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中国主導の「RCEP」がスタート、米がTPP復帰なら衝突も

韓国紙セゲイルボ

 11月15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が韓国をはじめとする15カ国の署名によって公式スタートした。インドの不参加にもかかわらず、15参加国が東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国をはじめ、韓・中・日そして豪州とニュージーランドと、アジア地域にメガFTA(自由貿易協定)が公式スタートすることになったのだ。

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定への署名を終え、各国代表との記念撮影に臨む菅義偉首相(左)と梶山弘志経済産業相=11月15日午後、首相官邸(内閣広報室提供)

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定への署名を終え、各国代表との記念撮影に臨む菅義偉首相(左)と梶山弘志経済産業相=11月15日午後、首相官邸(内閣広報室提供)

 特にRCEPは全世界人口の約30%を占めるだけでなく、全世界GDP(国内総生産)の約30%水準に達するほど巨大な自由貿易地帯として、アジアに巨大な経済圏が形成されたことを意味する。また、RCEPは米国が参加していない多国間貿易協定であり、中国が主導した側面が大きいという点で、今後アジア・太平洋地域の覇権にも多大な影響を及ぼす可能性が高い。

 当初、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)には米国だけでなく日本、カナダ、メキシコ、豪州、ニュージーランド、ベトナム、マレーシアなど合計12カ国が含まれていた。この米国が主導するTPPが先行していれば、中国が受ける経済的・政治的圧迫感はだいぶ大きかっただろう。実際は米国を除いた11カ国が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)をスタートさせてTPPの命脈をつなぐことになった。

 これは日本が主導し、今後米国が復帰することを念頭に置いた布石だ。しかしTPP11よりもっと規模の大きいRCEPが発足したので、今後、世界貿易の勢力図への影響は大きくならざるを得ない。

 もし来年1月、米国でバイデン政府が公式スタートすることになれば、多国間貿易体制を支持する大統領選挙の公約から、米国がTPP11に復帰する可能性が高い。事実上のTPP復活であり、中国主導のRCEPと米国主導のTPPがアジア地域で衝突することになる。

 それにより韓国もTPPに参加しろとの圧迫を米国から受けることになるだろう。ただし日本がRCEPとTPP11の両方に参加している以上、韓国が同時加入しても、対外的に問題になる可能性は小さく見える。むしろ米国の提案を通じて韓国がTPPに参加する機会ができるならば、これを積極的に推進して国際ネットワークで韓国の役割と比重をさらに広げる必要がある。

 従って韓国はTPP11に参加する場合の国益と産業別な損益計算をあらかじめ徹底的に分析しておく必要がある。すでにRCEPというメガFTAがスタートし、今後TPPが出現することになれば、韓国は世界貿易の勢力図の変化を持続的にモニタリングし、徹底的に分析して、国益を極大化させることができる通商政策を樹立していかなければならない。

(曺夏鉉(チョハヒョン)延世大教授経済学、11月30日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

受益者の位置を探す韓国

 アジア太平洋地域で米国と中国が軍事だけでなく経済でも主導権争いを繰り広げ、韓国はこれら超大国の顔色をうかがいながら、どうしたら最も大きな利益を得られるだろうかと頭を巡らせている。

 安全保障では米国、貿易では中国への依存が高い韓国は常に両者からの圧力を受けている。あまりにも右顧左眄(うこさべん)するものだから、「どちら側に付くのか」と迫られることが1度や2度ではなく、時には“いじめ”にも遭ったりする。

 韓国の中国追従は文在寅政権が左派だからではない。もともと韓国・朝鮮の外交は歴史的に「事大外交」を展開してきた。これは「中華」に従ったというものではなく、文字通り大国に従う、という意味で、時の大国が中国だったり、日本だったり、米国だったりしただけである。

 彼らの「小中華思想」からすれば、異民族政権(元=モンゴル、清=女真族)に臣従するのは屈辱だったが、大国なので否応もなくその軍門に下った。格下と見ている日本に併合されたのも、当時「東洋第一の文明開化先進国」が日本だったからにすぎない。

 小中華思想や事大主義の残滓(ざんし)もありつつ、現実の国際政治の渦中で、韓国が地歩を確保して生き残るには頭をフル回転させてポジショニングを考えるしかない。

 その時参考になるのが日本である。日本はクワッド(日米豪印戦略対話)に加わりながらTPP11、RCEP両方に加盟している。記事ではこの点に注目し、米中の反応を見る。日韓関係を改善して良好なものにできれば、韓国はさらに動きの幅が得られるのだが…。

(岩崎 哲)

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