何も感じない。

中露10隻、大隅海峡も通過 日本列島を一周

ロシア海軍のウダロイI級駆逐艦(防衛省統合幕僚監部提供)

ロシア海軍のウダロイI級駆逐艦(防衛省統合幕僚監部提供)

 中露艦隊の日本一周をネタに、国防の重要性を国民に説明する政治家はいるのだろうか? 選挙の最中に実行された中露艦隊の日本一周は、日本国民に国防の重要性を認識させるにはいいニュースになった。

■狙いは日米分断

 日本の防衛省が中露艦隊の動向を公表したが、日本の政治家・メディアの多くが無反応。防衛省は特異な行動と評しているが、それでも与党・野党から国防に関する発言は聞こえてこない。政治家は選挙に夢中で、国防に関することは放棄。選挙で国防を口にしても、国民は興味を持たないと判断しているのだ。

 結論から言えば、中露艦隊の日本一周は政治的なパフォーマンス。軍事を無視した特異な行動だ。日常生活で言えば、敵意を持つ相手の自宅の周囲を散歩と称して歩く行為。日頃嫌う相手が自宅の周囲を歩くと気持ちが悪い。散歩だから違法ではないし、他人と同じ移動だから中止を求めることもできない。これと同じことをしているのが中露艦隊。

制海権=艦隊+基地ネットワークの継続利用

 制海権は基地から戦場まで継続的に往復することで獲得できる。本来ならば、東シナ海・日本海の制海権を獲得することで、人民解放軍海軍とロシア海軍は連合できる。さらに、北海道と東北地方を占領することで津軽海峡を獲得する。

 中露艦隊の日本一周は、制海権を無視した行動。だから特異な行動と認識される。それでも中露艦隊が実行したのは、政治的なパフォーマンスを優先したからだ。つまり中露は、「戦争できないから政治的に脅して戦意を萎縮させたい」ということだ。

 中露としては、軍事的な脅しでアメリカが動くと困る。だから、アメリカが怒らない程度の政治的なパフォーマンスで戦意を萎縮させることを選んだ。この標的にされているのが日本だ。

 中露としては日米を分断し、理想としては日本を単独にさせて戦いたい。軍事的な戦いではなく、外交ならば日本を単独にできる。だからこそ、中露艦隊は日本一周で日本向けの示威行動を実行した。

■軍事演習を縮小

 中露艦隊が軍事を無視した政治的なパフォーマンスを行う理由は、中露艦隊が戦争できないことを隠すことが目的。だから政治的なパフォーマンスを派手に見せて、日本が不利な印象を植え付ける。

 中露艦隊が合同軍事演習と称しても、実際の軍事演習とは別物。軍事演習は敵がいないだけの戦闘で、指揮命令・行動・消費などは実戦と同じ。制海権は一つの海域を争奪するから、何度も往復することで獲得する。

 だが中露艦隊の日本一周は、一つの海域を争奪する行為ではない。常に移動しているから、制海権を奪う行為ではない。そのため、実戦とは別物になる。こうなれば軍事演習とは言えず、パレードしながらドンパチしているだけ。

 航海技術の向上は行えても、戦闘に関する技術向上は得られない。仮に実弾訓練を行っても、実戦ではあり得ない状況なので無価値。結果があるとすれば、軍事を知らない者を脅かして戦意を萎縮させる程度。

 悪い効果としては、軍事を知らないから過剰に反応するか、中露に対して危機感・警戒心を持つこと。今の日本は、どうやら後者のようだ。その意味で、中露艦隊の政治的なパフォーマンスは有益だった。

 中露艦隊が戦争できるならば、人民解放軍海軍は東シナ海で軍事演習を繰り返し、ロシア艦隊は日本海で軍事演習を繰り返す。平時の段階で日米から制海権を奪う行為を行い、我が庭に変えるはず。

 だが人民解放軍海軍は、南シナ海・東シナ海の軍事演習を縮小。ロシア海軍は、日本海で海上自衛隊を圧倒する軍事演習を行っていない。さらに、ロシア軍は日米に対抗するだけの航空戦力・艦隊をシベリア付近に配置していない。攻勢ではなく守勢の配置で、防御で日米の攻撃に耐える発想になっている。その理由は、ロシアの主力がヨーロッパに向けられているからだ。さらにロシアは大陸国家であり、海軍は脇役。これは中国も同じ。

 ロシア艦隊は沿岸警備に毛が生えた程度。実際に海外に基地を置き、太平洋で活動する基地を配置していない。このため日本海・オホーツク海で活動するのが限界で、千島列島を超えて太平洋で活動できないのが現実。

■対馬・壱岐・北九州の軍事強化で中露分断

 中露艦隊が政治的なパフォーマンスで日本を脅すなら、日本は軍事演習で対抗すればいい。日米艦隊で東シナ海・日本海で軍事演習を行うことは有益。中露艦隊が政治的なパフォーマンスならば、日米艦隊は軍事演習。こうなれば、中露艦隊の立場が悪くなる。

 次に対馬・壱岐・北九州の軍事強化は、人民解放軍海軍・ロシア海軍を分断する効果を持つ。ここに地対艦ミサイル・戦闘機隊が活動する基地を配置することで、中露艦隊を戦時になれば分断できる。

 海上自衛隊は、空母打撃群を保有することで、中露艦隊に対して優位になれる。それにはイギリス海軍が保有するクイーン・エリザベス級規模の空母が4隻は必要。保有すれば、任意の方向から火力を投射できる能力を持つので、敵基地攻撃能力が加われば優勢性が増す。これは外交上の優位性にも繋がり、中国とロシアの覇権を縮小させることに行き着く。

 日本の問題は、多くの政治家が国防を軽んじることだ。日本の総兵力の最大規模は80万人で、軍縮規模は50万人。だが今の自衛隊の総兵力は23万人。軍縮規模以下の総兵力だが、増員して雇用対策にする政治家がいない。

 今の日本で軍縮規模まで増員すれば、雇用対策だけでなく経済対策にもなる。何故なら、対馬・壱岐・北九州を軍事強化するのだから、インフラ整備などで金が動く。今の日本は選挙で忙しい。ならば、選挙で国防を優先する政治家を選ぶのも選択肢の一つ。

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