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【韓国紙】哲学、ビジョン示せぬ韓国大統領候補たち

韓国紙セゲイルボ

各陣営は戦略の練り直しを

 来年3月9日に実施される第20代大統領選挙まで、あと半年となった。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)、気候変動、米中覇権競争、少子高齢化、社会両極化(格差拡大)など、国内外の危機要因が山積した状況で5年間国政を導いていく指導者を選択する重要な選挙だ。

6日、韓国・原州で、記者会見する革新系与党「共に民主党」の李在明・京畿道知事(EPA時事)

6日、韓国・原州で、記者会見する革新系与党「共に民主党」の李在明・京畿道知事(EPA時事)

 政界は候補者選びに没頭しているが、一般有権者の関心は以前と違って、あまり熱くなっていない。候補者たちが期待に応えられていないからだ。

 与野党を問わず候補者間の攻防が相手の言葉尻を取り合う水準にとどまっている。政治の品格とは程遠い。何よりも、候補者たちが自分だけの国政運営哲学やビジョンを明確に示せずにいることは深刻な問題だ。現時点で、自分が大統領に当選すれば国をどんな方向に導き、どんな姿に変えていくのかという構想を示すのは基本ではないか。

 一部候補者は、さまざまな疑惑やネガティブ攻勢に巻き込まれ、対応に追われている。だから有権者の関心を引き出すことができないのだ。

 政界の一部と学界では、韓国の民主主義体制の問題点についての甲論乙駁が噴出しているが、当の与野党候補からは政治の改革と革新を叫ぶ声はほとんど聞こえない。

 大統領に集中した権限を分散するための制度づくりが急務なのに、これを無視している。改憲で権力構造を変えることが難しいなら、大統領秘書室でも改編して“大統領府政府”という汚名から抜け出す工夫をしなければならない時だ。

 康元澤(カンウォンテク)ソウル大教授は英国自由党の浮沈を扱った『政党はどのように没落するか』で、「政党が時代の変化に合わせて絶えず変化しようとする努力、常に目覚めていて変化のタイミングを逃すまいとする努力が伴わなければ、一つの政治勢力の政治的運命は急激に変わり得る」とし、「その没落はそれほど長い時間はかからない」と言った。有権者の信頼を失いつつある与野党が耳を傾ければならない言葉だ。

 約10日後に迫った秋夕(中秋節)連休に民心を捉えるためには、候補者と党が一致団結しなければならない。候補者たちは各自の陣営を再点検して、キャンペーン戦略などを練り直してもらいたい。

 候補者が自分の役割を果たせないならば、党が関与しなければならない。多様な考えを持つ国民を包容しつつ、未来のビジョンを提示することから始めなければならない。国の将来がかかったことだ。

 政界全体の共倒れを避けようとするなら、今からでも靴紐を固く結ばなければならない。

(朴完奎(パクワンギュ)論説室長、9月7日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

ビジョン問わずネガキャン

 日本も韓国も選挙の季節を迎えている。選挙は多数を制した者が勝つ。単純な理屈である。多数を得るには同志を増やすほかに、普段縁のない人々に自分の考えを知ってもらい、共感してもらい、支持してもらうしかない。ただ、肝心の「自分の考え」が提示されていなければ、有権者は共感のしようもない。

 韓国は左派政権の政策によって内政も外交も厳しい状況に陥った。特に外交では、自由民主主義、資本主義体制をとるにもかかわらず、中国共産党、朝鮮労働党におもねりすり寄る姿勢がしばしば問題となっている。

 韓国はこれから、どっちを向いて行くのか。現状のまま行くのか、それとも政権交代して軌道修正するのか。韓国が日本の自民党総裁選に関心を向けるように、日本も韓国大統領選には注目せざるを得ない。両国は安保、経済等で密接に関わっているからだ。

 各候補はまだ党内競争を勝ち抜かねばならず、路線や政策について明確なものを打ち出していない。相互に疑惑・不正を暴き合い、足を引っ張り、ネガティブキャンペーンを行っている段階だという。

 各党でそれぞれ候補者が決まっていけば、その後には哲学やビジョン、政策が出てくるだろう。韓国はもはや援助をもらう国から与える国になった。国際社会で果たすべき義務も生じてくる。そろそろ国格に見合う振る舞いを覚える時でもある。その時、同盟や戦略的パートナーを取り違えるようなことがあっては、せっかく国際社会で築いた地位も危うくなる。学生運動上がりで務まる政治ではなくなっているのだ。

 各党候補者は韓国として、これからどう進むのかの議論を戦わせ、国民を納得させる必要がある。価値が共有でき、未来志向的な政権ならば、自由世界は歓迎だ。

(岩崎 哲)

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