ワシントン・タイムズ・ジャパン

青瓦台の歴史認識

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 昨年7月、映画『暗殺』が封切られて“安沃允(アンオギュン)”シンドロームが起こった。女優の全智賢が扮(ふん)する安沃允は日本の統治時代に命懸けの戦闘の末に親日派を射殺した秘密暗殺団の長として登場する。実際の人物をモデルにしたという。“女安重根(アンジュングン)”と呼ばれる南慈賢賢(ナムジャヒョン)志士だ。その他にも女性の独立運動家は多かった。そのうち54人の身の上を国家記録院が整理したところ、10代(27人)と20代(18人)が大多数だった。

 ちかごろ1020世代のアイドルグループは韓流文化を導く外交の尖兵となっている。一挙手一投足、特に歴史に関連した事柄は国内はもちろん海外でも大きな波紋を起こしている。ガールズグループTWICEの(台湾人メンバー)ツウィは昨年11月、あるインターネット放送で台湾の国旗を振ったことに中国人が反発し“両岸対立”が起こった。AOAのジミンは安重根義士の顔を知らずに「キントカン」(金斗漢(キムドゥハン))だと言って怒りを買い、共にいたソルヒョンまで批判に晒(さら)された。

 今度は少女時代のティファニーが批判の対象になった。日本で光復節(8月15日)の前日、SNSに日の丸の絵文字を使ったり、戦犯旗(旭日旗)をモチーフにした「TOKYO JAPAN」という文字が挿入された写真をアップしたためだ。ティファニーは自筆の謝罪文をアップしたが世論は冷たく、彼女が出演するテレビ番組からの降板要求まで殺到した。

 アイドルの歴史に関する無知は当事者の過ちとしてのみ済ませられない。企画社の教育システムの不備と投資不足、政府の韓国史教育の不備などが絡まっており、既成世代の責任も少なくない。政府は今年から韓国史を大学入試・就学能力試験の必須科目に指定したが、遅きに失した措置だ。安義士が独立運動家を治療した医師(韓国語で義士と同じ発音)と思っている若者が少なくない。

 朴槿恵大統領は光復節の祝辞で、安義士の殉国した場所を「ハルビン」監獄と間違って言及した。SNSなどで相次いで指摘され、やっと青瓦台(大統領官邸)は「旅順」監獄に訂正した。朴大統領の演説文は度重なる内部検討を経ている。祝辞のような重大なメッセージは核心的な参謀たちが集まって何度も読み合わせた後に確定する。結局、今度の事態はだれも誤りを見つけられなかったことを示している。国政のコントロールタワーですら歴史的な事実に無知だったという事実は嘆かわしい以上に深刻なことだ。「歴史を忘れた民族に未来はない」という独立運動家、丹斎・申采浩(シンチェホ)先生の言葉をかみしめるべき時が来ているようだ。

 (8月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

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