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韓国の危機感ない大統領候補警護

 半分冗談にしても暗殺予告があった韓国の大統領候補、共に民主党の文在寅氏は選挙戦最終日の朝、ソウルの党本部で記者会見するというので向かった。

文在寅氏

会見する文在寅候補=5月8日、ソウル・ヨイドの共に民主党党本部

 党本部前は警察官が警備していたが、誰何(すいか)もなしに簡単に入れる。「会見場はどこですか」とエレベーターホールで聞くと2階だという。後で、その人物は候補者の警備だと分かったが、外国訛りの韓国語を使う人物を怪しむわけでもなかった。上がって行くとすぐに会見場があり、すでに机の大半は記者で埋まって、会見台の前は三脚の列だ。適当に場所をとって待つ。

 見渡すと若い女性記者が多い。約4分の1以上はいそうだ。男性も若手がほとんどで、ベテラン記者の姿は見当たらない。日本とはだいぶ様子が違う。それに混じって普段出入りしないネット記者や外国人ジャーナリストが混じる。彼らは記者証があるわけでもなく、名刺を出したわけでもなく、そもそも受け付けさえない。全くフリーで入れるのだ。

 時間前に姿を現した文候補は記者をかき分けて前に進む。「圧倒的支持での勝利」を訴えて、質疑応答もなしに早々に釜山へ飛んだ。時間にして10分。

 それにしても“大統領に最も近い人物”なのに、この警護体制、セキュリティーの甘さ、緩さは何なのか。北朝鮮の核・ミサイル挑発も続くが、会見ではあまり触れられず、南北関係についての方針も示されなかった。外交では「米中日露との外交問題の解決」に言及しただけである。

 国外の危機は大統領戦のイシューにはなっていない。かと言って、経済対策に新機軸を打ち出すわけでもない。候補者からは外交、国政、経済への危機感はほとんど感じられない。北岳山が霞んで見えなくなるほどのPM2.5の方がよほど大きな問題のようだ。市民はマスクをかけて普段通りの月曜の朝を迎えていた。

(ソウル・岩崎 哲)

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