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韓国紙「アフガン事態を通してみた韓米同盟、対中国の“戦略的曖昧性”捨てよ」

韓国紙セゲイルボ

 タリバンのカブール占領以後、バイデン米政権の対外政策が非難されている。米国がアフガンにもっと駐留して超強大国の責任を全うすべきだった、と。

韓国の鄭義溶外相=2018年9月、ソウル(AFP時事)

韓国の鄭義溶外相=2018年9月、ソウル(AFP時事)

 一部では、いま在韓米軍が撤退すれば韓国はどうなるのかと心配する声が出ている。極端な仮定の不適切な質問だが、その答えは「われわれもアフガンと別段違わない」というものだ。われわれには北朝鮮の核の脅威を防ぐ手段がない。北朝鮮の不当な要求を受け入れるか、数十万人の生命を放棄しなければならない。恐らく、何度か屈辱を体験して北朝鮮に吸収されるだろう。

 もちろん韓国とアフガンは違う。まず、能力が違う。韓国は世界10位圏の経済強国だ。同時に秀でた国防力と外交力がある。米国もこういう良いパートナーを諦めるはずはない。

 次に、同盟の歴史と結束力が違う。われわれは6・25戦争(朝鮮戦争)を共に戦うことで同盟を出発させ、その後もベトナムとイラク戦を共にした血盟だ。

 第3に、北東アジアという地政学的な位置が違う。北朝鮮の核問題以外でも、米国が戦略競争を行っている中国の存在が韓米同盟の価値を高めている。すでにオバマ政権の時から米国の対外政策の重点は中国に移された。21世紀に米国と覇権を争う国は中国だけだ。

 こうした状況でバイデン政権は同盟国との協力を強調しており、その中心に韓国がある。在韓米軍は中国に最も近く配置された米軍であり、北京の“喉元に突き付けた短剣”のような存在だ。韓国の戦略的価値は高い。

 問題は韓国の二重の立場だ。韓米同盟を重要に思うが、一方で中国を無視できない経済的理由がある。その結果、韓国の歴代政権は中国に対して慎重な姿勢を取った。文在寅政府の「THAAD(高高度ミサイル防衛システム)追加配備、米ミサイル防衛(MD)計画参加、韓米日軍事同盟」をしないという「サード3不」に端的に現れている。

 しかし、中国の最近の動向からは韓国との関係を主権平等の“水平的関係”ではなく、大国と小国間の“垂直的関係”と見る傾向が見られる。中国の誤った認識を変えるためにも韓米同盟の強化が必要だ。

 従って、韓米同盟と韓中関係の間で見せた“戦略的曖昧性”を捨てて、韓米同盟により重点を置いた“戦略的明瞭性”を見せなければならない時だ。米国は韓国が中国問題により多く貢献することを期待するだろうが、韓国の場合、地政学的な理由で、中国に対する立場が米国とは異ならざるを得ない。このことを説得しながら、米国の対中戦略への協力を拡大していきながら、韓米戦略同盟を充実させなければならない。

 自由主義の国際秩序、人権尊重、地域平和と法の支配の原則、そして先端産業供給網への協力の水準を高めていけば、韓米同盟の未来に対する憂慮は、単なる杞憂にすぎないだろう。

(申範澈(シンボムチョル)経済社会研究院外交安保センター長、8月20日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

 カブールの陥落はまるで1975年4月30日のサイゴン陥落を見ているようだった。前南ベトナム副大統領で空将のグェン・カオ・キはラジオ放送で「最後の血の一滴まで戦う」と国民に檄(げき)を飛ばしたその直後、米軍ヘリに飛び乗り、サイゴン沖の米艦船に逃げた。

 ガニ大統領も早々に“財産”をもって国外脱出した。残された国民、特に20年間駐留米軍と仕事をしてきた国民はイスラム過激組織タリバンの報復を恐れ、国外脱出しようと空港などに殺到した。これもタンソンニャット空港の阿鼻叫喚、その後のボートピープルを彷彿(ほうふつ)させる。

 カブールの陥落をみて、首筋が寒くなった為政者が世界の各地にいただろう。韓国もその一つに挙げることができるかもしれない。しかし「韓国はアフガンと違う」と“安心材料”を一つ一つ数え上げたのが申範澈氏の論考だ。先進国の仲間入りを果たし、米国とは血盟の仲、米の対中戦略上、手放すことのできない要衝である、と。

 アフガンもそうだったが、次第に戦略的価値は失われる一方で、米国がいくらテコ入れしても民主主義は根付かず、汚職がはびこり、軍隊は強くならない。“お荷物”になっていたことは否定できなかった。

 そして世界では「天は自ら助くる者を助く」という言葉をアフガン事態に当てはめた。これは耳の痛い話である。韓国の「二重性」も米国を萎(な)えさせるが、日本にとっても他人ごとではないからだ。未(いま)だに国防の法的根拠を整備できずにいる。

 それはさておき、韓国は「戦略的明瞭性」に転換せよとの主張はもっともだ。しかし、左翼政権が続く限り無理であることも韓国民は知っている。

(岩崎 哲)

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