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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
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    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    イラン革命から「40年」の成熟度は

     イランのイスラム革命が発生して今月11日で40年を迎えた。イランのイスラム教(シーア派)最高指導者ホメイニ師が亡命先のパリからテヘランに帰国し、パーレビ王政を追放した通称イラン革命は親欧米国家をイスラム教の最高指導者を頂点とする共和制に代えた。イスラム文化では「40」という年数は「成熟」を意味するという。そこで過去40年間のイランの成熟度を考えてみた。

    800

    テヘランのアザディ広場でイラン革命40周年の記念演説をするロウハニ大統領(2019年2月11日、イラン大統領府公式サイトから)

     イランの国際的評価は芳しくはない。トランプ米大統領にとってイランはイスラム教テロを支援する「テロ国家」であり、イスラエルにとってはイランは最大の脅威だ。シリアのアサド政権を内戦勃発当初から軍事的に支援し、レバノンではヒスボラ(神の党)を、イエメンでは反政府武装組織「フーシ派」を軍事支援してきたことは周知の事実だ。トランプ大統領は「イランはテロを世界に拡大している」と主張している。

     イランは今月2日、射程1350キロを越える新型巡航ミサイルの実験を行い、成功させたばかりだ。同国国営テレビによると、アミール・ハタミ国防軍需相は「今回、実験が行われたホベイゼ巡航ミサイルは1200キロ先の標的に正確に命中した」と誇らしく報告している。

     ロウハニ大統領は11日、テヘランのアザディ広場の「イラン革命40年祝賀式典」で、「防衛力向上のためにミサイル開発をするのに他国の許可はいらない。わが国の軍需品の85%が自国製だ」と軍事産業を称賛している。

     ロウハニ大統領が記念式典でミサイル開発など軍事活動を奨励したのは少々異例だ。米国が核合意から離脱し、制裁を再開したことで、ロウハニ師らイラン穏健派に対して国内強硬派から激しい圧力があるという。それだけに、軍事産業の成果を称賛することで強硬派への配慮を見せたのではないか。テヘランからの情報によると、集会参加者は「米国に死を」「イスラエルに死を」と叫んだという。

     イランのイスラム革命防衛隊のジャアファリー総司令官は、「米軍がわが国を攻撃したならば、わが軍は即、イスラエルのテルアビブやハイファを木っ端微塵に打ち砕く」と警告を発している。

     ところで、イランは過去40年で軍事的には弾道ミサイル開発で一定の発展はあったことに間違いないが、国民経済はどうだろうか。30歳以下の若年者の失業率は30%にもなる。米国の対イラン制裁の影響もあって、国民の日常生活は厳しい。通貨リアルは制裁の影響で60%以上の価値を失い、国民は必要な薬を買うのも大変だ。「パーレビ王政時代の方がよかった」という声すら聞かれる。石油輸出国機構(OPEC)の加盟国であり、世界的原油生産国だが、イラン国民は経済的恩恵を受けていない。

     ちなみに、イランと米英仏中露の国連安保理常任理事国にドイツが参加したイラン核協議は2015年7月にイランがウラン濃縮活動を縮小する一方、欧米諸国は対イラン制裁を段階的に解除することで、包括的共同行動計画(JCPOA)として合意が実現したが、トランプ大統領は昨年5月8日、この核合意から離脱を表明。米国の対イラン制裁が再開されたばかりだ。

     米国を除く欧州3国(英仏独)は1月31日、イランが国際原子力機関(IAEA)との間で締結した核合意を遵守しているとして、米国の制裁によるイラン側の経済的ダメージを縮小する独自の「特別目的事業体」(SPV)を設置、米国企業と取引している欧州企業が米国からの制裁を恐れて、イラン産原油取引に手を出さないという状況を回避するために努力しているが、どれだけ効果があるかは今後の動向を見ないと判断できない。 

     イラン指導部にとって最大の懸念は、国民の過半数が30歳以下と若く、ホメイニ師といっても歴史書の中でしか知らない国民が全体の3分の2になることだ。イラン革命50周年を迎える頃にはイスラム革命を体験した世代は去り、ホメイニ師を知らない世代が社会の大多数を占めることになる。

     彼らはインターネットを通じて国際社会の状況を知っている。イラン国民はこれまで「自分たちの生活が苦しいのは米国とイスラエルのせいだ」と考えてきたが、今は「指導者の腐敗と失政のせいだ」と受け取り出してきたのだ。オーストリア代表紙プレッセが11日報じたところによると、イスラム寺院で行われる金曜礼拝に参加する国民は5%以下だという。パーレビ王政時代でも国民の半分は金曜礼拝に参加していた。

    ロウハニ大統領は11日の演説の中で、「米国、イスラエル、サウジアラビアはわが国の政権を崩壊させようとしているが、国民と政府が結束すれば、その画策を打ち破ることができる」と述べたが、その国民と政府の結束は益々弱まってきているのが現実だ。

     なお、トランプ大統領はツイッターで「イラン革命40年は失敗の40年だった」と酷評している。

    (ウィーン在住)

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