ワシントン・タイムズ・ジャパン

韓国大統領有力候補者「日本は徴用工判決認め謝罪を」

 韓国の次期大統領候補者である李在明(り・ざいめい)氏が昨日、自称元徴用工問題を巡り、日本に対し「判決を認めることと謝罪すること」を求めました。端的にいえば、お話になりません。そもそもこの問題自体、自称元徴用工らによる捏造の可能性が高く、しかも自称元徴用工判決自体、1965年の日韓請求権協定に違反する状態を作り出しているからです。このような人物が万が一にでも次期韓国大統領に就任すれば、文在寅路線がさらに5年間続く、ということでしょう。


●文在寅氏の後任大統領は「左派対極左」の争い

 文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の任期が来年5月に終了するのに伴い、現在、韓国では来年3月に行われる次期大統領選に向けて、さまざまな動きが見られます。

 といっても、すでに有力候補者は2人に絞られています。

 ひとりが「保守系」とされる野党「国民の力」の公認候補で前検事総長でもある尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏、もうひとりが「左派」とされる与党「ともに民主党」の公認候補で前京畿道知事の李在明(り・ざいめい)氏です。

 この点、最近の韓国国内の世論調査では、総じて尹錫悦氏の方が優勢だと伝えられていますが、選挙というものはしょせん水物ですので、どちらの候補者が勝つか(あるいは両名以外の候補者が勝つか)については、やはり大統領選を迎えてみるまで、結果はわからないでしょう。

 とはいえ、個人的には尹錫悦氏が「保守派政治家だ」といわれても、ちょっとピンと来ません。

 もともと尹錫悦氏自身、政治家としての経験がなく、まさに「検事ひとすじ」のキャリアを積んできた人物でもありますし、また、同氏が検事総長に抜擢されたのは、まさに「左派」の文在寅政権下のことでもあります。政治的に尹錫悦氏を「穏健保守派」と見るには少し無理があります。

 その意味では、今回の大統領選は「保守派対左派」ではなく、「左派対極左」と見るのが正しいのかもしれません。

●なかなか強烈な李在明氏の発言

 こうしたなか、李在明氏は次期大統領への道がやや遠のいている、などと指摘されますが、その李在明氏の発言は、相変わらず、なかなか強烈です。

 韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)には昨日、こんな記事が掲載されていました。

徴用賠償判決「執行しないよう求めるのは不可能」 韓国与党候補
―――2021.11.25 16:56付 聯合ニュース日本語版より

 記事本文に「強制徴用被害者」という表現が出て来ますが、これは「自称元徴用工」の誤りですので、ご注意ください。

 それはさておき、聯合ニュースによると、李在明氏は25日、ソウル外信記者クラブ主催の討論会に出席し、自称元徴用工判決について次のように述べたのだそうです。

「加害企業と被害を受けた民間人の間で行われた判決を執行しないよう求めることは事実上不可能。これを認める前提の上で問題解決(方法)を見つけなければならない」。

 李在明氏のこの認識は、まさに韓国による歴史捏造を「事実」と認めたうえで、日韓請求権協定を覆すことを日本側に求めているというのとまったく同じ話でしょう。

 端的にいえば、お話になりません。

次期大統領候補・李在明氏

次期大統領候補・李在明氏

 そもそも論として、自称元徴用工判決には、「日本企業が徴用被害者を強制的に動員した」とする自称元徴用工側の主張があやふやであるという問題点に加え、1965年の日韓請求権協定に違反する状態を作り出しているという問題点があるからです。こんなデタラメで違法な判決を日本が認めるわけにはいきません。

 その意味で、この李在明氏の発言は、まさに当ウェブサイトで以前から申し上げてきた「3つの落としどころ(※)」でいうところの②を要求するものであり、日本としてはとうてい受け入れられる話ではありません。

■※日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」


①韓国が国際法や国際約束を守る方向に舵を切ることによって、日韓関係の破綻を回避する
②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することによって、日韓関係の破綻を回避する
③韓国が国際法や国際約束を守らず、日本も韓国に譲歩しない結果、日韓関係が破綻する
(【出所】著者作成)

 聯合ニュースはまた、李在明氏の次のような発言についても紹介しています。

「客観的な状況が異なることを認め、真摯に謝罪すれば、最後に残る賠償問題は十分現実的な方策をいくらでも見つけられる。歴史、領土問題と社会、経済、交流問題は分離し、できることはやっていく『ツートラック』でアプローチすることが良いと思う」。

 つまり、李在明氏の認識では、結局のところは「日本が謝罪すること」が前提であり、また、韓国の保守派が好む「ツートラック」を前面に押し出す、ということでもあります。

本当に印象的ですね。

●「南北和平」の推進にも言及

 その一方で、同じ韓国メディアの『中央日報』(日本語版)も、この李在明氏の25日の発言を報じています。

 中央日報は李在明氏があいさつのことばで次のように述べたと報じています。

「私を一言で表現するなら『実用主義者』ということができる。国民の人生を良くすることができるなら、保守・進歩、左・右を問わない。これは外交・国防・経済でも同じ」。

 この点、李在明氏は、「実用主義者」というよりはむしろ、「目先の利益ばかりに拘泥する人物」ではないでしょうか。

 先ほどの日韓関係に関する発言を見ていても、韓国の日本に対する権利ばかりを主張し、韓国が日本に対して負っている義務についてまったく無視しているわけですから、李在明氏は日本だけでなく、国際社会からも強い反発を受けそうに思えます。

 また、李在明氏は北朝鮮問題についても、次のように述べたのだとか。

「最も核心的な目標は戦争状態を終わらせて平和に共存し、ひいては互いに利益になるような関係に発展し、一緒に共同繁栄していくこと」。

 ある意味では、北朝鮮に対する政策は文在寅路線の継承のようなものでしょう。

●誰が次の大統領でも国際法違反は是正されない

 ちなみに、李在明氏の発言に対し、日本側としては正直、アクションに困ってしまいますが、そんな李在明氏の韓国国内での評価はおおむね好評であるようです。

「この日、李氏が今後積極的な韓日関係の改善を約束したことを巡って、政界からは『過去に比べて柔軟になった』という評価が出てきた」。

 なぜこんな評価になるのでしょうか。

 その理由は、5年前に同じ場所で開かれた外信記者クラブ懇談会で、李在明氏は「日本は友邦国家だが、歴史的事実や現在のさまざまな態度を見ると軍事的側面で敵対性が完全に解消されたとみるのは難しい」などと述べていたからなのだそうです。

 こうした対日批判トーンと比べれば、25日の李在明氏の発言は、対日批判の度合いがマイルドになったとでも言いたいのかもしれません。

 いずれにせよ、李在明氏が次期韓国大統領に就任する可能性が現時点でどこまで高いのかは微妙ですが、万が一、この人物が「ポスト文在寅」として政権の座に就けば、「文在寅路線」がさらに5年間は続く、ということでしょう。

 もっとも、李在明氏ではなく尹錫悦氏が次期大統領に就任したとしても、現在の「韓国が国際法を守らない状態」が是正されるとは思えないので、その意味では状況が大きく変わるというものでもないのかもしれない、と思う次第です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211126-04/

1

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。