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中国の運命握るアフガン

■流動的な国際社会

カブールで警戒するアフガニスタン兵=21日(AFP時事)

 

 米中対立がイギリス空母打撃群をアジアに呼び込み、フランス海軍もアジアに海軍を派遣した。南シナ海で中国との対立が激化すると思われたが、イギリス空母打撃群が日本付近に展開した時に、アフガニスタン情勢が劇的に変化した。

 アメリカ軍がアフガニスタンからの撤退を決めると、タリバンが活動を活発化する。アフガニスタン政府と軍は抵抗するかと思われたが、敗北と逃亡を続けるだけ。これでアフガニスタン政府と軍は短期間で崩壊する。

 アメリカ軍は撤退を決定したが、現地に残る民間人の退避が間に合わない。アメリカ軍の攻撃軸が中国からアフガニスタンに移動したことで、中国とアメリカの立場は逆転。中国は政治・軍事で時間を獲得し、アメリカは時間を失うことになった。

 アメリカ軍はタリバンとの戦闘でアフガニスタンに拘束されると思われたが、イスラム国系テロ組織が自爆テロを実行。これでアメリカ兵・タリバンから死者が出る。するとアメリカ軍の攻撃軸は、タリバンからイスラム国系テロ組織に移行。

米軍、アフガンで「イスラム国」に無人機攻撃 標的殺害の模様
https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-usa-idJPKBN2FT021

 アメリカ軍はタリバンには行わなかった、ドローンを用いた攻撃をイスラム国系テロ組織に実行。アメリカ軍は撤退と民間人退避の妨害となる敵を、タリバンではなくイスラム国系テロ組織と認識した。これによりアメリカ軍の攻撃対象は、アフガニスタン限定から世界規模になった。

■アメリカとタリバンの間に協力関係

 8月になるとイギリス空母打撃群が日本付近に到着。その後グアムに寄港し、アメリカ・イギリス・オランダ・日本の合同訓練を実行。イギリス空母打撃群は連合軍の象徴となり、中国を意識した合同訓練を見せ付けた。

 そんな時にアフガニスタン情勢が激変。アメリカ軍はアフガニスタンからの撤退と同時に、民間人の退避を同時進行することになる。これはアフガニスタン政府と軍が短期崩壊したことが原因であり、本来ならば、アフガニスタン軍がタリバンと戦闘し、民間人の退避を行わせるはずだった。

 だがアフガニスタン軍は短期で崩壊。アメリカ軍は退避を優先し、攻撃軸が中国からタリバンに移行することになる。それによって、連合軍から中国への先制攻撃の可能性が無くなった。中国の安全が確保されただけではなく、中国からの開戦奇襲が容易になった。

 中国は台湾侵攻・インド侵攻・韓国侵攻・沖縄侵攻など選択肢が増えた。開戦奇襲ならば中国にも勝機が有り、アメリカ軍がアフガニスタンに拘束されている間に、タリバンと連携して侵攻が行える。だがアフガニスタン情勢は短期間で変わる。

 イスラム国系テロ組織が、アフガニスタンのカブール空港で自爆テロを実行。これでアメリカ兵とタリバンに死者が出た。アメリカ軍とタリバンは戦闘を行うかと思われたが、その前にイスラム国系テロ組織が双方に対して自爆テロを行ったため、アメリカ軍とタリバンに妙な協力関係が形成された。

 アメリカ軍はアフガニスタンに潜伏するイスラム国系テロ組織に対し、ドローンを用いた攻撃を実行。タリバンの報道官は事前通告が無いことを批判するが、タリバンはアメリカ軍を攻撃していない。つまり、現段階では暗黙の了解で戦闘が回避されている。

 アメリカ軍がタリバンを攻撃するなら、攻撃軸が中国からタリバンに移動する。その間、中国は連合軍から攻撃されない。さらに時間を稼ぐことができるので、都合が良かった。中国はタリバンを支援し、間接的な戦争でアメリカと戦えるはずだったが、アメリカ軍の攻撃軸はイスラム国系テロ組織に移動した。

■攻撃軸が中国に

 アメリカ軍の攻撃軸がイスラム国系テロ組織に変わるなら、中国の安全は得られなくなる。アフガニスタンのタリバンは地域限定。それに対してイスラム国系テロ組織は世界各地に潜伏している。

 イスラム国は2019年から壊滅状態。だが今も、中東・アフリカ・東南アジア・ヨーロッパにテロ組織が存在する。今後イスラム国系テロ組織が世界各地でテロを実行すれば、アメリカ軍は対応することになる。これは既存の基地ネットワークを使えるので、アメリカ軍はアフガニスタンから、既存の運用に戻ることになる。

 これによって攻撃軸がタリバンから中国に戻ることになる。つまり、振り出しに戻った。アメリカ軍はイスラム国系テロ組織への対応を大義名分に、対中国戦用の作戦を行うことが可能。それに対して中国は、自国から侵攻を行えない状況に追い込まれている。

狙いはインドか 中国当局、チベット軍区で大規模な軍事演習
https://www.epochtimes.jp/p/2021/08/78020.html

 中国はチベットで軍事演習を実行した。これは明らかにインド向けの威嚇。そして、インドに侵攻可能な状態にするはずだった。だが今の中国では、軍事演習を行ってもインドに侵攻することはできない。それどころか中国は、台湾侵攻もできない状態に追い込まれている。

 何故なら今の中国が侵攻を行えば、イスラム国系テロ組織と連携して侵攻したと見なされる。証拠は無いが状況証拠となるので、国際社会は中国を批判するだろう。さらに、カブールの空港のテロの共犯と見なされ、欧米の軍隊が中国に集まり地図から消す可能性も有る。

 この戦例はイラク戦争。イラクのフセイン大統領は大量破壊兵器を臭わせて欧米を脅した。だがアメリカは、大量破壊兵器保有を大義名分にイラク戦争を開始。戦後調べると大量破壊兵器は無かったが、疑惑を持たれると先制攻撃を誘引する。だからこそ中国は、この時期にはインド・台湾などに侵攻できない。

■鍵はイスラム国・イラン・インド・北朝鮮

 中国はタリバンの勢力拡大で逆転劇を得た。だが逆転劇も三日天下で、今度は中国の立場が悪くなる。今後も逆転劇が有るはずだが、鍵になるのはイスラム国系テロ組織・イラン・インド・北朝鮮だと思われる。

 イスラム国系テロ組織が活動を停止すると、アメリカ軍の攻撃軸は中国に戻る。イスラム国系テロ組織の活動が長期化すれば、連合軍からの中国への先制攻撃は無いが、中国かインド・台湾に侵攻することもできない。

 イランがアメリカ軍を攻撃すれば、攻撃軸がイランに変わるので中国には都合が良い。だがイランがアメリカとの融和を選ぶと、攻撃軸は中国に留まる。北朝鮮が瀬戸際外交を再開すれば、連合軍の先制攻撃を誘引する可能性が有る。

 今の国際情勢は流動的。タリバンの方針変更で、アメリカ軍との戦闘が激化する可能性も有る。そうなれば逆転劇であり、中国の戦略の選択肢は再び増える。だが今の中国は、外国に運命を左右される立場だ。

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