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ウェルテル効果

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 女性お笑いタレントのパク・チソンが死んだ。母親と一緒に自殺したという。持病の日光アレルギー(光線過敏症)による皮膚病の悪化が動機として考えられているようだ。人々に豊かな笑いを与えてきた彼女は結局、多くの人々に悲しみを抱かせて天に旅立った。

 人気タレント死亡のニュースに“ウェルテル効果”を心配する人々が少なくない。ウェルテル効果とは(社会学者デイヴィッド・フィリップスが実証し命名したもので、)有名人の自殺のニュースに接した後に後追い自殺が増える現象のことを指す。1774年に発表されたドイツの文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』に由来した心理学用語だ。小説の主人公ウェルテルは恋人のシャルロッテが自分の愛を受け入れてくれないため、彼女との思い出がこもった青色のコートと黄色いチョッキを着て自殺することで生を終える。小説が飛ぶように売れる中で、主人公のように黄色いチョッキを着て拳銃で自殺する人々が続いた。

 有名人の極端な選択は伝染性が非常に強い。2003年に香港の俳優、レスリー・チャン(張国栄)が自殺した時は、香港の男女6人がレスリー・チャンと同じ方法で高層ビルから飛び降りた。国内でも、有名タレント1人が死亡した時に2カ月間、平均600人が模倣自殺したという分析が出たことがある。俳優イ・ウンジュの死亡後2カ月間に495人、女優の崔真実が死んだ時には2カ月間に1008人が彼女とあの世への道を同行した。わが国が“自殺共和国”の汚名を得たのは、このようなウェルテル効果が少なからず影響を及ぼしたのだろう。

 韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち自殺率が断然1位だ。自殺者数は2000年の6437人から昨年は1万3799人と、2倍以上に膨らんだ。毎日38人が自殺する計算だ。同じ期間の交通事故の死亡者は3分の1程度に急減したことと対照的だ。同じ命ではあるが、社会の対応が異なることが主たる要因だ。予防対策を強化する交通事故とは違って、自殺予防には誰も神経を使わない。甚だしくは、極端な選択を行った人を騒々しく追慕して美化することが、われわれの社会の現実だ。

 自殺は“自己殺人”を縮めた言葉だ。厳然とした殺人である以上、いかなる理由であっても正当化してはならない。自殺を美化することは、殺人を煽(あお)るほう助行為だ。

 (11月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

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