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二階俊博氏が韓日議連一行に文在寅大統領の訪日を要請

 一部メディアの報道によれば、訪日中の韓日議連一行に対し、二階俊博・自民党幹事長が「ぜひ、文在寅大統領に日本にお越しくださるように伝えて欲しい」、「歓迎する」などと述べ、これに韓日議連側が「検討する」などと応じたのだそうです。これが事実なら、大変に大きな問題です。二階俊博氏こそが自民党のガンであり、日本に有害な政治家であるという証拠が、またひとつ、積み上がった格好です。


外交の基本

●外交の2つの軸

 個人的な持論ですが、ある国との外交関係をどこまで深めるかについては、人間関係と同様、①利害関係(≒国益)に照らし、どこまで深く付き合う必要があるかどうか、②国民感情に照らし、どこまで深く付き合うことができるか、という2点で判断しなければならないと考えています。

これを箇条書きにすると、外交関係には4つのパターンがある、ということです。

外交関係の4パターン


①その国に対する国民感情が良く、国益上付き合う必要がある
②その国に対する国民感情が悪く、国益上付き合う必要がある
③その国に対する国民感情が良く、国益上付き合う必要はない
④その国に対する国民感情が悪く、国益上付き合う必要はない

(【出所】著者作成)

 人間関係だと、「嫌な人」であっても「我慢して付き合わなければならない」ということはあり得ます(「職場の上司」、「重要な顧客」などがその典型例でしょう)。

 外交関係もこれと同じで、国民の多くが「あの国は嫌いだ」と感じていたとしても、我慢して外交関係を継続しなければならないこともあります。外交のような重要な事項を「国民感情」だけで決めて良いはずがないことは、ある意味当然のことでもあります。

もっとも、逆に言えば、ある国との外交関係を深めるかどうかを判断するためには、その国と付き合うことのメリット・デメリットだけでなく、「国民感情」も考慮しなければならない、という話でもあります。

 このあたりの判断能力が、日本政府(とくに外務省や一部の政治家)、さらに一部の日本企業(とくに高学歴偏差値エリートサラリーマン経営者が居座る会社)には弱すぎるのです。

●中国との外交関係の例

 たとえば、日本が国を挙げて、中国との関係をどこまで深めるべきか(あるいはこれ以上深めるべきではないのか)、という判断においても、日本政府、財界などは、日本国民の多くが中国に対して抱いている警戒心を無視しがちでした。

 国民の圧倒的多数が中国に対し、親しみを感じていないことは、内閣府『外交に関する世論調査』でも明らかです。ここでになるのは、『アフリカ・中東より低い、中国・ロシアへの「親近感」』でも紹介した、次の図表1です。

■図表1 中国に対する親近感


20210219gaikou-03-2

 (【出所】過去の『外交に関する世論調査』を参考に著者作成。「親しみを感じる・感じない」にはそれぞれ「どちらかというと」を合算している。なお、内閣府のオリジナルの調査では、2020年の調査については「調査方法が異なる」として、単純比較を行っていない点に注意)
 もちろん、この調査では、日本国民の中国に対する親近感が低い「理由」については明らかにされていません。

 2005年や2012年に中国に対する感情が悪化した理由としては、例の常軌を逸した反日デモなどが契機となった可能性もありますが、そもそも中国が共産党一党軍事独裁国家であり、政府が反日感情を煽る国であるという事実に対する嫌悪感もあるのかもしれません。
  当たり前ですが、外交は国民感情だけを重視して決定すべきものではありませんが、それと同時に、国民感情とあまりにもかけ離れた「付き合い方」をしていると、やがては国民の政府・政権に対する不満の原動力にもなりかねません。

その意味では、国益と国民感情の両天秤は大変に重要です。

●中国との関係清算に向けて必要なこと

 さて、ありとあらゆる国との外交関係は、国益と国民感情のバランスを考慮しなければならないわけです。

 個人的な感情だけを申し上げるならば、中国との関係はさっさと縮小して欲しい、という気持ちもあるのですが、残念ながら現在の日本にとって、中国との関係を「今すぐ」清算することはできません。

 本当に、こんな状況を作り上げた1990年代から2010年代までの政府、官僚、企業経営者らには怒りを覚えますし、それ以上に中国進出を煽った日経新聞、消費増税で日本経済を破壊した大蔵省/財務省の官僚らは、それこそ万死に値すると思う次第です。

 ただ、こうした感情はさておき、私たち日本国民は中国に対する感情をしっかりとコントロールし、まずは日中関係が安定することを目指さねばなりません。中国で生産されるさまざまな製品が入って来なければ、日本経済は混乱に陥ってしまうからです。

 もちろん、「日経新聞や財務官僚らにはしかるべき罰を与えて日本社会から影響力を排除し、経済・産業の『チャイナ・フリー』を達成し、中国の脅威に対処するための包囲網を作り上げ」…、といった行動をとらなければならないわけですが、それも感情だけで進めてはなりません。

 ちゃんとした中・長期的なビジョンが必要です。

 現在の菅義偉政権は、安倍晋三総理大臣の置き土産である「自由で開かれたインド太平洋」( “Free and Open Indo-Pacific”, 略して「FOIP」)を絶賛推進中ですが、これも不完全ながらも「チャイナ・フリー実現」と「日本経済復活」に向けた第一歩です。

 その意味で、「反アベ」、「反スガ」を掲げる人たちの目的は、「FOIP阻止」なのかもしれません。

●米国との外交関係の例

この点、日本にとって最も重要な同盟国である米国については、親近感が高位安定しています(図表2)

■図表2 米国に対する親近感


20210219gaikou-03-1
 (【出所】過去の『外交に関する世論調査』を参考に著者作成。「親しみを感じる・感じない」にはそれぞれ「どちらかというと」を合算している。なお、内閣府のオリジナルの調査では、2020年の調査については「調査方法が異なる」として、単純比較を行っていない点に注意)

 日本にとっては、経済的にも軍事的にも、米国と緊密な関係を維持することが最大の利益であり、かつ、国民感情も米国との深い付き合いを支持している、というわけです。

 このあたりは現代の日本にとって非常に良い点であることは間違いありません。

 ちなみに来週開幕する東京五輪の開会式に先立ち、米国政府が先日、ジル・バイデン米大統領夫人の参加を発表していますが、これについて加藤官房長官は昨日午前の記者会見で、こんな趣旨の発言をしています。

“「東京オリパラについては、バイデン大統領からもこれまで支持が表明されており、今般、米国政府がバイデン大統領夫人の五輪開会式への出席を決定したことは、米国の東京大会を注視する姿勢のあらわれとして、わが国として心から歓迎し、しっかりとお迎えしたいと考えている」。”

 まさに、下にも置かないおもてなし、というわけです。

 (※なお、調べたところ、米大統領は伝統的に外国で開催される五輪開会式にはあまり参加していないようですので、ジョー・バイデン大統領本人が東京に来ないというのはべつにおかしな話ではありません。)。


朝鮮半島と日本

●日本とは事実上の国交断絶状態にある北朝鮮

 さて、国益と感情という話が出たのですが、ここで微妙なのが、「その国とどうしても付き合わねばならないわけではなく、かつ、国民感情も良好ではない」、というケースでしょう。

 あえて批判を承知で断言すれば、そのような相手国とは「断交」しても良いと考えています。

 現在の日本にとって、事実上の「断交状態」に陥っている相手国の典型例といえば北朝鮮です。

 「無辜の日本人を拉致して絶対に返そうとしない、核・ミサイル・大量破壊兵器を製造する、サイバー犯罪、詐欺などを働いて外国の財産をかすめ取る」――。

 正直、そんな国を「好きになれ」という方が無理でしょうし、また、そんな国とお付き合いして良いことなど一切ありません。

 なお、余談ですが、日本人拉致事件については「どうやって北朝鮮に日本人を返してもらうか」、「どうやって拉致事件の全容を教えてもらうか」を議論しても意味はありません。

 本来、議論しなければならないのは、「拉致被害者を取り返すために北朝鮮に軍事侵攻するための方法」であり、「拉致事件の全容を捜査するために金正恩(きん・しょうおん)ら北朝鮮幹部の身柄を拘束する方法」です。

 このあたりについても、憲法議論にかたくなに応じようとしない立憲民主党こそ、日本のガンではないかと思う次第です。

●最も微妙な国は、韓国

 そして、この「利害関係、国民感情」の双方に照らして、非常に微妙な国が、韓国でしょう。

 『外交に関する世論調査』だと、韓国への親近感は、中国ほどではないにせよ、近年、非常に悪化していることが伺えます。

■図表3 韓国に対する親近感
20210219gaikou-03-4

 (【出所】過去の『外交に関する世論調査を参考に著者作成。「親しみを感じる・感じない」にはそれぞれ「どちらかというと」を合算している。なお、内閣府のオリジナルの調査では、2020年の調査については「調査方法が異なる」として、単純比較を行っていない点に注意)

 韓国に「親しみを感じる」人が4割弱もいるということ自体が信じられない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その点はとりあえず脇に置くとしましょう。

 日本国民の対韓感情の悪化は、韓国が日本に対して仕掛けてきた不法行為の数々――自称元徴用工判決問題を筆頭に、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射問題、竹島不法占拠問題など――に対する自然な反応と見るべきです。

 また、韓国が日本の国益に照らして「重要な国」なのかといえば、ある面ではそのとおりですが、違う面ではそうとは限りません。
 たとえば、産業面では、韓国は日本にとって3番目の輸出相手国ですが、日本から韓国への輸出品目の多くは「モノを作るためのモノ」であって、日本企業にとって必要不可欠な市場、というわけではありません(『深まる日台関係:5月の合計貿易高も「台湾>韓国」に』等参照)。

 また、そもそも日本の金融システムの韓国に対する与信は割合的に見て非常に少なく、『日本の金融機関、香港と韓国への与信額が減少傾向に』も確認したとおり、もともと少ない対外与信に占める対韓与信の比率が、近年、さらに低下する傾向を見せています。

 さらには、『韓国政府が気付かない、今年の防衛白書「本当の意味」』でも触れたとおり、韓国は軍事・安全保障面でも、日本にとって「なくてはならない国」ではなくなりつつあるのです。

 その意味で、「国益に照らして韓国は日本にとって絶対になくてはならない国だ」とする視点に、著者自身は最近、かなり懐疑的なのです。

●ポンコツ日韓議連

 こうした状況が続くと、立場がかなり微妙になってくるのが、日韓議連でしょう。

 正直、「外交は国民感情だけでなく、国益に照らしても判断しなければならない」、という点から申し上げるなら、日韓議連のような「議員外交」のチャネルは維持されていても良いかとも思っていたのですが、残念ながら、日韓議連に対しては「健全な議員外交」を期待することはできません。

 というのも、日韓議連は2018年12月、韓国・ソウルで韓日議連との合同総会を開催しましたが、この合同総会の時期に合わせて、韓国が島根県竹島で軍事訓練をやっていたからです(『不誠実な韓国政府と無能すぎる日韓議連 議連総会は期待外れ』等参照)。等参照)。

 本来ならば、日韓議連のメンバーはその場で席を蹴って帰って来るべきでしたが、あろうことか、額賀福志郎会長はニヤニヤ笑って文在寅(ぶん・ざいいん)大統領を表敬し、握手して帰って来ました。

 さすがにこの「竹島軍事演習事件」の一件で、日韓議連は「日本にとって不必要」、いや、それどころか、「日本にとって有害」な組織だと言えるようになったのです。日本に対しては、何をやっても絶対に大丈夫だ、という誤ったメッセージを与えたからです。

 (※ちなみに余談ですが、日韓間の軍事的信頼関係を根本から破壊することになった、火器管制レーダー照射事件が発生したのは、その合同総会からわずか1週間後の、2018年12月20日のことだったというのも興味深い点です。)

●もう協議する段階を終えています

 そんな日韓・韓日議連が相変わらず会合を持っているようです。

韓日・日韓議連が東京で合同幹事会開催 関係改善策など協議


―――2021.07.14 20:49付 聯合ニュース日本語版より

 韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、金振杓(きん・しんひょう)会長ら韓日議連一行が来日し、東京で日韓議連とともに合同幹事会を開き、「韓日関係の改善策について協議」した、ということです。

 この時点で、すでにアウトでしょう。

 日韓関係はすでに「協議」してどうにかなるものではないからです。

 必要なのは、韓国が国際法違反判決、条約違反判決を無効化すること、国際約束を誠実に履行すること、火器管制レーダー照射事件等の不法行為責任を認めて謝罪すること――、などであって、すべては韓国がアクションを起こさねばはじまらないものばかりです。
 韓日議連との「協議」に応じている時点で、日韓議連の行動は日本の国益に照らし、大変に有害だと言わざるを得ません。

 記事の内容自体は正直、読んでも意味がありませんが、聯合ニュースの記事の記述で唯一参考になるのが、この会合への出席者の名前です。

・衛藤征士郎会長代行(自民党)
・河村建夫幹事長(自民党)
・中川正春運営委員長(立憲民主党)
・井上義久副会長(公明党)
・白眞勲未来委員長(立憲民主党)

 彼らが、「次回選挙で落選しなければならない議員」、というわけですね。


二階俊博氏という「自民党のガン」

 さて、日本にとって有害な行動という意味では、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝掲載されていた、この記事についても取り上げておきましょう。

「自民党幹事長、文大統領の訪日要請」…韓日議員連盟側「検討中」


―――2021.07.15 06:56付 中央日報日本語版より

 これは、「自民党の二階俊博幹事長が14日、文在寅氏の訪日を要請した」とNNNが報じた、とする話題です。二階氏は韓日議連側に対し、次のように述べたのだとか。

「ぜひ、文在寅大統領に日本にお越しくださるように伝えてほしい。歓迎する」。

 自民党という与党の幹事長という立場にありながら、加藤勝信官房長官と異なる情報を発信することが、どれだけ日本の国益損ねることになるのか。

 この人間は、そんなこともわからないのでしょうか。

 しかも、韓日議連側はこの二階氏の要請に対し、「いま、検討している」と答えたのだそうですが、これだとまるで、「日本が文在寅大統領の訪日を要請した」かに見えてしまいます。

 そもそも自民党で不祥事を起こす議員、閣僚の多くは二階派に属しているという問題もありますが、やはり二階俊博氏自身が間違いなく自民党のガンのようなものでしょう。

 菅総理、あるいはその後任の自民党総裁が、二階俊博幹事長を「切る」という決断をすることができるのかどうかには、じっくりと注目させていただきたいと思う次第です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20210715-02/

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