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    安東 幹
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    坂東 忠信
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    古川 光輝
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    細川 珠生
    細川 珠生
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    井上 政典
    井上 政典
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    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
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    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家
    宇佐美 典也
    宇佐美 典也
    エネルギーコンサルタント

    海外居住韓国人の切ない願い

     知人の韓国外交官と昼食を一緒にする機会があった。テーブルに着くなり話題は南北朝鮮半島の現状になった。
     「君はどう思うかね」

     「朝鮮半島の現状はこれまでにないほど危機感がありますね。武力衝突の危険すら感じます」と正直にいうと、

     「米朝間で軍事衝突はないだろう。紛争が起きれば大変なことになるからね」と答えた。

    ソウル世界花火祭り

    ソウル世界花火祭り(ソウル観光局公式サイトから)

     多くの国民が住んでいる首都ソウルと北側国境線までは100キロもない。軍事衝突すれば、ソウルが真っ先にやられる。「そうなれば数十万人の国民が犠牲になるからね」という。だから、米朝間の軍事衝突は避けなければならないというのだ。

     当方はその意見には同意したが、米韓軍の奇襲作戦について少し尋ねた。
     「米軍は犠牲者が多く出る地上戦はしないでしょう。圧倒的な力を持つ空軍を総動員して短期間に北側の軍事拠点を破壊する可能性はどうですか」と聞いてみた。

     知人は「君、38度線の北側には数千の砲兵部隊がいつでも韓国に向かって射撃できる体制を敷いている。米空軍が国境線に配置された北側の部隊に攻撃すれば、それらの砲兵部隊は即、山の中に移動することができる。38度線の北側には小高い山があるが、その山の中に地下基地がある。米空軍が空襲を始めれば、一斉に山の中に隠れるから、国境線沿いに控えている北側部隊を短期間で全滅させることは難しい」という。

     海上から巡航ミサイルトマホークを数百発、北の軍事拠点に攻撃しても完全には壊滅させられない。北側も黙っていないから反撃を始めるため、軍事衝突すれば、双方に多くの犠牲が出ることは避けられなくなる。知人の見解は「正論」だろう。

     そこで「軍事解決がダメとすれば、外交で解決する以外に選択肢がない訳ですが、どのようにして解決できるのですか」と当然、質問せざるを得ない。

     知人は「さまざまな外交ルートでその可能性を探っている段階だ」というが、具体的には説明しない。はっきりとしていることは、韓国側は「米朝間で舌戦は激しいが、軍事衝突は避けるという理性が双方に働いていると信じている」という。

     そこで当方は、「偶発的な出来事が生じがる危険性は常にありますね。米朝間で一種の軍事ホットラインはあるのですか」と聞くと、「米朝間には多分ないが、南北間では軍事ホットラインがある。これまで韓国側が話しかけても北側の返答はなかったが、緊急事態が発生した場合、ホットラインが機能するだろう」というのだ。

     例えば、米軍の奇襲作戦で最高指導者・金正恩労働党委員長に何か生じた場合、北人民軍の指導者がホットラインを利用してその旨を韓国側に通知し、即休戦に入るといったシナリオが出てくる。最高指導者の死亡で北の人民軍が混乱し、暴発する危険性は避けられるというわけだ。

     北側が8月29日、中距離弾道ミサイルを発射し、ミサイルは北海道上空を通過して、太平洋の洋上に落ちた時、日本ではミサイルが通過する地域でJアラートが機能し、国民は安全な場所に避難するなど対応した。

     サイレンが流れ、「北朝鮮がミサイルを発射したようです。頑丈な建物か地下に入って避難してください」というメッセージが流れる。その数分後、今度は携帯電話にSNSが入ってきた、という具合だ。

     そのニュースが韓国側に伝わると、多くの韓国国民は北のミサイル上空通過で避難する日本国民の姿を見て違和感を感じた、ということを聞いた。

     もちろん、韓国側にも危機管理があり、避難場所などが準備されているが、上空通過だけで即避難する日本人の危機管理には驚いたわけだ。

     韓国国民は長い間、隣国・独裁国家の危険にさらされてきたから、一種の危機慣れというものがあるのかもしれない。その点、戦後から平和憲法に守られて危機感を失っていった日本国民が朝鮮半島の危機を目撃し、慌てているという面もある。日韓両国の国民の間では単に歴史観だけではなく、危機感でも違いがあるのだろう。

     家族をソウルに残している海外居住韓国人は皆、切ない思いだろう。朝鮮半島の危機を外交で解決できる道を模索しなければならないが、具体的な外交的解決策がまだ見えないだけに、焦りと懸念だけが強まる。

    (ウィーン在住)

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