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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    北朝鮮に近代的な「眼科クリニック」出現

     「金正男暗殺事件」がウィ―ンの北朝鮮外交官たちにどのような影響を与えているかを取材するために、ウィーン市14区の北朝鮮大使館まで足を延ばした。大使館の写真展示を見ると、多くの写真は故金正日総書記と息子、金正恩氏が一緒に現地視察をしているところを撮ったものだった。

    眼科クリニック柳京

    北の近代的な「眼科クリニック柳京」=駐オーストリアの北朝鮮大使館設置の写真展示から(2017年3月20日、撮影)

     金正日総書記の直系で異母兄の金正男氏を暗殺した直後だけに、金正恩氏の複雑な心情世界が写真展示にも反映しているのを感じた。「自分は金正日総書記の直系の息子だ」という叫びとでも表現できるかもしれない。金正恩氏の金正男氏に対する出自の負い目だ。写真は金正恩氏と父親・金正日総書記の親子関係を懸命にアピールしていた。

     親子同伴の写真は別として、興味深い写真が展示されていた。非常にモダンな眼科クリニック「柳京」の写真だ。ウィ―ンでも見たことがないほど近代的な外観で、2階には眼をモチーフにした窓ガラスが設置され、メガネフレームの売り場も見える。若い女性が百貨店のように患者を案内している。もちろん、近代的な「眼科クリニック」ができても眼科医がいなければならないし、設備が重要だ。写真ではその点は不明だ。

     「眼科センター」の写真をみて先ず考えたことは、「金正恩氏は最近、目を悪くしたので、欧米最新の眼科クリニックを作らせたのだろう」ということだ。金正恩氏の掛け声がなければ、全てが始まらない独裁国家だから当然かもしれない。

     36年ぶりに開催された北朝鮮の朝鮮労働党大会で昨年5月6日、金正恩第1書記はスーツとネクタイの姿で登壇し、開会の辞を述べたが、その時、眼鏡をかけていた。平壌の執務室で夜遅くまで書類に目を通し過ぎたのか、それともビデオ・ゲームを深夜までプレイして視力を弱めたのか、詳細な事情は知らないが、30代に入って眼鏡を付けだしたのだろう。

     当方がその眼科クリニックの写真をデジカメで撮っていると、監視カメラで当方の姿を見つけた外交官夫人が飛び出してきた。何をしているのか、といった顔で当方に近づいてきた。

     「この眼科クリニック柳京は凄くモダンですね」というと、外交官夫人は急に誇らしくなって笑みを見せ、「平壌にある」と説明してくれた。

     眼科センターの話を北事情に通じた知人に話すと、彼は「近代的な眼科クリニックに誰が行くのか知っているのか。一般国民には全く関係がないね。党幹部やその家族たち用の眼科クリニックだよ」という。

     知人の批判は正しいだろうが、当方は少し違った視点から考えている。独裁国家のプロジェクトは全て独裁者の意向が反映されているから、新しい建物や関連施設が突然、出現した場合、独裁者が今、何を考えているか、などを読み取れるチャンスだからだ。

     金正恩氏の視力が2・0だったら、平壌には絶対、近代的な「眼科クリニック」は建てられなかったはずだ。「眼科クリニック」の出現は、金正恩氏が眼鏡を必要とし、ひょっとしたら糖尿病に関連した眼病にかかっているかもしれないことを推測させるのだ。

     金正恩党委員長は政権就任直後、綾羅人民遊園地を完成し、平壌中央動物園の改修、そして世界的なスキー場建設など、遊戯用インフラの整理に腐心してきた。全ては「人民生活の向上」のため、という名目付のプロジェクトだったが、実際は新婚の金正恩・李雪主夫妻に必要なものを完備していったわけだ。結婚し、子供ができるので遊園地と動物園が必要であり、夫人と休暇を楽しむためにスキー場を建設していったわけだ。
     
     蛇足だが、平壌に現代的なフィットネスセンターが出現した時、当方はそのセンターの写真を見て驚いた(「北にもフィットネスセンター!」2014年1月4日参考)。食糧不足で、国民は満足に食事できない国にモダンなフィットネスセンターが必要とはどうしても考えられないからだ。多分最も必要としていたのは金正恩氏(170センチ、130キロ)だったはずだ。

    (ウィーン在住)

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