ワシントン・タイムズ・ジャパン

脱北者が出会う「ヘル韓国」

韓国紙セゲイルボ

「ヘブン」に程遠い虐待疑惑事件

 北朝鮮で生まれ、30年間暮らしたある脱北者は2008年韓国に亡命した。自由市場で必死に稼いだ金を国境守備隊幹部に握らせて、豆満江を渡った。

 辺境部隊に取られる“渡江料”が08年には300人民元(約5万ウォン)だったのが、今は5万元(約900万ウォン)と150倍以上跳ね上がっている。

 ハナ苑(脱北者の社会適応のための支援機関)を経て、現在、代行の運転士をしている。徹夜仕事が辛いが、金がちょっと貯まれば北の家族に送る。食事の心配がないだけ、北に比べれば天国だ。

 脱北者氏はある日、車に乗ってきた若い酔客から「ヘル朝鮮」という言葉を聞いた。ヘルは初めて耳にする単語だった。「英語で地獄の意味」だと聞いた。南の人も北朝鮮が地獄だということをみんな知っているのだと思った。

 数日後、彼は偶然にヘル朝鮮の「朝鮮」が北朝鮮ではなく「韓国」を指していることを知った。韓国が地獄と言われるほど暮らしにくい所という意味だ。地上の地獄を脱出して、多くの辛酸と苦難の末に地上天国に来て、夢を広げていっているところなのに、韓国が地獄とは……。

 ヘル朝鮮は2010年1月、あるインターネットコミュニティサイトが初めて使った新造語で、最初は「ヘル・チョーセン」だった。チョーセンは嫌韓派の日本人が韓国を貶(けな)す時に使う言葉だ。それを韓国の若者がいたずらで使って広まった。

 「韓国人だけが知らない別の大韓民国」を書いたエマニュエル・パストリッチ慶煕大教授は、「韓国人が『ヘル朝鮮』という自虐から目覚めることができない場合、国家発展の機会を自ら拒否して、国際的な信頼を失うことになるだろう」と警告した。

 ところが、ヘル韓国と言いたくなるような恥ずかしい事件が子供の日(5月5日)に明らかになった。脱北者の子供らが食中毒で病院に運ばれた。現場を取材したのはインターネット新聞の記者だけだった。彼の前で子供たちは泣きながら、「浄水器から虫が出てきても大丈夫だといって、期間が過ぎた食べ物を食べろといって、寒い日1時間ずつの外に立たせておいて…」と訴えた。

 寄宿型代替学校に入れられていた脱北者の子供たちに腐った食べ物を食べさせ、暴言を吐き、過酷な行為を強要したという児童虐待疑惑事件だった。警察が調査までしたのに、主流メディアは一行も書かなかった。これが南の子供だったら、どうだろうか。

 脱北者にとって最小限、韓国は「ヘブン」でなければならない。「統一大当たり」を叫んできた姿が恥ずかしい。

(趙貞鎮(チョジョンジン)論説委員兼統一研究委員、5月12日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

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