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トルコのシリア侵攻が戦争にならない理由

■シリアに侵攻

 トルコは10月9日にシリアにトルコ軍を侵攻させた。トルコから見ればテロ組織を攻撃することが目的。トルコは2018年1月20日からシリアに侵攻しており、今回は新作戦としてシリアに侵攻した。

 トルコは2018年からシリアに侵攻しているので、今回が初めての侵攻ではない。だが世界はトルコが戦争を始めたとは言わない。戦前の日本は戦争を始めたと批判されたがトルコは批判されない。これには理由がある。

■戦争になる場合

 トルコは隣国シリアに軍隊を侵攻させた。だが国際社会はトルコを批判するが、戦争を始めたとは言わない。国際社会は強国のルールで動く世界。暗黙の了解もあれば国際条約で決められたルールもある。

 平和とはアメリカの様な強国に都合の良い世界。強国は今の平和を維持したいから現状維持派になる。そして強国は世界の指導者として平和維持を世界に求める。仮に平和を否定する国は現状打破派の国であり、悪の国として断罪する。

 実際に戦前の日本はアメリカのハル・ノートに怒って開戦。当時の日本は宣戦布告後の正々堂々とした開戦だと認識した。だが開戦すると日本は悪の国として批判されている。これは当時の日本が国際社会の暗黙の了解を知らなかったことが原因。

 国際社会では宣戦布告は飾り。先に軍隊を用いて開戦した国は悪の国にされる。理由は軍隊を用いて今の平和を否定した。だから悪の国になる。これが国際社会の暗黙の了解。宣戦布告後に開戦しても、今の平和を否定する行為は悪になる。これを知らない当時の日本は失敗した。

■戦争にならない場合

 トルコは戦前の日本と同様に軍隊を隣国に侵攻させた。トルコは強国アメリカに逆らい今の平和を否定した。ならばトルコは悪の国に認定されるはず。実際はアメリカの不快感と各国の批判だけ。トルコが戦争を始めたとは言われない。

 これはトルコが対テロ作戦を大義名分にしているからだ。国際社会に暗黙の了解があるなら抜け穴も存在する。トルコは国際社会の抜け穴を用いているから戦争を始めたとは言われない。この抜け穴の一つが対テロ作戦による隣国侵攻。

 テロ組織・ゲリラは国境を無視して移動する。戦闘で不利だと判断すれば隣国に避難する。軍隊は国境に合わせて作戦すれば、隣国に逃げたテロ組織・ゲリラを殲滅できない。これでは国防の失敗。

 強国もテロ組織・ゲリラを隣国まで追うことがある。これで強国が軍隊を隣国に侵攻したら、強国が今の平和を否定する悪の国になる。これでは都合が悪い。理想と現実のバランスから、テロ組織・ゲリラを追う場合は戦争とはしない暗黙の了解が生まれた。これなら国防もできるし今の平和を否定しない。だが抜け穴として悪用する国も出るのも事実。

■間接的な戦争の例

 国家間の戦争で軍隊同士が戦争する場合は直接的な戦争に区分され、国際社会の抜け穴を使う戦闘は間接的な戦争に区分される。

直接的な戦争:軍隊同士の戦闘
間接的な戦争:義勇兵の投入・大砲やミサイルを用いた越境攻撃・テロやゲリラを支援

 軍隊を用いて開戦すれば今の平和を否定する。開戦すれば悪に国にされるから容易には戦争を始められない。だが国際情勢から仮想敵国との対立は避けられない。この様な時に使われるのが間接的な戦争。

 戦前のアメリカは日本と対立していた。アメリカは日本と戦闘する蒋介石を支援。さらに義勇兵フライングタイガースを派遣した。フライングタイガースの中身は正規兵だが義勇兵を称すれば黙認される。何故なら自国も使ったことがあるか、将来使う可能性があるから黙認する。

 アメリカは日本が開戦する1941年よりも先に間接的な戦争を始めていた。アメリカが先に対日戦争を始めているが、間接的な戦争なので国際社会は黙認する。これが国際社会の抜け穴の効力。

 朝鮮戦争の時も中国は人民解放軍を北朝鮮に義勇兵と称して派遣した。明らかに人民解放軍なのだが、義勇兵と称すれば国際社会は黙認する典型例。理屈では納得できない世界だが、国際社会は人間の価値観を用いた経験則が優位の世界。

■国際社会は抜け穴だらけ

 イランは革命防衛隊を用いてイラクで戦闘させている。イスラエルは空軍機を用いてイラクで活動する革命防衛隊を空爆。だが国際社会はイランとイスラエルの戦闘を黙認。イランもイスラエルも戦争を始めたとは言われない。

 何故ならイランの革命防衛隊は正規軍ではなく宗教組織の私兵。国際社会では義勇兵と見なされる。だからイランの間接的な戦争なので黙認される。イスラエルは正規軍である空軍機を用いてミサイル攻撃をさせた。大砲を用いた砲撃やミサイル攻撃を用いた越境攻撃は間接的な戦争に区分される。だからイスラエルの間接的な戦争なので黙認される。

 イランもイスラエルも今の平和を否定しない間接的な戦争で対立している。これなら国防も可能だし仮想敵国と戦える。国際社会の抜け穴を用いるから世界各地で紛争が続いている。

■対テロ作戦だから黙認される

 トルコは対テロ作戦を大義名分にした。これなら間接的な戦争だから今の平和を否定しない。アメリカとしては自国の覇権に接触するから批判するが、トルコを戦前の日本の様に悪の国にできない。

 トルコはイスラエルと同様に空軍機を用いて越境攻撃。陸軍は空軍機の火力支援を受けて進撃。これは戦争と同じだが、対テロ作戦だから間接的な戦争に区分される。だから安心して侵攻できるのだ。

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