ワシントン・タイムズ・ジャパン

日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが?

 昨日衆院を解散した岸田首相は、非常に多忙です。こうしたなか、韓国メディアは昨日、韓国大統領府関係者の発言をもとに、日韓首脳が15日(つまり本日)、電話首脳会談を実施する方向で検討しているとする趣旨の記事を配信しました。もっとも、ただでさえ多忙な岸田首相にとっては、外交上の優先順位も低く、大した成果も見込めない会話に貴重な時間を費やすのはもったいない話でしょう。そこで、当ウェブサイトとしては史上初の試みとして、「自動音声対応」の首脳会談を実施することを提案申し上げたいと思います。


●「たかが」電話会談、何をそんなに必死になっているのでしょうか

 先日の『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』『たかが電話会談、しかも調整段階で発表した韓国の苦境』などでは、今月4日に就任した岸田文雄首相が韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と電話会談を行うかどうかという話題について、相次いで取り上げました。

 事実関係だけを述べておくならば、岸田首相は就任して以降、「クアッド」構成国である米・豪・印の各国や英国に加え、近隣国である中国、ロシアとも、相次いで電話首脳会談を実施しています。

■岸田首相の電話首脳会談の相手


・10月5日 08:15~ ジョー・バイデン米大統領
・10月5日 11:00~ スコット・モリソン豪首相
・10月7日 17:30~ ウラジミル・プーチン露大統領
・10月8日 16:30~ 習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席
・10月8日 17:15~ ナレンドラ・モディ印首相
・10月13日 18:35~ ボリス・ジョンソン英首相

(【出所】外務省ウェブサイトより著者調べ)

 しかし、岸田首相と文在寅氏の電話首脳会談は、たしかに昨日夜時点において、まだ実施されている形跡はありませんが、伝えられるところによると、韓国メディアはこれを「韓日神経戦」などと呼び、首脳会談が実現するかどうかを必死になって報じているフシがあります。

 こうした報道などを眺めていると、「何をそんなに必死になっていらっしゃるのか」、と、疑問に感じてしまうのは気のせいでしょうか。

●中央日報と聯合ニュースは「15日に会談か」

 さて、韓国メディアからは先日より、「韓国大統領府高官が『韓日両国が電話首脳会談実施に向けて調整中』、『決まったらまた発表する』などと述べた」、といった報道が相次いでいました。

 こうしたなか、『日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下』でも取り上げたとおり、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)が、「関係筋は15日に電話首脳会談が行われると伝えた」、と報じています。

 そのうえで中央日報は、「日程を巡って韓日で神経戦が繰り広げられている」、「韓国大統領府や韓国外交当局にも相当な不満が溜まっているという」、などと、伝聞形で、あたかも日本が韓国との首脳会談の実施を渋っているかのように報じている、というわけです。
(*参照「日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下」

文大統領と岸田首相 電話会談は15日か=韓国「日程調整中」


―――2021.10.14 19:06付 聯合ニュース日本語版より

 聯合ニュースは、韓国大統領府関係者が14日、電話首脳会談について「正確な日程中は決まっておらず調整中」だが「両国が合意すればあすにでも通話が可能」と述べた、としたうえで、日韓首脳が「15日に初めての電話会談を行うもようだ」と報じています。

 この点、さきほどの中央日報の記事と比べると、ややトーンは落ちているのが気になりますが、聯合ニュースは「外交部当局者も<中略>日程を調整中と伝えた」、「電話会談で閉塞状態にある両国関係を改善するための意思を示すことができるかに関心が集まっている」、などと述べています。

 あまり厳しいことを言いたくはないのですが、首脳会談(しかも電話)を実施したくらいで、「閉塞状態にある両国関係が改善」するかどうかに「関心が集まる」というのも、じつに不可思議で面妖な記事だと思ってしまう次第です。

●単純に韓国の戦略的重要度が下がっているだけでは?

 この点、本当に15日(つまり本日)、首脳会談が行われるかどうかはわかりませんが、少なくとも本日まで首脳会談が行われてこなかった理由については、単純に、日本の外交・安全保障分野における韓国の優先順位が低いだけのことでしょう。

 この「韓国の優先順位の低下」については、日本政府がこれまで発信してきたさまざまなメッセージからも十分に読み取れます。

 たとえば、『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』などでも述べたとおり、菅義偉政権下で今年刊行された外交青書では、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」が、日本外交の7つの重点分野のうち、日米同盟に次ぐ2番目に位置付けられています。

 その一方で、安全保障分野においても、同じく菅義偉政権下で刊行された今年の防衛白書においても、FOIPや日台関係の重要性に言及がなされる一方で、日韓間の防衛交流が極端に落ち込んでいることが示されています(『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』等参照)。

●話しをしても意味がないし、大変に気を遣う

 あるいは、考えてもみればわかりますが、岸田首相、あるいは前任者である菅義偉総理、さらにその前任者である安倍晋三総理らのメッセージは、「日韓関係はこのままではいけない」、「韓国が国と国との約束を守ってくれなければ困る」というもので、ほぼ一貫しています。

 文在寅政権下の韓国が、国際法、国際条約、国際約束などを踏みにじってきたこと、こうした状況を改めるための具体的行動を取ろうとしないことは、少なくとも現在の日本政府が、大統領としての残り任期が半年少々に迫った文在寅氏を相手にしないことの、十分に合理的な理由でしょう。

 ことに、昨日衆議院を解散し、大変に忙しい岸田首相が、わざわざ時間を割いてまで首脳会談を実施するかどうかは、正直、疑問でもあります。その際に参考になるのが、『韓国の要請で行われた首脳会談、日本は従来の立場主張』でも述べた、菅総理の対応です。

 これなど、こうやってすぐに記者発表をすることで、韓国がウソの報道発表をすることを未然に防ぐ狙いがあるのかもしれません。

 あるいは、『日韓外相会談の発表自体「後回し」にされたことの意味』などでも述べたとおり、今年5月に英国・ロンドンで行われた茂木敏充外相と鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官の会談では、日本側の報道発表が非常に遅れた、という「事件」がありました。

 すなわち、韓国という国は、首脳会談や閣僚級会談などを行ったら行ったで、「相手が発表するよりも先に、ただちに記者会見をしてしまう」、「相手の発表を見極めてから、改めてわが国としての立場を発表する」といった具合に、通常の国だとやらなくても良いような「工夫」をしなければならないのです。

 「大した成果も見込めないくせに、相手のウソに備えてあらかじめ準備しなければならない」…。

 解散総選挙直後で多忙な岸田首相、官邸スタッフらが、そこまで気を遣うことはできるのでしょうか。

●いっそのこと自動音声の対応はいかがでしょうか?

 このように考えたら、正直、岸田首相自身がボイスレコーダーに自身の声を吹き込み、それを電話口で流せば良いのかもしれません。

「日韓両国はお互いにとって重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓・日米韓の連携は重要ですが、旧朝鮮半島労働者問題を始めとして、現在非常に厳しい状況にある両国関係を放置してはなりません。よって、韓国におかれましては国と国との約束を守るなど、適切な対応をとっていただきたいと思います」。

 いや、どうせそこまでやるならば、もっと踏み込んで、史上初の自動音声対応首脳会談というものはいかがでしょうか。

 まずは韓国人である文在寅氏に直接伝わるように、韓国語で「あらかじめプッシュ回線をオンにしてください」というアナウンスを流したうえで、次のようなメッセージをあらかじめ吹き込んでおくのです。

「ヨボセヨ。本日は日本の首相官邸にお電話ありがとうございます。岸田首相多忙のため、自動音声により案内しております。サービスの品質向上と後日のトラブル防止のため、音声については録音させていただき、YouTubeにアップロードさせていただきますことをご了承ください。就任のお祝いを録音する場合は1を、岸田首相から文在寅大統領閣下へのメッセージを聞く場合は2を、オペレーターにおつなぎする場合は3を、ガイダンスをもう一度最初から聞く場合は9を、それぞれ入力してください」。

 そのうえで、就任祝いについてはそのまま喋ってもらい、その録音したうえで、その音声を岸田首相の先ほどのメッセージとともに、最後にまとめてYouTubeなどに投稿すれば、記者会見も会見内容の文字起こしも省略可能です。

 どうせ大した会話はなされないのでしょうから、それでも十分な気がします。コロナ禍の時代、外務省職員の仕事も減ってみんなハッピーです。

 ついでなので、オペレーター業務も節約してしまいましょう。

 もし先方がオペレーターにつないでもらおうとして3を入力したら、1時間ほどBGMとして「旭日旗に関する我が国の立場」の韓国語版ガイダンスを流し、最後に「恐れ入りますが電話が大変混雑しております。おかけ直しください」というメッセージとともに通話をブチッと終了するくらいの対応で、ちょうど良いのかもしれませんね。

(※なお、自動音声対応のアイデアは、読者コメント欄で複数の方々から頂戴しました。この場を借りて御礼申し上げる次第です。)


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211015-03/

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