ワシントン・タイムズ・ジャパン
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福島処理水の放出巡りこれから始まる告げ口外交の予感

一方的かつ無責任な中国共産党が日本を「一方的かつ無責任」と批判

 福島第一原発のALPS処理水を巡り、中韓両国の日本を貶めるプロパガンダ記事が留まるところを知りません。すでにIAEAなど国際社会は処理水の海洋放出を支持する方針を打ち出しているのですが、中国共産党の機関紙『環球時報』が日本を貶める挿絵を用いて今回の決定を批判しているほか、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)の今朝の記事には、韓国が世界で日本を貶める外交を再開するとも取れる記述も含まれています。


●ALPS処理水を頑なに「汚染水」と呼ぶ中韓両国
 当ウェブサイトでは何度となく報告してきたとおり、日本政府が先週決定した、福島第一原発の多核種除去装置(ALPS)処理水の海洋放出を巡っては、中国と韓国が強く反発しています。

 たとえば、韓国の左派メディア「ハンギョレ新聞」(日本語版)には、同紙の「論説委員」氏が処理水をわざと「汚染水」と呼び替えるなど、極めて非科学的なコラムで日本を批判した、という話題については、週末の『処理水問題が米韓同盟を消滅させる原動力のひとつに?』でも触れたとおりです。

 また、中国共産党の機関紙『環球時報』(英語版)にも、最近、連日のように日本を批判する記事が掲載されています。たとえば、次のような具合です。

 記事タイトルで “nuclear-contaminated water” 、つまり「核汚染物質」と記載したうえで、次のように主張しています。

China’s Ministry of Ecology and Environment stressed that the Fukushima nuclear-contaminated water has “fundamental differences” with discharges from a normally operated nuclear plant.
Such a unilateral decision by Japan to dump the contaminated water into the sea before exhausting all safe methods of disposal or fully consulting with stakeholders is irresponsible, it said.

 要するに、「福島原発の原子力汚染水の輩出は、通常稼働している原発から排出されるケースとは根本的な違いがある」、「安全な処理方法をすべて検討せず、また、利害関係者との十分な協議もせずに海洋投棄すると決定したことは一方的かつ無責任だ」、というわけですね。

●中国共産党こそ、一方的で無責任

 いちおう、環球時報の記事にマジメなツッコミを入れておくと、今回の海洋放出自体、日本は米国や国際原子力機関(IAEA)の支持を得ているものですし、この海洋放出自体、IAEAが長年、「国際慣行に従ったものである」と述べて来た方法そのものでもあります。

参考までに、4月13日付IAEA声明文のリンクも紹介しておきましょう。

IAEA Ready To Support Japan On Fukushima Water Disposal, Director General Grossi Says 


… Japan’s chosen water disposal method is both technically feasible and in line with international practice, IAEA Director General Grossi said. Controlled water discharges into the sea are routinely used by operating nuclear power plants in the world and in the region under specific regulatory authorisations based on safety and environmental impact assessments. <<…続きを読む>>
―――2021/04/13付 IAEAウェブサイトより

 記事自体が少々長いので、全文の引用はしませんが、ポイントは次のとおりです。

・日本が選択した水処理方法は技術的に実現可能であり、また、国際的な慣行にも沿ったものである

・世界各地において、制御された海洋への排水は、安全性と環境影響評価に基づく各規制当局の認可の下で日常的に行われているものである

 つまり、日本政府のアプローチは、国際的なルールに照らし、十分に科学的かつ合理的なものであり、また、国際社会との十分な対話のもとで行われている、と考えて良いでしょう。

 ちなみに環球時報の記事では、日本の処理方法を無責任だと批判するわりに、記事にはトリチウム(tritium)の “t” の字も出てきませんし、また、自分の国の原発も数十兆ベクレルものトリチウムを海洋投棄している事実を無視しています。

 この場合、「一方的かつ無責任」なのは中国共産党の方でしょう。

 (もっとも、「自己投影」が中朝韓の得意技なのは、いまに始まったことではないのかもしれませんが…。)

●ケリー特使が日本を支持

 余談ですが、環球時報の記事を読んでいると、『中央日報』や『ハンギョレ新聞』などの韓国メディア、『朝鮮中央通信』などの北朝鮮メディアと記載内容は大差ない、と感じるのもまた事実です(※あくまで個人の感想です)。

 というのも、これらのメディアの記述には、口汚く日本を罵るわりには、具体的な問題点をまったく指摘していない(あるいは「指摘できない」?)という一貫した共通点があるからです。

 興味深いですね。

 さて、ALPS処理水放出に関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には今朝、こんな記事も掲載されています。

韓国外交部長官「日本汚染水協力を」…米国特使「介入しない」


―――2021.04.19 07:09付 中央日報日本語版より

 これは、気候変動問題担当のジョン・ケリー大統領特使が訪韓し、韓国の鄭義溶(てい・ぎよう)外交部長官と面会した際、鄭義溶氏が「日本の福島汚染水放出決定」(※原文ママ)に「深刻な懸念」を伝えたところ、ケリー氏は「日本の決定を尊重する」、「当面介入することはない」と述べた、というものです。

 とても当然の話でしょう。

 また、中央日報によると、ケリー特使が18日、1泊2日の訪韓日程を終えて帰国の途に就く前に、ソウル市内のホテルで開催した記者懇談会で、ALPS処理水の件について尋ねられ、次のように答えたのだそうです。

・一番の核心は手続きをしっかり履行すること
・IAEAが策定した非常に厳格な手続がある。今後も日本がIAEAと引き続き協力していくかどうかがカギ
・日本はIAEAとしっかり協力していくものと信じており、米国が介入するのは適切ではない

 意訳すれば、「米国は日本を信頼している」、「韓国こそ国際社会のルールに従え」、といったところでしょうか。

●ハンギョレ新聞が米国に「逆ギレ」

 極め付けは、『ハンギョレ新聞』(日本語版)に掲載された、このようなオピニオン記事でしょう。

米国はなぜ福島原発汚染水の放出に強い懸念を示さないのか


―――2021-04-19 07:53付 ハンギョレ新聞日本語版より

 タイトルでもだいたいわかりますが、記者懇談会におけるケリー氏の回答に、強い不満を表明する記事です。2000文字を超える長文ですが、前提条件も間違っており、本来ならわざわざ時間を割いてまで読むべき記事とも思えません。

 しかし、ケリー氏とのやりとりについて触れた部分については、ある意味では参考になります。次の文章を読むだけで、この韓国人記者が科学的センスをまったくもっていないだけでなく、国際社会における調整の在り方についてもまったく理解していないということがわかるからです。

「米国は、125万トン以上の放射性物質による汚染水が海に捨てられるということに対し、懸念はないのだろうか」。

 くどいようですが、トリチウム入りの水を「汚染水」と呼ぶのであれば、韓国の原発こそその「汚染水」とやらを大量に海洋投棄しているという事実を無視するのは適切ではありません。

 また、傑作なのは、次の記述でしょう。

「ケリー特使の『懸念』は、『汚染水の放出が米国国民の健康に及ぼす影響に対する懸念はないのか』という質問では現れた。彼は『当然、皆が懸念を持ってはいるが、そのためにIAEAが存在している』と述べた」。

 そもそもIAEAが何のために存在しているのか、この回答で尽くされています。議論は以上でおしまい、ではないでしょうか。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 もっとも、ここで、韓国や北朝鮮が大好きな「インチキ外交」を思い出しておく必要があります。

 彼らが好むインチキ外交とは、たとえば、「ウソツキ外交(あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる外交)」、「告げ口外交(国際社会に対してロビー活動を行い、相手国を貶める外交)」などがあります。

 とりわけ、主要国に日本の行状を「告げ口」してまわり、日本を貶める戦術は、韓国が好む手法のひとつであることに注意しなければなりません。このように考えると、ハンギョレ新聞の記事に含まれている次の記述については、若干気になります。

「韓国政府は、日本が十分な情報提供をしておらず、福島原発汚染水の海洋放出が『安全であると国民に説得する根拠はない』という声を強めている。また、米国については、2014年の報告書などを根拠に、これまで福島原発汚染水の問題に強い関心を持っていなかったとみて、米国を含む周辺国を相手に汚染水放出問題をめぐる外交戦を予告している」。

 要するに、またいつものように周辺国を巻き込んで、日本を貶める外交を始めるよ、という宣言です。

 実際にALPS処理水の放出が始まるであろう2年後、韓国でどんな政権が存在しているのかはわかりませんが、文在寅(ぶん・ざいいん)政権の後任政権が保守派であれ、左派であれ、おそらく日本を批判して来るであろう点については間違いないと考えて良いでしょう。

 すなわち、ALPS処理水海洋放出というテーマでも、日本と「中露朝韓クアッド」との対決構図が出現するのかもしれませんし、むしろ処理水問題でこの対立がいっそう浮き彫りになるのかもしれません。

 今後の展開には要注目、といったところでしょう。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20210419-03/

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