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中東 鉄砲水と灼熱化、海面上昇で移住も

地球温暖化にどう取り組む

 岩盤地質の中東で短時間の豪雨による洪水被害が急増している。国連政府間パネル(IPCC)は温暖化による気候変動が原因と見ている。集中豪雨があると岩盤に亀裂が入り、岩が崩落する可能性もある。水の流れもコントロールできない。岩盤が露出している所は雨が染み入る土がないことから、水はそのまま流れて鉄砲水となる。

 ヨルダンでは観光地ペトラで一昨年11月に鉄砲水(ゲリラ洪水)が発生、生徒ら16人が犠牲になった。レバノンのベイルートでは3分の降雨で道路が川になる。モロッコでもトルコでも山に森も土もなく雨水はそのまま流れる。

 IPCCによると、エジプトのアレキサンドリアなど地中海側では、今世紀中に30㌢から1㍍の海面上昇を予測。エジプトの人口の過半数が海岸から100㌔以内に居住しているため、海面が1㍍上昇すると人口の10%が住む場所を失うと世界銀行は試算している。

 ドイツのマックスブランク研究所によると、中東と北アフリカでは1970年代から灼熱日数が倍増。35年以内に夜間の最低温度は30度より下がらず、日中は46度に達する見込みだ。今世紀末には日中最高気温が50度に達し、熱波発生率は現在の10倍に達するという。同研究所は、エジプトでは人が居住できない地域が増え、ここ数十年の間に数万から数百万人が移住しなければならないと見て、現代版の「出エジプト」を警告している。

 一方、気温上昇と乾燥による水不足は深刻化している。非政府組織(NGO)、アラブ環境開発フォーラムによれば、中東のアラブ世界では1人当たりに可能な年間淡水利用量(ファルケンマーク指標)500立方㍍以下で、最低ラインの1700立方㍍を大幅に下回る。開発途上国の環境問題への取り組みを支援する地球環境ファシリティー(GEF)の元事務局長、モハメド・エルアシュリー氏は、「水問題への対処は、気候変動への対応ばかりでなく、人口急増への対応ともなる」と指摘した。

(カイロ・鈴木眞吉)

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