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今さら韓国と徴用工・慰安婦で「協議」する内容はない

 日本で来月、高市早苗氏が次期総理に選ばれ、韓国で来年、李在明(り・ざいめい)氏が次期大統領にえらばれるようなことがあれば、いよいよ日韓関係は本格的に「3」のシナリオを歩み始めるのかもしれません。そうならないかどうかがたの心配で心配でならない今日この頃ですが、こうしたなか、韓国メディアは昨日、茂木敏充外相と鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官が「ニューヨークで徴用工・慰安婦などについて議論する」という可能性について報じているようです。


自民党総裁選の行方と日韓関係

 日本で自民党総裁選、そして衆議院議員総選挙の日程が見えてきたなか、おそらく菅義偉政権の「次の政権」は、自民党総裁選に出馬している4名(河野太郎、岸田文雄、高市早苗などの各氏)のうちいずれかに決まるでしょう。

 現状、「最大野党」である立憲民主党の公約を眺めていても、彼ら自身、明らかに政権を担う意思も能力もなく、さすがに有権者も立憲民主党に過半数を与えることはないと思われるからです(※もっとも、彼ら自身もおそらくは「最大野党」の地位を維持できれば良い、くらいにしか思っていない可能性が濃厚ですが…)。

 ただ、おそらく「その他1名」などが政権を取るなどの「大番狂わせ」でも発生しない限り、現行の安倍晋三政権、菅義偉政権から大きく方針が変わることはないと考えて良いのが、日韓関係ではないでしょうか。

 日韓関係は現在、自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題という、大きく2つの歴史問題に起因する韓国の国際法破り、条約破り、約束破りなどに起因して、少なくとも政府間レベルでは完全に事態が膠着してしまっている状況です。

 また、日韓間の諸懸案は、この2つの歴史問題にとどまらず、たとえば細かい項目では対馬の仏像窃盗事件、中程度のものだと2018年の火器管制レーダー照射事件、大きいものだと戦後の懸案である韓国による竹島不法占拠問題など、いくらでも積み上がっている状態です。

 結局のところ、普段から申し上げているとおり、これらの諸懸案には最終的に次の3つの落としどころしかありません。

■日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」


(1)韓国が国際法や国際約束を守る方向に舵を切ることによって、日韓関係の破綻を回避する
(2)日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することによって、日韓関係の破綻を回避する
(3)韓国が国際法や国際約束を守らず、日本も韓国に譲歩しない結果、日韓関係が破綻する

(【出所】著者作成)

(2)の選択肢が「あり得ない」理由と「残りの選択肢」

 この点、日本にとって韓国が、本当に「欠くことができないくらいに大事な国」なのであれば(あるいは韓国との関係が「いかなる犠牲を払っても維持しなければならない」ものなののであれば)、日本は四の五の言わず、(2)の選択肢を取るべきでしょう。

 ただ、当ウェブサイトのこれまでの分析だと、残念ながら、韓国の存在は日本経済にとり、「死活的に重要」とまではいえません(いや、逆に、韓国を日本にとって「死活的に重要な国」にしてはならない、ということでもあるのかもしれませんが…)。

 万が一、次期首相に岸田文雄氏が選ばれでもしたら、このあたり、平気で(2)の選択肢を目指しそうな気がして、これに関しては本気で心配でなりませんが、この点についてはとりあえず本稿では脇に置きましょう。

 いずれにせよ、日本が(2)の選択肢を取らないということは、残る選択肢は(1)か(3)です。

 といっても、(1)については我々日本人が努力してどうにかなる話ではありません。

 韓国人自身が「このままじゃダメなんだ」と気付き、国際法や国際約束をちゃんと守る方向に舵を切るのであれば、日韓関係の破綻は避けられるかもしれません(※もっとも、並大抵の努力では、それは難しいと思いますが…)。

 だからこそ、当ウェブサイトとしては、日韓関係が(3)に向かっていると考えざるを得ないわけです。

 ことに、日本側で、たとえば高市早苗氏あたりが総裁選を制して総理に就任し、韓国側で現在の「最有力大統領候補」のひとりとされる李在明(り・ざいめい)京畿道(きょうきどう)知事が来年3月の選挙を制すれば、まさに日韓関係は(3)の軌道に乗るのかもしれません。

日韓テーパリングの一方、米韓同盟破綻ならば…

 もっとも、日韓関係が破綻するなら破綻するで、いったいどういうプロセスを辿るのかについては、さまざまな可能性があります。

 ただ、個人的に現在のところ、最も可能性が高いのは、「テーパリングシナリオ」だと考えています。

 詳しくは『三菱重工差押で逆ギレの韓国政府と日韓テーパリング論』でも議論しましたが、この「テーパリング」とは、もともとは米FRBのベン・バーナンキ議長(当時)が2013年ごろに使い出したことで有名になった、「先細り」「段階的縮小」などの意味する用語です。

 経済活動には「ヒト、モノ、カネ」の3要素(※)があるといわれていますが、こうした「ヒト、モノ、カネ」の交流が徐々に縮小していくことで、日本にとって韓国との関係が徐々に薄まっていく、というパターンです(※「ヒト、モノ、カネ」に「情報」を加えて「経済活動の4要素」とする説もあります)。

 ことに、日韓両国はどちらも米国の同盟国であるため、この状態のまま、日韓がお互いに国交断絶状態(ないしそれに近い状態)になることは難しいのが実情でしょう。やはり、日韓間が疎遠になるためには、米韓同盟が消滅ないし形骸化することが必要です。

 もしも日本の時期首相に河野太郎、岸田文雄の両氏のいずれかが選ばれ、韓国側でも尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏あたりが次期大統領に選ばれれば、日韓関係の破綻はもう少し先送りされるのかもしれません。

 (※もっとも、いかに韓国に騙されまくってきた「岸田首相」といえども、さすがにここで韓国に譲歩すれば、日本国民の怒りが自身に向かうであろうことくらいは理解できそうなものですが…。)

いまさら何を協議するのですか?

 
 さて、こんな状況ではありますが、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日、こんな記事が掲載されていました。

韓日外相会談を調整 国連総会に合わせ


―――2021.09.19 11:30付 聯合ニュース日本語版より

 聯合ニュースによると、「韓国の外交部当局者」が19日、米ニューヨークで開かれる国連総会にあわせて、茂木敏充外相と韓国の鄭義溶(てい・ぎよう)外交部長官の「会談を調整している」ことを明らかにしたのだそうです。

 といっても、「韓国政府関係者」の話にはウソが大変に多いので、注意が必要です。

 たとえば今年6月の英国のG7サミットでも、「日韓首脳会談が推進されていたが、日本側がキャンセルした」とする「韓国政府関係者」の話を複数の韓国メディアが報じ、加藤勝信官房長官らが即日否定した、ということもありました(『「日本が首脳会談キャンセル」報道を官房長官が即否定』等参照)。

 もっとも、茂木外相は今年5月、ロンドンのG7外相会合で、ゲスト国として呼ばれた韓国の鄭義溶氏と対面会談を果たしていますので(『日韓外相会談、唐突ながらも内容に「サプライズ」なし』等参照)、聯合ニュースの記事はあながち虚報とも言い切れません。

 ただし、聯合ニュースによれば、両氏は米国での会談が実現した際には、「北朝鮮問題のほか、旧日本軍の慰安婦被害者(※)と強制徴用被害者(※)の訴訟問題など両国の懸案について議論すると予想される」、などと報じていますが、果たしてそれは本当でしょうか。

 (※聯合ニュースの記事にある「慰安婦被害者」とは自称元慰安婦、「強制徴用被害者」とは自称元徴用工の誤りですのでご注意ください。)

 自称元慰安婦問題に関しては「2015年12月に日韓両政府が取り交わした慰安婦合意を韓国が守れ」で終わる話ですし、今年1月8日に出てきた日本政府に対する賠償判決についても、「韓国が国際法上の主権免除を守れ」、で終わる話です。協議の余地は1ミリもありません。

 また、自称元徴用工問題に関しても、「韓国が日韓請求権協定を守れ」、「韓国が国際法を守れ」でお終いであり、日本政府が2019年にすでに韓国に協議や仲裁を申し入れ、韓国がその協議や仲裁に応じなかった時点で、これ以上の協議の余地はありません。

 敢えていえば、このところ北朝鮮によるミサイル発射事案などが相次いでいることを踏まえ、「この期に及んで貴国が北朝鮮との関係を深めようとしていることは、北朝鮮問題の解決には1ミリも役立たない」と米国のアントニー・ブリンケン国務長官の前で牽制しておくくらいの価値はあるかもしれません。

 いずれにせよ、本件についても続報があり、それに取り上げる価値があれば、また議論したいと思う次第です。

日韓関係はどこに行く?

 さて、当ウェブサイトではあまり自民党総裁選について取り上げるつもりはないのですが、あえてひとつのシナリオを示しておくならば、「日韓関係最終化シナリオ」でしょう。

 具体的には、日本で来月、高市早苗氏が次期総理に選ばれ、韓国で来年、李在明(り・ざいめい)氏が次期大統領にえらばれるようなことがあれば、いよいよ日韓関係は本格的に「3」のシナリオを歩み始めるのかもしれません。

 そうならないかどうか、心の底から、楽し心配で心配でならない今日この頃であり、最近だと「大人用ハッピーセット」大盛り(※夜限定倍サイズビッグハンバーガーとマゲット15ピース入とポテトLLサイズとプラレール用おもちゃとパウパトロールのDVD)くらいしか喉を通らない日々を過ごしている次第です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20210920-02/

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