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アフガン・カブール制圧1カ月、強権支配 徐々に復活

市民に広がるタリバンへの恐怖

カブールの大学前で警備に当たるタリバン戦闘員=11日(AFP時事)

カブールの大学前で警備に当たるタリバン戦闘員=11日(AFP時事)

 アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが駐留米軍の撤収に乗じ、首都カブールを再び制圧してから15日で1カ月。タリバンは当初、崩壊した民主政権関係者や外国への協力者を含む全国民への「恩赦」を強調した。しかし旧タリバン政権を思わせる強権支配を徐々に復活させつつあり、市民の間には恐怖が広がっている。

 英BBC放送は、タリバンが北東部パンジシール州で、「反タリバン勢力に携帯電話のSIMカードを売った疑い」で商店主を殺害したと報じた。同州では反タリバン勢力の中心人物で、旧民主政権の第1副大統領だったサレー氏の兄も処刑された。同氏の親族はロイター通信に、「タリバンは『遺体は腐敗するべきだ』として埋葬を許さなかった」と残虐さを訴えた。パンジシール州で14日までに殺害された非戦闘員は少なくとも20人に上るという。

 タリバンのムジャヒド報道担当者は8月17日の記者会見で、「誰に対しても憎しみはない。国民全員に恩赦が与えられた」と宣言した。しかしその後も投降した兵士を処刑したり、元高官の銀行口座を凍結したりと報復は続く。都市部などでは、「反体制派狩り」も行われているようだ。

 ムジャヒド氏は、女性の教育や労働の権利について「イスラム法の範囲内」で認めるとも述べていた。しかしタリバン幹部は13日、ロイター通信に「男女が一緒に働くことは(イスラム法で)許されていない」と主張。大学での男女共学禁止なども発表された。

 一方、タリバン内部は穏健派と強硬派に分かれており、一枚岩ではないことがあらわになった。タリバンに影響力を持つパキスタン政府筋は「暫定政権の閣僚発表が遅れた一因は内輪もめだ」と指摘する。比較的穏健で、米国との和平交渉に当たったタリバン副指導者のバラダル師は首相就任が取り沙汰されていたものの、暫定政権の副首相代行にとどまった。

 さらにバラダル師が公の場に現れないため、強硬派による殺害説まで流れた。タリバンは13日、バラダル師の肉声とされる演説を公開し、「内紛」のうわさを打ち消した。タリバン内の対立が深まれば、治安悪化の隙を縫って過激派組織「イスラム国」(IS)系武装勢力が伸長しかねない。また、各地で反タリバン勢力が蜂起し、内戦状態に陥るという懸念も出ている。

(ニューデリー時事)

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