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北朝鮮の軍事パレードは中国向け

■未明の軍事パレード

 北朝鮮は2018年の軍事パレードから2年後の10月10日、夜間に軍事パレードを行った。北朝鮮は昼間に軍事パレードを行っていたが、今回は珍しい夜間の軍事パレード。そこで新型ICBMが登場し、北朝鮮が核開発を放棄していない意思を示した。だが今回の北朝鮮は、全てが規模を縮小している。金正恩の発言すら過激な発言がない。アメリカへの直接的な批判を回避し、自国防衛目的を主張した穏健な内容に留まっている。

■新型ICBMはハリボ

 10日の軍事パレードで新型ICBMらしきものが確認された。ミサイルは22輪の移動式発射台に載せられていた。存在が確認されているICBM火星15と比較すると、全長・直径共に火星15を超えていた。

北朝鮮、新型ICBMを公開 世界最大か
https://www.afpbb.com/articles/-/3309224

ミサイル評価基準の3要素
1:弾頭(破壊力)
2:射程
3:命中精度

 弾頭が核弾頭の場合は、核威力は命中精度が悪いほど大きくなる。冷戦期の命中精度は、目標から3000m離れていた。このため核威力はメガトンクラスだった。だが目標から300m離れるなら、核威力は300から400キロトンクラスになった。核弾頭の核威力は、命中精度の悪さを補うことが目的。だから命中精度が良くなれば核威力は小さくなる。

 弾道ミサイルを保有しても、実際に何処まで飛ぶか不明。さらに発射して何%が飛ぶのか不明。これは冷戦期の米ソが苦しんでいる。実際に弾道ミサイルを発射しても、全てが飛ぶわけではない。さらに発射しても、最後まで目標に到達するわけではない。米ソは何度も実験を繰り返し、弾道ミサイルの信頼性を獲得した。

 中国共産党は最近南シナ海で軍事演習を行った。その時に、中国の内陸部から南シナ海に向けて4発の弾道ミサイルを発射。だが目標に到達したのは2発とされる。弾道ミサイル開発に熱心な人民解放軍がこの状況。

 北朝鮮は何年も弾道ミサイル発射を行っていないから、新型ICBMが使えるわけではない。新型ICBMは火星15よりも大きいのは事実だが、射程・命中精度はない。それに火星15が実際に目標に到達するのか謎。実験では到達しても、10発発射して50%以下の到達率の可能性もある。中国共産党の人民解放軍すら目標到達率が低いのだから、実験の少ない北朝鮮ではハリボテと言える。

■軍事パレードの基

 軍事パレードは各国で行われるが、軍事パレードの傾向を基準に説明したい。基本的に軍事パレードは戦闘訓練とは別物。結論から言えば、軍事パレードを行う国ほど弱い軍隊。

1:軍事的に弱い国が武威を示すために行う(劣等感を持っている証)
2:欧米軍などは軍隊の歴史を展示する
3:整斉とした軍事パレードを行うには約2カ月以上の訓練が必要
4:パレード中に落伍を出さないためには周到な準備が必要
5:全体として3~4カ月の準備が必要
6:パレード参加人員に対して2倍の人数が裏方で動員される
7:4カ月は実戦的訓練をしていない

 北朝鮮は前回から2年後に軍事パレードを行った。軍事パレードを定期的に行ったり派手にするのは、劣等感を持っている証。戦闘で勝てないから派手な軍事パレードになる。欧米の軍隊の軍事パレードは整然としていない。軍事パレードはお祭りであり、自軍の歴史を展示する。だから日々の訓練を見せることが目的。

 何故なら軍事パレードの4カ月前から整然と歩ける訓練を開始。さらに2カ月前から全体の調整と訓練が必要になる。しかも後方支援である裏方の動員も必要で、パレードに参加する人員の2倍の裏方が必要。これが現実だから、欧米の軍隊は軍事パレードには熱心ではない。

 北朝鮮を見ると、定期的に軍事パレードを行う国。前回の軍事パレードから2年後に行うなら、実戦訓練を行ったのは昨年だけ。おそらく今年は実戦訓練など行っていないだろう。それだけ無駄な時間が軍事パレードに浪費されている。

■中国共産党向けの軍事パレード

 これまでの北朝鮮の軍事パレードはアメリカ向けの威嚇だった。だが今回の軍事パレードは中国共産党向けと思われる。何故なら米中対立の最中に、北朝鮮がアメリカと対立するメリットがない。

 それに中国共産党から見れば、北朝鮮は人民解放軍の心臓部である渤海を管制する位置にある。仮にアメリカ軍が北朝鮮を制圧すれば、アメリカの陸戦部隊が北京周辺の軍事基地を占領可能になる。

 北朝鮮としても米中戦争に参加すれば、アメリカ軍主力に潰されることになる。さらに米中戦争用の橋頭堡として使われることは明白だから、全力で北朝鮮潰しを行うことは明白。だから北朝鮮としては、米中戦争に参加しない中立の立場が最善になる。これは中国共産党にも都合が良く、北朝鮮が中立ならば在韓米軍は全力で活動できない。

 何故なら中立の北朝鮮に対して防御する部隊と、人民解放軍と戦う部隊に分けて運用することになる。これは在日米軍も同じで、北朝鮮が中立である限り、アメリカ軍は全力で米中戦争を行えない。

 だからこそ中国共産党は、北朝鮮の中立化を強制するはず。それだけ北朝鮮を抑えるが、金正恩としては面白くない。ならば余程の手土産がなければ中立化を選ばないだろう。最近の北朝鮮は静かだから、現段階では中国共産党の命令に従っている。だが金正恩は軍事パレードを用いてアメリカを刺激。そして中国共産党から経済支援を受け取ることを目指していると思われる。

■中国共産党の苦しみ

 中国共産党は北朝鮮の軍事パレードを見て、新型ICBMが中国共産党向けだと気付いたはずだ。今の北朝鮮がアメリカと対立すれば、中国共産党の立場が悪くなる。アメリカ軍が北朝鮮潰しで戦力を日本付近に集める口実になる。

 仮に北朝鮮を潰せば、中国共産党は渤海をアメリカ軍に奪われることになる。これでは人民解放軍は太平洋・南シナ海に進出することは不可能。常にアメリカ軍に渤海・黄海を抑えられるから、開戦しても勝ち目はない。だからこそ中国共産党は、北朝鮮を抑えなければならない。それだけ北朝鮮を支援する金額は大きいことになる。

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