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イスラエル健闘の舞台裏-WBC

国内の関心薄い野球

 第4回ワールドベースボールクラシック(WBC)で、初出場のイスラエル代表が予想を覆して健闘した。

 ソウルの1次リーグで、強豪の韓国、台湾、オランダを次々と破り、2次リーグに進出。東京の2次リーグでもキューバを倒し、勝ち星が続いた。日本とオランダに破れ敗退したものの、その活躍に世界は目を見張った。

 実はイスラエル代表の強さには裏がある。主力選手は1人を除き、米国在住のユダヤ人、しかも、メジャーリーグ、マイナーリーグ経験者なのだ。

 WBCには、「国籍や永住資格があれば代表チームに入れる」というルールがある。このルールを利用して、イスラエルの国籍、永住資格を持つユダヤ系米国人のチーム参加が可能になったようだ。

 イスラエル代表として出場権を獲得したチームは、団結を強めるため、何度かイスラエルを訪れている。ユダヤ人としての結束力のせいか、その緻密なチームプレーは強豪国を苦しめた。

 活躍したイスラエル代表だが、大会前の国民の関心は極めて低かった。文化スポーツ相がラジオ番組で「韓国へ試合を見に行くのか」と聞かれ、何のことを聞かれているのか分からなかったほどだ。それほど国内の野球への関心は低い。

 イスラエル国内には野球場として使用できる場所が3カ所しかない。サッカーやバスケットボールのような激しいスポーツは人気があるが、野球は“盛り上がりに欠ける退屈なスポーツ”とみられている。

 イスラエル野球協会(IAB)によると、現在イスラエル国内の野球選手は約1000人。2007年に全6チームの野球リーグが国内で初めて開催された。しかし、選手の育成を急ぎ過ぎたため経済的に立ち行かず、たった1年で中止となった。残念ながら野球はイスラエルの国民的スポーツにはなれなかった。

 国内のメディアも、代表チームを簡単にしか取り上げず、国民のほとんどはチームの活躍どころか存在さえも知らなかった。一方、一部の野球ファンは、今回の代表チームの活躍で誇りを持てるようになったと喜んでいる。

 IABのピーター・カーツ会長は、これを機にイスラエルの野球人口を増やしたいと意気込んでいる。

(エルサレム・森田陽子)

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