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日本にとってのアフガン敗戦を総括せよ!

21日、アフガニスタンの首都カブールで、ロケット弾が発射された車を調べる治安部隊(EPA時事)

 21日、アフガニスタンの首都カブールで、ロケット弾が発射された車を調べる治安部隊(EPA時事)

 米国がアフガニスタン戦争で事実上敗戦し、バイデン大統領がその撤退を正当化することは米国の勝手だ。しかし、このアフガニスタン敗戦の日本にとっての意味は別途検証する必要がある。日本政府は、9.11後のアフガニスタンに多額の血税をつぎ込んできており、納税者がその責任を問うことは当然だ。

 日本がアフガニスタンのために支出したODAは約8000億円にまで膨れ上がっている。戦争に兵隊を派遣することが禁じられている日本政府は、金銭的な面で米国の戦争に貢献するしかない。アフガニスタン戦争に関しては、米軍への燃料補給などの側面で貢献してきたものの、日本政府ができることは専ら大金を払うことに限られる。

 日本政府は、巨額のODAを背景としてアフガニスタンに関する復興支援のための国際会議で主導権を発揮し、同国の武装解除などの平和的な活動に貢献してきた。しかし、その結末は西側の価値観を反映した民主主義の崩壊であり、武力によって原理主義的なタリバン政権が復活する事態となった。これは日本政府の弁解のしようがない外交政策上の失政である。

 米国は20年間で100兆円以上の巨額資金と米兵の貴重な生命をアフガニスタンの大地に浪費してきたため、日本とは比較にならないほどの負担を行ってきたと言えるだろう。米国国内でアフガニスタン戦争の総括が行われて、その検証・改善のための施策が本格化することは当然のことだ。既に連邦議員からは特別な調査委員会の設置を提案する動きが出始めている。

 一方、日本では約8000億円の資金を費やしてきた反省はほとんど見られない。8000億円は米国の100分の1程度の費用負担であるものの、日本の外務省1年間分の予算を上回る。無視して良い金額でないことは明らかである。しかし、日本の国会議員でこの支出を問題視して、今後同様の事態が起きないように再発防止に向けた検証を呼びかける声は皆無だ。

 まして、アフガニスタンは対テロ戦争であり、その戦争に資金面等で協力した上に敗北したことは、日本の安全保障にとって極めて問題であるという意識も薄い。タリバンはアルカイーダやイスラム国とも連携しており、日本でテロが発生する可能性や邦人が海外で拉致されて人質事件が発生する可能性なども真剣に考慮すべきである。だが、臨時国会が召集されないどころか、たとえ召集されたとしても、与野党で同問題についてまともに議論が行われる見込みすらない。

 国会議員の仕事は、国民の血税の使途を精査し、国民の生命・財産を守ることだ。日本の政局は、総選挙を控えた情勢となっているが、この問題に対して見識を有さない候補者に国会議員の重責を担う資格はない。

 メディア各社は候補者アンケートなどで、アフガニスタン戦争に対する意思決定・予算・施策について、国会で検証委員会を立ち上げることの賛否を問うてほしいと思う。日本の国会議員に国会議員としての仕事を求めるまたとない機会と言って良いだろう。

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